人情紙風船 山中貞雄の名作
山中貞雄は名監督です。僕は以前に「百万両の壺」を紹介しましたが、彼は28歳で戦死してしまうのです(病死とのことですが)。この「人情紙風船」は彼の遺作です。彼は「人情紙風船が遺作ではちとさびしい」といっていたそうです。彼に予言者の素質があったのかどうかわかりませんが、自分の未来を予見していたのか、暗いストーリーです。 貧乏長屋が舞台ですが、いきなり首吊りが出て十手持ちや大家が右往左往するところから始まります。河原崎長十郎、中村翫右衛門,霧立のぼるが出演。海野又十郎という浪人と、新三(しんざ)がものがたりの中心です。貧乏浪人の又十郎は毛利三左衛門(父の友人らしい)に父の手紙を読んでもらい、士官したいと思うが、毛利は手紙を受け取らず、翌朝家に来いというばかり。しかも、朝方に訪問すると門前払いを食らってしまう。一方、毛利は白子屋という質屋の娘お駒を自分の養女にして家老の倅と結婚させ自身の出世を図っていた。その白子屋に新三は自身の商売道具である髪結いの道具を質に入れようとするが番頭に断られてしまう。この番頭は、お駒といい仲なのである。新三は雨の日に偶然見かけた(番頭とはぐれた)お駒を見かけ自分の長屋に連れてきてしまう(拉致監禁ですな)。新三のふすま一枚隣は又十郎であり、彼はお駒を自分の部屋に隠すことで新三の悪事に加担してしまう。毛利は金ですべてを片付ける(50両)のだが、こけにされたやくざの親分が、酒で浮かれる新三を呼び出して・・・・一方、又十郎の妻は、仕官活動中といううそを言って酒で寝込む夫の姿をみて・・・ラストで紙風船がころがるシーンがなんとも哀れをさそいます。日本映画の最高傑作のひとつです。4725円というのは「ちと高い」です。で、これもいつものようにAMAZON.COMで買いました。おまけに英語の字幕がついているので、音が割れて聞きにくくても会話が理解できます(昔の映画にはよくあります)。しっかし、自分の住んでいる国の最高の出来の映画を買うのに、なんでハリウッドの国から輸入するほうが安いのでしょうか。といって、映画産業を保護してきたとは思えないし。追記:すみません。このDVDはAMAZON.CO.UKで買ったPAL形式のものでした。でも、ハリウッド云々は一般論として成り立ちますので、修正しないで残しておきます。