松尾芭蕉 あらたふと青葉若葉の日の光
松尾芭蕉(まつお・ばしょう)あらたふと青葉若葉の日の光おくのほそ道元禄二年(1689)旧暦四月一日(新暦5月19日)作ああ、尊い。青葉若葉の万緑を育む燦々たる日光よ。註下野国しもつけのくに(現・栃木県)日光東照宮にて詠んだ。春爛漫の光景を詠うたいながら、長かった戦国乱世に終止符を打ち天下泰平をもたらした「東照大権現とうしょうだいごんげん」徳川家康を讃えた名句。あら:ああ。感動詞。たふと:形容詞「尊し(たふとし)」の語幹。「トート」と読む。ありがたい。もったいない。かたじけない。「たふとし」は、もと文字通り「タフトシ」と読んだのだろうが、音便化されて「とうとい」と「たっとい」の二音が派生し、現代に至った。 世界遺産 日光東照宮 表参道 鳥居ウィキメディア・コモンズ パブリック・ドメイン