たまには何もしなくたって良いんじゃないか。
何もしない日があっても好いんじゃないか。だって、あんな好い演劇を観た後なんだから。そんな気持ちで、とりたてて何もしない日をつくった。水曜日、演劇部の面々が出るってことで、三宮に『トランス』を観に行った。役者・演出が文句無く素晴らしい出来。演劇って、一人でも下手な人がいれば役者の力量を比較する視点で見てしまい、劇を一歩退いて見てしまう。つまり、感情移入できなくなって、面白くなくなる。でも、この劇は時間を本気で忘れた。ただただ、のめり込んだ。「面白い。」この一言に尽きる。役者、演出家、そしてそれを支えた舞台監督をはじめ裏方の皆に感謝したい。感動で胸がいっぱいになった僕は、帰り道、梅田でベンチを探した。静かな場所を見つけ、座る。ずいぶん長い間、張り詰めて就職活動と学校の勉強をしていた自分に気付いた。ゆっくりと、自分を見つめ合ってみる。自分に対して、問う。僕は、未来の自分に何を求めているんだろう?色んな問いを繰り返すうちに、かつて見えていた「自分」を見失っていたことに気付いた。就職活動を始めた頃に見えていた、自分の目標を、いつの間にか忘れていたことを知った。2005年7月6日の水曜日、『トランス』という劇に出会えてよかった。忘れていた自分を取り戻せたから。張り詰めていた心を、柔らかく解放できたから。いつのまにか見失っていた道を、また見つけられたから。7月7日、夕立が降る前の、晴れた午後3時。ベランダから観る景色が、僕を笑顔にした。