初歩・・・・デジカメ撮影について。
私はその道の専門家ではないので、このような文は僭越であまり私が書くべき事ではないと思うのですが、それでも、もしお役に立てれば・・・との思いで掲載してみます。デジタルカメラの基本的理解についてデジタルカメラに限らず、普通カメラは人間の目の構造に良く似ています。我々は瞳のレンズで光を屈折させて網膜に像を結ぶことで物を見る訳ですが、カメラもやはり全体としては凸レンズで像を撮像素子に上に結ぶように設計されています。ヒトの目の瞳はレンズの厚さを筋肉で変化させて近い物も遠い物も丁度網膜に像が結べるようにしていますが、カメラではレンズの位置を撮像素子に対して前後に移動させる等してピントを合わせています。我々の眼は明るい野外などでは瞳孔が小さくなって光が入り過ぎないように調節していますが、カメラは絞りという機構で、やはり光の通る穴を大きくしたり小さくしたりと、可変させ光の量を調節できるようになっています。此処で小学校で習ったはずの針穴写真機を想い出してください。針穴写真機と言うのは穴が小さいほどシャープな像を結び、穴をだんだん大きくしてゆくと像がぼやけてしまうことを経験していると思うのです。カメラの絞りも人間の目も同じように、小さな穴から光を受けたときには、見ている対象の距離が近かろうが遠かろうが、あまりボケずクッキリと写すことが出来ます。老眼の目では目を細めると少し良く見えるのはこのためですし、明るくして瞳孔を小さく絞れば結構近い物もボケなくなってくるわけです。カメラの画像の場合も、強く絞って光の通る穴を小さくすれば、手前の景色も遠い景色もピントが合っているように殆どボケずに見えます。つまり常に絞りを絞って撮影すればピンボケの少ない写真が撮れることになるということになりますが、辺りが暗くなった夕方とか、深い森の中で絞りを絞って【f10やf11等】いたのではカメラの撮像素子に入る光の量が足りなくなります。CCDやCMOSといった人間の網膜の役割を果すデジカメの撮像部品は、光のエネルギー量に比例して明るさを感じているので、少ない光しか入ってこなければ暗い画像になってしまうのです。自分の目にはちゃんと見えているのに、カメラで撮ると真っ暗に写ってしまうことがあるのは、人間の目は周囲の明るさに応じて瞳孔を自動的に調節して暗くても見えるようにしているからです。カメラにも同じような機能があって、自動モードにしておけば似た効果が得られますが、カメラにとって適正な光の量は、先ほど書いた光のエネルギー量に比例するといったところを思い出して下さい。カメラにはシャッター速度という光の量を制限するもう一つの機能があるのです。これは0.1秒(1/10)と言うシャッター速度は、0.01秒(1/100)の10倍の量の光が入ってくることになる事を意味し、薄暗い場所で絞りを絞って撮影する時などはシャッター速度を遅くして撮影すると良いことが知られているのはこの為です。つまり、「ピンボケを嫌う」ということだけに関していえば、常に絞りの値を大きく設定し【f9~f11等】その絞りでも撮像素子に丁度良い光のエネルギーを与えられるようにシャッター速度を遅くすれば良いということになる訳です。しかし、薄暗い場所で動く物体を撮影したらどうなるか?動く物体は場所を変えてしまいますし、揺れる木々や草などは如何でしょう?ピンボケでない画像を得たいがために、絞りを絞り込み、シャッター速度を遅くしたのでは、動く物を撮ったときには像がシャッターの開いている間移動した分だけ流れてしまい、はっきりと見えない画像に撮れてしまうということになってしまいますし、シャッター速度が遅いと言うことは、シャッターが開いている時間が長いので、カメラを持っている自分のほうが動いてしまい、カメラぶれという現象で、やはりブレた失敗画像になってしまうことも多いのです。そこで今度は動く被写体をはっきりと捉えるためにシャッター速度を速めて、その代わり不足する光のエネルギーを補うために、やれることをカメラの機能から探すと、一番先に思い出すのは、絞りをあまり絞らずに大きな穴から光を得ればよいということを思い出すわけです。それとカメラにはIS0値という設定が出来るようになっていて、ISO100と言う設定を基本とすれば、ISO400と言う設定では4倍の感度で撮影したことになる仕組みになっていて、デジタルカメラの中の情報処理で、撮像素子の受けた全ての光の量を4倍の掛け算をして記録する仕組みになっています。これを使う方法もありますね・・・・・。さらにストロボを使って光そのものを増やしてしまうという方法もある訳です。最初の方法はシャッター速度を速くして、それに見合った光が入ってくるように絞りを調節すれば良いので、シャッター速度優先EEモードにしておけば、おおむねバランスの取れた画像が得られるでしょう・・・・しかし、この時大きく絞りを開けていることで、ボケずに写せる奥行きが限定されてくることに注意が必要になります。先ほどの針穴写真の件を思い出してください・・・小さな穴からの光で撮影すると、近い景色も遠い景色もピントが合ってシャープな画像が得られましたね?絞りを開けて光のエネルギーを多くすれば明るさの問題はクリアしますが、手前の物にしっかりピントを合わせると、遠景がボケてしまいます・・・・遠景にピントを合わせて撮れば今度は手前の像がボケボケになってしまうわけです。さてそこで2番目の方法を使ってみることにしますが、IS0の値を大きくしてカメラの基本感度を高めて撮影します。この方法が優れているのは絞りを絞ったままでも、シャッター速度を10倍速くして動く物体を撮影する時でもISOの値を10倍にセットすれば、他は何も変えずに普段どうりに撮影が出来ることにあります。ただ・・・・ISO値を高めて使うとCCD等のデジタルカメラの撮像素子の欠点が浮かび上がってくることになるのです。