ピグミーシーホース
ここ数回、甲殻類(エビ・カニの仲間)が続いたので魚の写真を。ピグミーシーホースです。細かな種類にもよりますが、成魚でも大きさ1cm程度の極小サイズで世界最小クラスの魚類として日本で紹介された当時はかなり話題となりました。日本中のダイビングガイドが血眼になってこの魚を探し回ったといっても大げさでないほどだったかもしれません。現在ダイバーによって観察されているピグミーシーホースは私の知る限りでは8種ほどいるようですが、もっともポピュラーなのが、ザ・ピグミーシーホース、学名Hippocampus bargabanti でしょう。ちなみにgoogle で画像検索してみると実に15,000件ほどもヒットします。対して、観察機会はbargabanti ほどでないにしろ、おもに沖縄方面や東南アジアでの発見例があるコールマンピグミーシーホース(同、約250件)、ゴルゴニアンピグミーシーホース(約260件)や、伊豆方面で主に発見されるジャパニースピグミーシーホース(約600件)は、稀種といえる存在でしょう。また、日本人ガイド大西サトミ氏の名前が献名された、サトミピグミーシーホースや、海洋生物の図鑑等の出版実績のあるドイツ人写真家Helmut Debelius 氏の名が献名された、紅海産のデベリウスピグミーシーホースは、さらに稀な種といえるのかもしれません。今日の写真のピグミー君は、おそらくbargabanti だと思われるのですが、Denise's Pygmy Seahorseのようです。(海龍さんから、教えていただきました。ありがとうございました。)オレンジ色地に白いイボの体色で結構珍しいのではないかと思います。通常見られるものは、薄いピンク色のベースに濃いピンク色のイボがあるものがほとんどで、ネット上で見られるもののほとんどがピンクバージョンばかりです。また、bargabanti は通常ヤギ類を住処とし、ヤギのポリプを主食としているといわれていますが、ほとんどの写真では住処のヤギのポリプが閉じています。なので、この写真のようにポリプが開いた中で撮影できたものは少ないのではないでしょうか。ところで、今回ピグミー関係のwebをいろいろ見ていたのですが、コールマン・ゴルゴニアンとジャパニーズを混同しているサイトが非常に多くて驚きました。外見が非常に似ているゴルゴニアンとジャパニーズを間違えるのは、まだ理解できなくも無いのですが、明らかに違う姿であるコールマンをジャパニーズとしているページも少なからずあるのです。なぜこのような混乱が生じてしまったのか理由はわかりませんが、先日ご紹介したヨコエビの一種にせよ、いったん定着してしまった呼び名を覆すことは高いハードルなのでしょう。