管弦楽のための協奏曲(バルトーク)
以前にも書いたかもしれないが、 「コンチェルト・フォー・オーケストラ」 という、なんとシンプルなタイトル。 まるでバッハのよう。 しかしながら、作曲者がベラ・バルトークとなると、 そのタイトルの重みと意味が全く違って異なって聞こえるから、 不思議だ。 バルトークは、とても男くさい作曲家である。 彼の男性性的なるものが、 鋼のように錬えられており、 蒸留酒のように人を酔わせる。 凝縮された音楽。 力強さ、虚栄心、残酷さ、執着心。 ユーモア、諧謔、皮肉、いやらしさ。 愛情、繊細さ、傷付きやすさ。 悲哀。 そして、性的なものと、民俗性。 ベートーヴェンも確かに男くさいが、 バルトークのそれは、まったく違うのである。 江戸っ子と九州男児以上の開きがある。 さて、標題の「管弦楽のための協奏曲」。 全五楽章の大曲であり、 序章、対の遊び、エレジー、中断された間奏曲、フィナーレ。 すべての楽章が完璧で、異常に純度が高く、そして、「男くさい」。 演奏は、カラヤンも優れて緊張感があるが、 アンサンブルの精度によりバルトークの深層を掘り下げた ジョージ・セルに首席の座を渡そう。 併録のヤナーチェク「シンフォニエッタ」は、 言わずと知れた青豆さんの愛聴盤。 『1Q84』のお陰で、随分この盤も売れたはず。 「シンフォニエッタ」だけでなく、 購買者の方には、是非この「管弦楽のための協奏曲」も聴いてほしい。 『1Q84』BOOK3、僕も楽しみませていただきましたが、 村上春樹のこの作品について述べるのは、もっと後にしたいと思います。 だって僕は、今のところ『ノルウェイの森』についても、 『羊をめぐる冒険』についても、述べる資格を持っていないのですから。