小沢一郎代表質問 2
それでは引き続き後半部分をお送りいたします。引用は1と同じく民主党HPよりさせていただきました。私には二つの信念があります。第一は、政治とは生活である、ということであります。先ほど来申し上げているように、政治は国民の生活を守るためのものだからであります。 もう一つの信念は、政治とは意志である、ということであります。主権者たる国民の皆様が決意をすれば、政治は変えることができるのであります。そして、日本国民は、みんなで力を合わせれば、どのような困難でも必ず乗り越えることができる、と私は固く信じております。 その国民の力を最大限に発揮できるようにするのが、政治の役割であり、私たち民主党の使命なのであります。以上、民主党の基本政策と私の所信を申し上げました。総理のご見解を伺います。 最後になりましたが、国会運営について申し上げます。 米国のサブプライムローン問題に端を発した金融危機は、世界恐慌に発展しかねない状況になっております。当然、我が国においても緊急経済対策と各国との政策協調が必要でありますが、同時に、どのような事態にも対応できるようにするためには、政治、行政、経済の仕組みそのものの大転換を実現しなければならないと考えます。 したがって、日本の針路について、国会で十分に議論し、各党の主張を明確にしたうえで、速やかに総選挙を実施し、主権者たる国民の審判を仰ぐ必要があると思います。そして、国民の支持を得た政権が強力なリーダシップを発揮して、このような危機に対処していくのが「憲政の常道」であると考えます。総理のお考えをお伺いし、私の代表質問を終わります。 ご静聴、ありがとうございました。以上引用部終了(太字部編集させていただきました)さて以前掲載させていただいた麻生首相の所信表明演説と民主党小沢代表の所信表明と思われる代表質問とどちらに皆様方の共感が得られるのだろうか。今後の世論調査などの結果により徐々に分ってくると思われる。その前に政治家の統治スタイルを知りたければ、彼らが尊敬する歴史上の人物を尋ねればよいといわれている。(小泉元首相は織田信長だったようだが、そのスタイルはよく似通っていたように思われる)では、麻生首相、小沢代表は誰なのだろうか。これが実に大久保利通と同じである。つまりは共に実務型であり、現実主義的な統治を行おうとするものと予測される。(その為には泣いてばしょくを斬る非情さも兼ね備えているということになる。これは個人のコンプライアンス(佐々氏はこれを法令遵守ではなく、組織防衛と訳すべきと唱えるまさにその通りであろう)危機に敏速に対応し被害を最小限に食い止めるのがこの意味であると説く。この意味でとれば、先日の中山大臣の辞任などに見られるような麻生首相の対応は、この点において適えられているものと言えるだろう。(これの逆を行ったのが安倍元首相であり赤城冬至大臣をかばい続けた事例と対比してみればお分かりいただけると思う)私のように辞任する必要なしと考える者からしても、ここでかばい続けることを得策だとは感じていないのだから批判は最小限に食い止められ、一部からは同情論さえも湧き上がるのだから良しといえるだろう。佐々氏は国家のコンプライアンスは個人のそれとは異なり、こちらに非がないのに謝れば付込まれるだけであり、毅然とした対応こそが国家としてのコンプライアンスの大原則である。としている。この点で捉えれば、小沢代表の対米関係を平等な関係とするという表現はこの言葉どおり米国に対しても毅然とした対応を行うことを予測されるものとなる。前回のテロ対策法案審議で駐日米国大使シーファー氏とのやり取りを思い浮かべる方もおられるだろう。この点は選挙対策の意味合いもある(反米ナショナリズムを持つ人々へもウィングを広げるという意味において)ことを一部差し引いたとしても、わが国の外交の若干の手直しが期待できるのではないだろうか。(米国側から擦り寄ってくる可能性すらないものとは言えない)安全保障面で言えばその他に特筆されるだろうと思われるのが、国連との関係である。小沢氏は湾岸戦争時の自民党幹事長であり、その際条約局官僚(内閣法制局)から国会審議で国連の集団安全保障機能に自衛隊を参加させることは違憲との見解を出させないという密約を得ており、十分に国会対策も練られている点から言って、麻生首相がこの部分については答弁を差し控えたことは賢い選択であったと考えられる。(ただボンクラ細田自民党幹事長が噛み付いていたが勝敗は決定付けられており、この部分には触るべきではなかっただろう。まさに自民党の愚かさを見せられたと感じる)この問題は麻生首相が主張するような憲法解釈を変更して集団的自衛権行使に踏み込み、わが国実力部隊たる自衛隊の海外派兵に道を開きわが国としての国際的役割を果たしていくのか憲法解釈を従前のままとして自衛隊を海外派兵できる新たなる地平を切り開くものとするかの問題に過ぎない。