さかなおやじの作り方 vol.008
《前回より続く》 多趣味で凝り性、しかも公立中学の教師なんで夏休みをはじめとして自由な時間にはまったく事欠かなかった父親が、今は使われていない「資材置き場」を放って置く訳もありません。まずは、「母さんが大好きな花だから」と上手い事言ってバラ園を作りました。そして、次にぶち上げたのが「子供の為に!」と言う大義名分で、庭にプールを作ると言う大事業の構想でした。しかも、個人レベルではありえないだろうと思われる「縦横5m四方、深さ1mのコンクリート製プール」を作ると言う計画です。 なんだか物凄く子供思いの父親に聞こえてきますが、彼の真意は追々明らかになっていきます(笑)。構想自体は雄大ですが、しがない公立中学の教師ですから資金面ではあまり潤沢とは言えなかった様で、「プールは自分達で作ろうっ!その方が子供たちもいい思い出が出来るし」とか、これまた人聞きのいい御託を並べて、「自家製プール作り」と言う一大プロジェクトがスタートしたと言う訳です。 確か私の記憶では小学校3年生の夏休みは、毎日このプール作りの土木作業員として働かされたような気がします。大体、父親と小6、小3の息子の3人だけで「5×5×1m」のプール作るかぁ~?地面掘るだけでも物凄い大変でした。もちろん、ブルトーザーとかあるわけも無く、全部手掘り(苦笑)。喘息で体弱い息子になんて事させるんでしょう、この極道親父は。でも、当時は純真で話の裏を読み取るなんて芸当は出来なかった我々兄弟は、夏休みをほぼこの重労働に費やしました。