緑色の部屋 トリュフォーの傑作なのにDVDがない!
「緑色の部屋」は俗に言うトリュフォーのろうそく三部作の一つです。僕はこの映画をリアルに観る機会が(つまり公開当時に見ることができた年齢ってこと)あり、しかもそのころ付けていた日記にこの映画の説明をする雑誌の切抜きまで貼っていたのに見逃しました。その後、この映画はヴィデオにはなったのですが、DVDにならないんですね、これが。主演はトリュフォーその人です。出てくる女性はナタリー・バイ。あらすじというと、第一次世界大戦が終わって10年目の設定です。主人公のジュリアン・ダヴェンヌ(トリュフォー)は若い頃妻を亡くし(結婚してすぐ)、その後独身を通し、家政婦とその親戚の耳の不自由(だから口も不自由です)な少年と暮らしていた。彼は、死んだ妻の遺品を集めて(手の模型?まで作って)妻を偲ぶ部屋を作っていました。彼はもう廃刊しても不思議ではない雑誌の死亡記事を書く仕事についていて、それは名文を書くのですが、若い頃親友だったポール・マシニーという政治家の死亡記事を書くことは拒絶します。彼はマシニーを許せないのです。ところで、妻の手の模型にはめるための指輪を得ようと競売に出かけたジュリアンはセシリアという女性と出会うのですが、彼女は彼と幼い頃に会ったらしいのです。 一方、「妻の部屋」で火災が起こり、呆然となったジュリアンは妻の墓地の礼拝堂が荒れ果てているのを偶然発見して司祭に働きかけて、立て直します。それも、彼の大事な死者たちだけを祭るために・・・。 ジュリアンは死者たちの写真を礼拝堂に掲げ、多数のろうそくを絶やさないように燃え続けさせることで死者を生き続けさせようとするのです。一方、彼に好意を持ったセシリアの大事な死者が・・・・と知ったジュリアンは、彼女と決別はするのですが・・・・。ラストはわかってしまいますが、それにしてもろうそくがきれいです。日本人のための映画と言えます。死者と常に交流をする(もしくはしていた)日本人の死生観ってこういうものだったのでしょうか(もちろんデフォルメするとの話ですが)。もし、ヴィデオで見る機会があればぜひとも鑑賞して下さい。