「図説|本の歴史」樺山紘一 編
書名:図説|本の歴史編者:樺山紘一 発行:河出書房新社/2011年7月20日判型:165×213判 127p 人類のセカンドミレニアムで最も重要な出来事としてグーテンベルクの活版印刷術が選ばれている。最初の印刷は聖書だ。印刷技術がなければ産業革命の発展速度はずっと遅れていただろう。 それまでの本は竹簡・木簡の冊、写本、木版印刷、銅板印刷、活字印刷と進化し現在のデジタル化に至る。 紙も、パピルス、羊皮紙、の時代があり、中国の「後漢書」の中に蔡倫(さいりん)が105年に紙を作ったことが記され、製紙法の完成者とされている。日本へは、高句麗の曇徴(どんちょう)によって610年に伝えられた。 印刷物は、元々宗教の布教活動に始まる。仏教の経典、キリスト教やユダヤ教の聖書、イスラム教のコーラン、儒教の四書・五経など。文字や印刷技術を持たなかった宗教は征服されていったと思われる。 印刷及び印刷物の発展は教養を育み、国家や民族の隆盛をもたらす。 書斎文化を生み、挿絵本が愛され、装丁も発展する。小説や挿絵の浮世草子が作られ貸本屋が登場する。 本は権利のかたまり―著者権・著作権「コピーライト」。 わが国近代活版印刷術の祖は「本木昌造」。福沢諭吉の「学問のすゝめ」(初版)が近代活版印刷によって印刷され出版されたが第2版からは初版本をもとに木版で印刷された。そして初版のみ小幡篤次郎との共著である。 本の文化も歴史も知れば知るほど面白い。