その意味でもその後の記者会見で内閣法制局を廃止して、立法府に設けるという発言はかなりその点が分かっている方々には痛烈なるカウンターと受け取られたのではないだろうか。恐らく米国もこの点に関しては微妙に反応を見せるものと思われる。流石は小沢代表というべきなのか。(しかしこの点についてはまったくわが国マスコミには生体反応が見受けられない、まさに死亡状態である困ったものである。昨日の論戦の肝はここにこそあり。)発言した小沢代表、答弁をあえて避けた麻生首相ともに合格点である。小沢代表の言葉をご覧いただいて皆様はどうお感じになったのだろう。私はやたらに国民という言葉を用いていると感じたのだが、これはポピュリズム的政治を予感させるものと私はこの点は批判的な見方をしている。(社民主義的なお考えの方々ならば市民という言葉を用いて欲しかったんではないだろうか。そこまでは踏み込まないところに保守政治家としての小沢氏の姿も感じられることは感じられたのだが。。。)小沢氏は「日本改造計画」では生活とは安全保障であると断言されておられたが、今回の代表質問ではこの点までは踏み込めていない。残念な点である。(選挙協力のために社民党へ配慮したのだとすれば残念至極である)では次期総選挙での政権公約の部分について二三論評を加えたいと思う。まず工程表を述べていた点は高く評価できるものと私は感じる。私の受けた印象では予算編成権を内閣が握るつもりのように聞こえたが、この点は私は大賛成である。この点を変更しない限り官僚内閣制からの脱皮は不可能でsると思われるからである。ただしそこには問題点もある。現職および次期総選挙立候補予定者にその能力があるかどうかという点である。これは麻生首相も答弁していたように小沢代表が大連立構想に前のめりになった際に・まだまだ民主党には政権を担う能力がない・その力量を培うために大連立を果たし、二大政党制を実現するとの趣旨の発言をされていたことからも即戦力としての能力には疑問を呈するところである。与党議員を各省庁に入れ込んだとしてもその能力を身に着けるのは数年先と思われる。となれば、理念のみが先行するという民主党の最大の欠点が露になる懸念が拭い去れない。また優先的な項目を指示したとしても、それまでのものが全ては無駄ではないためにどこかを削る結果となることは明白である。小沢氏はこのような点を著書には記しているものの、今回の答弁では言及されていない。ここは改革にはどこかに負担が行くものであることは明白に示しておくべきだったのではないかと感じる。医療改革と称して医師不足問題を解決するとして医師の五割り増し政策を掲げているが、大学卒業まで6年の歳月がかかり、早急なる改革案とは言えない。ここでは米国のようにナースの利用にまで言及し、ナースの権限拡大(施設解説の許可)まで踏み込むべきだったのではないだろうか。簡単な治療行為はこれらの施設で行うことができれば、医師の負担軽減につながるはずである。また医局制度を元に戻すなどの制度改革が進まない限り、各大学病院の医師不足は収束せず、研修医はより高給を求めてそれぞれの診療科、施設、地方へと回り偏在を是正できない。この点は机上の空論としか言えない杜撰極まるものである。(過去の医療体制は大学病院の薄給によって支えられているものであることを多くの国民は知らない。私立大学教授クラスで1000万弱程度なのである。マスコミの40歳前後程度である。ということをもっと知っていただきたい、印象だけで判断すると混乱はさらにひどくなる)教育に関してであるが、私はほぼ全入状態の大学数が適当であるとは考えない。極力絞ることも求められてもよいと思われる。(公立高校の無料化よりも私は幼保一元し幼児教育の充実に当てるべきであると考える)「食品安全行政を総点検、一元化して、食の安全を確実なものにします」この部分が麻生首相の消費者庁設置に関する答えなのだろうが、あまりに漠然としている気がする。といっても自民党の案も然りである。ここは早急に行うことよりも、与野党が一致できる案を一年掛けて成案とすべきであろう。自民党は今後も民主党の財源について追及すると思われるが、それは上記したように徒労に終わるものである。なぜなら優先的にこれらに掲げられた政策に対して使用するからである。となれば自民党が突っ込む点とすれば、どこを削るかという点に絞られるべきだろう。出なければ不毛の討論が今後も続けられることになる。これこそが税金の無駄である。解散権は首相の専権事項である。これは麻生首相の答弁がまったく以って正しい。以上のようになかなか興味ある質疑応答であったのだが、これを捉えているマスコミがない。一様に選挙はいつか、民主党の財源はこれでよいのかなどの短絡的な発想から抜け切れていない。もはやマスコミは頼りにならないとして、国民自らが何事に関しても深い関心と危機感の上に立って、常に自らの頭で一所懸命に考え、かつ自分の言葉で正しく表現する能力を身につける努力をすべきであると思う。文責 上田 和哉