熱帯魚用フードを斬るっ!番外編 おとひめの巻
前回テトラミンスーパーを滅多切り(笑)したこのコーナーですが、今回は一部アクアリストに絶大なる人気のあるおとひめをご紹介いたしましょう。日清丸紅飼料というバリバリの飼料メーカーから発売されているこの餌は、本来は海産養殖魚のための餌です。したがって、熱帯魚用フードと言うカテゴリーとしては番外編とでも言うべきでしょうか。 おとひめは顆粒タイプの餌で養殖業者向けの餌だけあって、そのサイズは実に細かく分かれています。ちなみに画像のものはおとひめB-2と言う商品で、顆粒の直径が0.36-0.62mmと孵化したてのブラインより一回り大きなサイズになっています。まぁ、小型カラシンやグッピー辺りならばこのサイズがお勧めです。ベタ成魚ならばその上のサイズのC-1かC-2辺りが最適でしょう。本来は緩やかな沈降性、つまり始めのうちは水面に浮いていますが水を含むとゆっくりと沈んでいくタイプの餌ですが、コリドラスなどの底棲魚ならばおとひめヒラメと言う沈降性のタイプもありますからそちらをどうぞ。 本来海産養殖魚用のこの餌がなぜアクアリストに支持されているかの一番の理由が、その嗜好性の高さにあります。市販の人工餌の中でも確実にトップクラスの嗜好性を誇り、この餌を食べない魚は生餌以外受け付けないんじゃないかと言うほど!人間様が食べてもいいかな?って一瞬思わせるほど(笑)、エビの香ばしい香りがします。あっ、あとクリープ(コーヒークリーム)の匂いもするんですが、この件に関しては私の友人たちはお前の鼻だけに匂うんだっ言ってますので本当のところは判りません。また、養殖魚用飼料ですから栄養価の点でもまったく心配要りません。 抜群の嗜好性と安価なことから、一部の熱帯魚ショップでこの餌を販売しているところもあるようです。もちろん、非常に優れた餌ですからぜひとも世に広めていただきたいものです。その点では諸手をあげて賛成なんですがぁ~(笑)、ショップオリジナルフードって謳うのはいかがなものかと思います(苦笑) 今のところ褒めてばかりいてまったく欠点の無い餌のようですが、実は大きな問題点が2つほどありまして・・・。一つは、元来養殖業者向けですからメーカーも一般アクアリストの事などはアウトオブ眼中です。したがって、小分けされたものなどは存在しません。ちなみに2枚目の画像が一袋、つまり最小サイズって事になります。その重量はなんと2kg!どれ位の量かって言うのは一緒に写っている私の携帯からご想像ください。 はっきり言って、絶対に一般家庭で使い切ることの出来ない量です。一度開封してしまえば、どんなに気をつけて貯蔵しても餌の劣化・酸化は進行してしまいますから、開封後せいぜい半年もすればいくら残っていても廃棄って事になるでしょうね~。その点からもショップが購入し、小分けにして販売と言う形が望ましいでしょう。 2つ目の問題点が、栄養価!えっ?さっき栄養には問題ないって書いてたじゃないかって?(笑)。実はこの餌、高タンパク質と共に高脂肪でして・・・。もちろん、元々養殖魚を少しでも早く成長させて出荷可能サイズにまで育てることを目的に作られているんですから当たり前の話です。べつにこの餌の栄養バランスが異常なのではありません。でも、アクアリストが嗜好性が高いからってバカバカこの餌与えていると・・・与えているとぉ~!・・・間違いなくあなたの愛魚はブタ一直線です。また、熱帯魚と温帯魚である金魚は必要カロリーの要求度も違いますから、金魚愛好家の方がこの餌使うときはブタにならないように細心の注意が必要です。 ですから、私の所でもベタの成魚にはこの餌与えていません。変にふくよか(笑)な個体に仕上がっちゃいますから。ただ、ベタの幼魚用フードとしてはほぼ完璧かと思われます。私のところでは、孵化直後からブラインのみで育成していたベタの稚魚が生後1ヶ月過ぎくらいの時点からこの餌に切り替えます。ブラインだけだと栄養バランス偏ってるみたいですから。この餌使い始めるとベタの幼魚たちの成長スピードがグンッとアップするのが実感できます。たぶん、グッピーやランチュウマニアの方々も同様の使い方をされているのではないでしょうか。 まぁ今のところ稚魚~幼魚期の人工餌としては嗜好性、価格の両面からベストの選択であることはほぼ間違いないおとひめですが、願わくば日清丸紅飼料さんが変なスケベ根性だして(笑)、脂肪含有率を抑えた鑑賞魚用おとひめを発売してくれないかなぁ~?100g容器くらいのサイズで。