里の秋
秋の里山を訪れました。琵琶湖から、一段上がった高台。遠く比良を望む比叡山のふもとに広がっている仰木の里です。JR雄琴温泉駅が最寄リの駅です。このあたりは、平城京より昔の大津京のころから栄えていたようです。1000年かけて作られた人と自然の融合が、棚田や、里山という文化を形成したのですね。時代によって、町の様子が、少しずつ変化していく様子を絵やスライドで見せていただきました。里山は人間と自然の共同作業でできあがっているだということ。農林業を中心とした人間の営みが、長い年月をかけて自然をつくり変えてきました。と同時に、自然は長い年月をかけて人間に知恵を授けてきたのです。「アルプスの少女ハイジ」や「母を訪ねて三千里」の演出、「火垂るの墓」の監督として知られ、「平成狸合戦ぽんぽこ」や「おもひでぽろぽろ」では、街と里山の関係も取り上げておられるスタジオジブリ・高畑 勳監督。実は仰木には、お忍びで何度か来られているようです。今回もトークショーがありました。こういった、箱庭的な美しさを持つ、日本の原風景の良さが見直され、写真やアニメなどを通じてその大切さが広く共有されていくのは、素晴らしいことだと思います。私もこの目にとどめておきたいと思います。こうして、いつもとは違う風景の中に、身を置くということは大切ですね。無数にある人生の風景の中の、ただの一つに過ぎないのかもしれないけれど自分の目で見て、知るということは有意義です。(野生の紫式部が群生しているのを初めて見ました。)人生の転換期というものは、実際には、その時にはなかなかわからないものだと思います。自分の生き方や考え方が、少しずつ変わって行き、後から振り返った時に、”あの時がそうだったのかしら・・・”とふと気付くのかもしれません。(暮れゆく秋の里山を見ながら)人生って、自分のことを知るための旅ですね。