デビッド・フランケル「ワン チャンス」パルシネマno24
デビッド・フランケル「ワン チャンス」パルシネマしんこうえん 神戸の名画座といえば、老舗映画館のここを忘れるわけにはいきません。「パルシネマしんこうえん」です。何で新公園というのかわかりませんが、湊川公園の地階にある「ミナエン商店街」の入口にあります。40年前の学生時代からありますが、昔は名前が違ったような気もしますね。「新公園」と呼んでいたような・・・。 ただ、そのころ、この近所には「福原国際」という、よく通った4本立て映画館がありました。トイレのドアが壊れていて、ことに及んでいて風が吹くと開いてしまって往生した覚えがありますが、「仁義なき戦い」とか日活のロマンポルノはそっちで見ました。 その頃から、ここは穏やかな二本立ての映画館でした。二年前に映画徘徊を始めて月に一、二度のペースで寄らせていただていましたが、新コロちゃん臨時休館で、ゴジラ老人にとっては、ほぼ百日ぶりの新開地、パルシネマ「復活の日」でした。 二本立ての一本目のプログラムはデビッド・フランケル監督「ワン・チャンス」でした。ちょっと古い映画なのでチラシがなかったのがザンネンでした。 オペラのテノール歌手ポール・ポッツの出世譚でした。世界的な人らしいのですが、オペラなんて全く知らないぼくには、ただの内気な太っちょのオニーチャンでした。 とはいうものの「心あたたまる」いいお話し で、クライマックスで『トゥーランドット』の、まあ、この曲は、ぼくでも聞き覚えのあったのですが、「誰も寝てはならぬ Nessun dorma」が響き始めると、ちょっとドキドキしたのでした。Ma il mio mistero è chiuso in me (秘密はこの胸の中にあり)il nome mio nessun saprà! (私の名前を知るものはいない)No, no, sulla tua bocca lo dirò(日が輝くときこの唇で)quando la luce splenderà! (あなたの唇の上にそれを伝えるのだ) むかし、フィギア・スケートの荒川静香さんが氷の上を仰向けになって滑って世界一になったシーンは覚えていますが、その時鳴り響いていたのがこの曲だったことはおぼえていませんでした。海の向こうの人たちにはチョー有名で、誰でも知っている曲だったんですね。 映画の筋とは関係のない感想かもしれませんが、酒場の労働者とかテレビの視聴者のような「ただの人たち」がオペラのアリアに感動するシーンが、実は、一番驚いたことでした。オペラという文化はイタリアとかドイツとか特定の地域に限らず、たとえばイギリスなんかでも「ふつうの人たち」のものなのですね。 いろいろ分かったふうなことを口にして、とどのつまりには「民度」なんていう、自分でもわかっていないらしい言葉で、よその国に対して「無知」をさらけ出し、「無能」を糊塗するのはやめた方がいいですね。 帰宅したぼくは、まあ、アホですが、一晩「誰も寝てはならぬ」とばかりにオペラ三昧でした。今時、プッチーニでもヴェルディでも、すぐに聴けちゃうわけですが、ヤッパリ「アイーダ」とか癖になりそうですね。監督 デビッド・フランケル 製作 マイク・メンチェル サイモン・コーウェル ブラッド・ウェストン クリス・サイキエル 製作総指揮 ボブ・ワインスタイン ハーベイ・ワインスタイン スティーブ・ウィットニー 脚本 ジャスティン・ザッカム撮影 フロリアン・バルハウス 美術 マーティン・チャイルズ 編集 ウェンディ・グリーン・ブリックモント 音楽 セオドア・シャピロ 音楽監修 ベッキー・ベンサム 楽曲吹き替え ポール・ポッツ 主題歌 テイラー・スウィフト キャストジェームズ・コーデン (主人公ポール・ポッツ)アレクサンドラ・ローチ (恋人ジュルズ)ジュリー・ウォルターズ (母イヴォンヌ・ポッツ)コルム・ミーニー(父ローランド・ポッツ)2013年・103分・イギリス原題「One Chance」2020・06・12パルシネマno24ボタン押してね!ボタン押してね!