「雪猫」 大山 淳子
2012年12月 講談社より2013年12月 文庫化ぼくはタマオ。真っ白な猫だ。生まれたばかりのぼくの命を救ってくれた里々子に恋をしている。ある日あやしい車に追いかけられた彼女を助けようとしたぼくは青年の姿になっていた。夜限定の変身、寿命も縮む。でも愛しい里々子のために・・・・。大人気「猫弁」シリーズの著書による、せつなすぎる涙の恋物語。(裏表紙 紹介文より)猫弁をとても楽しく読んだので、同じ作者の別の話を読んでみました。主人公はタマオという名の白猫。猫の視点から描かれた話になります。ゴミ袋に入れられて捨てられたために窒息死しそうになっているタマオを小学生の里々子が助けて飼うことになる。里々子に恋をしたタマオは、彼女のために生きる、という話です。猫弁が全てがうまくいく超ハッピーエンドなのに対し、これは悲劇物語です。話としては感動的なのかもしれないですが、猫弁のような楽しく幸せな話を期待していたのでガッカリしました。他の話も読むつもりだったんですが、何だかその気がなくなってしまいました。雪猫 (講談社文庫) [ 大山淳子 ]価格:604円(税込、送料無料) (2017/8/21時点)以下、粗筋と感想になります。ネタバレに注意。猫は10年生きると、特別な能力を1つ身に付ける。タマオは人間に変身できる力を身に付けた。里々子の危機に強く願うと、人間の若者に変身できる。しかしその能力は、変身をすればするほど寿命が縮む、というものだった。そのことを、タマオはやはり変身能力を身に付けた黒猫のイブから教わる。イブは、寿命が縮むことを承知で、変身して飼い主に手紙を書いていた。飼い主は作家。数年前に妻を亡くし、生きる意欲を失ってしまっている。イブは飼い主に立ち直って欲しいために、妻が結婚前に飼い主に出した手紙を真似て手紙を送り続けている。やがてイブは力尽きて死んでしまう。タマオは人間に変身するのはもうやめて、里々子と長く一緒に生きていこうと決心する。が、雪の日に傘を持たずに出かけた里々子が風邪を引かないようにとタマオは人間に変身して、里々子の傘を持って走っていく。その途中、タマオは車にはねられ、猫の姿に戻って道ばたに倒れる。白い雪の上に白い猫。運転者は自分が何を轢いたかわからず、そのまま去ってしまう。死んだタマオの上に雪が降り積もり、姿を隠す。通りかかった里々子は、その傍らに刺さった自分の赤い傘を見付け、どうしてこんな所にあるのだろうと不審に思いながら持って帰る、という話。うーん・・・イヤな話だ。猫が死ぬ話とか、もう全然読みたくないです。他にも、イブが今の飼い主に拾われる前に、前の飼い主に川に投げ捨てられたエピソードとかも超イヤだった。女子中学生がイブを飼っていたが、ある日きれいなアメショを買ってきて先住のイブがアメショを躾けたら、アメショは納得していたのに飼い主に捨てられた、ってサイテー。この作家の話はもういいや。