昭和40年のもんじゃ焼
坂本野原 昭和40年のもんじゃ焼年寄りし証しなるかはいねがてに昔のことぞ思ひ出さるる *青錆びし十円玉を握り締めもんじゃ焼屋に日ごと通へり粗末なるもんじゃの味を忘れ得ず戦後とは良き時代なりけり鉄板に焦げしソースの味だけが味といふなら味だつたけどアヂシホをかけしご飯が最上と言ひし子もあり貧しかりけり *グルメ趣味無きなりかつて碌なもの食べて来ざりしことを思へば鰹節削りつ胡麻も擂りたりき昔はみんなやらされた、嗚呼*「なるかは」:だろうか、いやそうでもない。(反語)*「いねがてに」:眠れないまま。*「アヂシホ」:「アジシオ」。すいません、旧かなづかいに統一してますので、表記が若干小難しくなっております^^;*なお、わが幼少の砌(みぎり)、当地・栃木宇都宮下町地区では、皆確かに「もんじ焼」と呼んでいた。同じ地区に生まれ育った妻もそう証言している語源的には「文字焼」と言われているので、むしろ東京モンなどよりこちらの方が正しかった(?)著作権を有します。© 2008 Nohara Sakamoto All rights reserved.