リハビリテーションは確かに効果がある
私は今リハビリテーション病院に勤めている。高齢の患者さんが多く、つまずいて転んだり、尻餅ついたりして大腿骨頸部骨折や腰椎圧迫骨折した患者さんや脳梗塞、脳出血後の麻痺患者さんのリハビリが主である。昔は高齢になりつまずいて転ぶと殆どが大腿骨の頸部が骨折しており、歩けないので寝たきりになり、ボケが進行して廃人になって終末を迎える人が多かったが、今では骨折するとすぐ人工骨頭挿入などの手術をして翌日には車いす乗車などのリハビリを開始してスケジュールにそって様々な訓練を行って機能回復を図り、元通り歩けるようになって退院している。機能訓練には国家資格のPT(理学療法士)、OT(作業療法士)ST(言語聴覚士)が当たってくれている。PTは主として運動や器具を使って身体の機能回復を図り、OTは台所動作や物干し動作、入浴動作、書字、読書などの指導を行い、STは嚥下機能検査や嚥下機能訓練などを行う人達である。骨折するような高齢者は殆どが認知機能障害があり、糖尿病などの内科的疾患を持っている人もおり、それらを総合して月に一回 PT, OT, ST、医師、看護師、ケースワーカー等でカンファレンスを行いながら治療方針を決めている。大腿骨頸部骨折などは原則3か月、脳血管障害は原則6か月の入院リハビリが国で決めた保険診療期間として認められている。概ねその期間内によくなって退院していく患者さんが多いが、中にはその期間が過ぎても入院治療の必要な患者さんがたまにいる。その場合保険診療のカバー率が下がり、病院が不足分を補填しなければならず赤字になってしまうので退院や転院を患者さんにお願いすることもある。高齢になると筋力が衰え、機能が衰えてしまうがPT,OT,STなどの専門セラピストによる指導で筋力を少しづつつけて機能の回復が出来ているのだと思う。私たち一般人も高齢になると機能が衰え姿勢が悪くなったり歩行障害や体動困難を起こしたりするが、専門のセラピストの指導を受ければ筋力が向上して姿勢が良くなったり体動がスムースに出来るようになるかもしれないと思った。