朝の光のプロムナード
最近の目覚めの音楽は、 ムソルグスキーの「展覧会の絵」。 もちろん、ラヴェル編曲のオーケストラ版。 演奏は晩年のジュリーニ=ベルリン・フィル。 このコンビでこの超メジャー曲の録音が残されているところが なんとも言えず贅沢である。 ところで、 僕の嫁さんによれば、 この曲の冒頭の「プロムナード」は、 「アルプスの朝の夜明けのイメージ」なのだそうだ。 おいおい、この曲の名前を知って言ってるのか? 恐る恐る聞いてみると、 「知らない」 という堂々たる返事が返ってきた。 あのな、この曲は「展覧会の絵」っていってだな、 「プロムナード」というのは廊下という意味であってだな、 たぶんこの曲想から察するにその廊下のイメージは 長くて天上が高くて真っ白の大理石であって… と説明しても、 「ふーん、そーなの?」 という程度である。 ま、いいや。 僕は説得をあきらめた。 一度染み付いた音楽のイメージを引っ剥がすのは容易でないのだから。 アルプスの朝の光のプロムナード、よいではないか。 どちらにしても、ジュリーニの演奏はとても悠然として落ち着いていて、 朝の目覚めの音楽にぴったりである。