どんな欠点があるかと言うとCCDにしろCMOSセンサーにしろ、光のエネルギーを電圧に変換する半導体の性質を利用しているのですが、CCDもCMOSも微弱な暗電流が流れ出ていて、微弱であっても、ISOの設定を大きな値にするということは、カメラ内部の情報を掛け算で大きくする仕組みであるため、その微弱な電流がノイズとなって画像に表れてしまうと言う問題を抱えているのです。この、ノイズを各メーカーはさまざまな手法(多くは画像処理ソフトウエア)によって軽減するように工夫していますが、デジタルカメラの本体の中で瞬時に1000万画素に及ぶデーターから、必要な光情報なのか不要なノイズなのかを判定し、ノイズであるとしたら、その情報を除去し、その部分のドット情報には代わりの情報で補間しなくてはならないため、周辺の情報をコピーして補間するなど時間的にも、推測技術としても困難な問題となっているわけです。この技術で成功していないと夜空にちりばめられた星空をデジタルカメラで正確に再現することは出来ません・・・・つまり、カメラには小さな星の光なのか撮像素子のノイズなのか判らないため処理を誤ってしまう可能性が非常に高くなってしまうわけです。さて最期の方法のストロボ撮影ですが・・・・ご存知のように一瞬ピカっと光を補ってその瞬間に撮影を済ませてしまうという・・・・裏技的手法ですが・・・これは記念写真などどうしてもはっきり写っている必要があるときに使うべき物なのでしょうね・・・何故かと言えば、光源が点光源の為、影が出やすいし、色もストロボ光源のスペクトルに依存する為、自然とは言い難く、不自然な反射も起きて、一般的には臨場感に乏しい画像に仕上がりますし、ヒトの顔も瞳の内部反射で赤目に写ったりして、最低限撮れている必要がある時の記録にしかなり得ないのかもしれません。さあ・・・如何でしょう、なんとなくデジタルカメラ(フィルムカメラも電気信号であることを除けばほとんど同じです)の基本的な理解が出来ましたでしょうか?見やすい明るさの自然な画像と言うのは、「適切な光エネルギーを撮像素子に結ばせることで得られる」と言う解釈でよいと思いますが、自分の撮った画像と、プロやベテランの撮った画像とじっくり見比べてみて下さい。恐らくプロやベテランカメラマンの画像とは構図意外でも違いを感じることになるとおもうのですが・・・・何が一番違うかという事を感じて欲しいのですが、一般的にプロやベテランの方々は、自分が狙った被写体にピントをしっかり合わせていても、手前に写りこんでいる前景や後ろに見えている背景がかなりボケて写っていることが多いことでしょう。このことはヒトの認識感覚に合致していて、自分が注視している部分は、そこに集中している為クッキリと見えるのですが、それ以外の景色は、見えていてもぼんやりとピントが合っていないがごとく見えていると思うわけです。そうしたヒトの感覚と同じように、写真を撮る人が、その部分にピントを合わせ、それ以外の前景と背景をボケるように撮れば、出来上がった画像は撮りたい主題だけが浮かび上がって、周りはボケているために目障りでなく、印象の良いものになると思うのです。そんな画像はどうしたら撮れるのか?・・・それは、今までの話で大方気がついていますよね・・・・。つまり、絞りを絞って小さな穴から光を得れば、手前も奥もクッキリとピントの合っている撮影ができる、と言うことの逆を行えば良いということですよね?つまり基本的には、絞りを大きく開けて、その代わりシャッター速度を速くして光エネルギーのバランスを取る訳です。そうすることで、ピントが合うポイントを、狙った被写体だけにすれば、その部分を強調したような画像が得られるわけです。花や昆虫などの撮影は、おおむねこのようにして背景をぼかし、見せたい物だけクッキリとピントを合わせて撮影するのが良いのではないでしょうか、それが人の実際に見ている感覚に最も近いのでしょう。マクロレンズや望遠レンズなどは、そうした絞りの問題だけでなく基本的にピントが合う領域が狭いのが一般的ですから、そうしたアクセサリレンズで更に被写体を強調するような画像も可能になるでしょう・・・・。いわゆる「ボケ味」の良し悪しを云々することですが、そのような用途は写真表現と言うことで、その道に注力する方には欠かせない要素であるようです。私の場合はより克明に撮影したい為にマクロレンズを使っていますが、ピントが薄過ぎるのが問題だと思っているのです。この辺も一眼レフの為に用意されたマクロレンズならいろいろな性格を選ぶことが可能になるのです。補足直射日光が当たるような野外で草花などを撮影する時、背景をぼかして撮影をするために絞りを大きく開放したいけれど、自分のデジカメのシャッター速度が1/2000までしかないといった問題で、光が強すぎて撮影レンジに入らないことが良くあります。ISOの設定も100までしかないことも良くあるので、ISO感度を下げて撮影することにも限度があります。そんなときはNDフィルターという減光フィルターを使う方法があります。カメラ屋さんに行けば普通に売られている商品ですから、自分のカメラに取り付けられる寸法を調べて用意しておくことも良いでしょう。しかし、減光フィルターでも直射日光の下の写真はなかなかコントラストがきつく、バランスの良い画像を得るのは難しいので、日傘やそれに変わる物を持っていることが望まれます。あまり遮光の効きすぎない薄い白い布や紙などで直射を避けて撮影すると、強い影も出ずに見やすい画像が得られることでしょう。そんな時には少し工夫すれば、三脚とセルフタイマーなどを使って、シャッターを押してからハンカチ等を広げて直射日光をさえぎって撮影したり出来ますね・・・・・。全てカメラにお任せモードから一歩出ようと思った方に、この記事が多少でも参考になれば幸いです。