里見義 埴生の宿
里見義(さとみ・ただし)埴生の宿埴生はにふの宿も 我が宿玉の装よそひ 羨うらやまじ長閑のどかなりや 春の空花はあるじ 鳥は友おゝ わが宿よ たのしとも たのもしや書ふみよむ窓も 我が窓瑠璃るりの床も 羨まじきよらなりや 秋の夜半よは月はあるじ むしは友おゝ わが窓よ たのしとも たのもしや明治22年(1889)12月「中等唱歌集」所収粗末な土間の家も わが家。美しい宮殿の装飾を 私は羨(うらや)まない。のどかだなあ 春の空花は主 鳥は友おお わが家よ 楽しくも頼もしいなあ。蛍の光で本を読むような窓も わが窓。豪奢なラピスラズリの床も ちっとも羨ましくない。清らかだなあ 秋の夜半(よわ)月は主人公 虫は友達おお わが窓よ 楽しくも頼もしいなあ。原曲「マイ・スイート・ホーム(楽しき我が家)」作詞:ジョン・ハワード・ペイン作曲:ヘンリー・ローリー・ビショップオペラ「ミラノの乙女 Clari, Maid of Milan」劇中歌(1823)'Mid pleasures and palaces,Tho' we may roam;Be it ever so humble,There's no place like home;享楽と宮殿の中を僕らは歩き回ったとしてもこんなにみすぼらしくてもわが家にまさるところなし。A charm from the skiesSeems to follow us there,Which, seek through the worldIs ne'er met with elsewhere.天空から来た魅力が僕らをここに連れてくるみたいだ。世界中を探し回ってもほかのどこにもこんなところは決してないさ。Home! Home! Sweet home!There's no place like home!Oh! there is no place like home! わが家、わが家、甘く懐かしいわが家よ、わが家にまさる所なし。わが家にまさる所なし。