『アウトブレイク』1995年アメリカ映画
先週は冷え込んだと思ったら、1月にしては暖かくなったりと、寒暖の差が激しかったですね。私も鼻かぜ気味が続いています。こういう時は体調を崩しやすいので、気をつけないといけませんね。さて、新型コロナウイルス問題は、深刻化してきていますね。中国では2月1日時点で感染者数は1万4千人越えで、300人を超えたとの報道が流れています(イギリス・ランカスター大学とグラスゴー大学、アメリカ・フロリダ大学の試算では、武漢だけで35万人が感染する可能性を指摘しています)。日本でも、先週は武漢から政府チャーター便での在留邦人の引き上げがはじまり、感染者数が20名を超えたことが判明して(2月2日時点)、現場の混乱も拡大しています。ウチの会社でも、先週中国への渡航自粛勧告が出ました。これは安倍総理が、1月28日から新型コロナウイルスを指定感染症に指定したことによる対応処置です(ちなみに、WHO(世界保健機関)による国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言、アメリカの緊急事態宣言は1月31日なので、日本の方が早かったことになります)。この冬は、インフルエンザよりも、新型コロナウイルスの脅威にさらされることになりますね。新型コロナウイルスの恐ろしいところは、感染経路が不明であり(何を宿主にしているわからいなのでは、感染元を把握して阻止することができません。そのため感染がいつ終わるかの予測も出来ません)、体内に侵入してから発病するまでの時間も不明、そして治療方法が不明と、三拍子それっています。致死率も約3%(1月24日時点)と、エボラウイルス(種類によって死亡率は異なりますが、最も狂暴なザイールエボラウイルスの場合は、死亡率90%です)に比べると致死率は低いですが、空気感染する上に感染力がバカ高く(エボラは、サルだけに発症するレストンエボラウイルスを除いて空気感染はしません)、パンデミック(爆発的な感染)をひき起こしやすい厄介な特徴があります。まだまだ長期戦になりそうですね。感染が日本や諸外国に広まらないことと、中国の流行が早く終息に向かうことを願っています。皆様も、外出後の手洗いとうがい、マスクなどを使用した対策をお願いいたします。さて、久々に映画のご紹介をしたいと思います。1995年のアメリカ映画、『アウトブレイク』です。↑日本語字幕のある広告はないかなと思ったんですが、残念ながらありませんでした(汗)。でもまぁ、雰囲気は伝わりますかねぇ・・・。映画の大雑把なさわりですが、1967年、コンゴ内戦下のザイールで、傭兵部隊の間で原因不明の出血熱が発生します。調査のため現地を訪れたアメリカ陸軍は、予想以上の惨状に驚き、感染者の血液を採取した後、証拠隠滅のため傭兵部隊キャンプを、気化爆弾で「消滅」させます。それから数十年後、ザイールの小さな村で、未知のウイルスが原因の疫病が発生し、救援のために現地に派遣されたUSAMRIID(ユーサムリッド:アメリカ陸軍感染症学研究所)の軍医サム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)は、病気で全滅した村の惨状に愕然とします。空気感染はしないものの感染したら短期間で発病し、致死率100%のウイルスに危機感を抱いた彼は、軍上層部とCDC(アメリカ疾病予防管理センター)に勤務する元妻ロビー(レネ・ルッソ)に警戒通達の発令を要請しますが、双方から「アメリカへの上陸の可能性は小さい」として、却下されてしまいます。しかしその頃、未知の病気で全滅した村の近くで捕獲されたサルが、アメリカに密輸入されようとしていました・・・。少々ネタバレを含んだ映画の解説をしたいと思います。映画の前半は、未知のウイルスがどうやってアメリカに上陸していくか、そしてどう広がっていくかが描かれています。映画を見ている側は、ウイルスと抗体をもった宿主がサルであることに、すぐに気が付けますが、登場人物は全く知りません。唐突にボストンで現れた発病者に狼狽することになります。このウイルスは、感染後24時間で発病することがわかります。CDCのロビーたちの努力で、患者と同じ飛行機に乗っていた乗客、家族などを隔離して、24時間後に次の発病者が出なかったことで、「封じ込め成功!」と大喜びしているところに、ボストンとは正反対のカリフォルニア州の小さな町で新たな感染者発生の報告が届き、静まり返るオフィスと言った描写は、観る者に緊張感を与えます。そして後半は、感染を封じ込めるために軍によって完全封鎖されていく街の様子、さらに、突然変異して空気感染するようになったウイルスが小さな町を飲み込んでいく様子が描かれていきます。一方ワシントンでは、「感染を阻止できなかった場合、48時間で全米中にこのウイルスが蔓延する」という試算を聞き、ある決定を下します。またダニエルズは、親友であり上官でもあるビリー・フォード准将(モーガン・フリーマン)の不審な態度に、軍がこのウイルスの存在を知っていたのではないかという疑念を抱きます。とまぁ、これ以上書いていると、全部ネタバレしそうなのでこの辺にします。 軍の陰謀やアクションなど、ハリウッド映画定番の設定を多分に含んでいますが、出演陣の人間臭さもイイ感じに出ています。別れた妻に未練たらたらのダスティン・ホフマン、こちらも意地を張って素直になれないレネ・ルッツ。医師としての倫理と、軍人としての責任のはざまで、人知れず懊悩するモーガン・フリーマン。相変わらず見ている側に、殺意を抱かせるほどの悪役っぷりのドナルド・サザーランドに、最初は頼りない新人だったけど、後半は無くたてはならない人間に成長していくキューバ・グッディング等の見どころもありますが、やはり最もインパクトがあるのは、病気で次々と倒れていく街の人たちの描写でしょうね(キャスティングはほとんどないので役名も不明です)。封鎖を車で突破しようとして射殺される人、死におびえて泣き叫ぶ人、廊下にまであふれた患者たちを前に懸命に治療する医師や看護スタッフ、症状が出て家族に別れを告げながら家を手で行く人(病気が感染するかもしれないから、子供を抱き上げることもできない)、など、壊れていく日常も幕間で描写されています。この映画が、当時すごくインパクトがあったのは、日本でも公開された時、映画のウイルスの元ネタであるエボラウイルスが、ちょうどザイールで再び猛威を振るい、大騒ぎになったタイミングでした。映画と同様に、隔離地域を軍隊が監視し、脱走をここ広観た場合は容赦なく射殺するという通告も出され、それが日本では衝撃的なニュースとして取り上げられました。今は新型コロナウイルスの騒動の真っ最中という事もあり、落ち着いてみるのはちょっと、という方も多いかと思います(私もこの時期に紹介するのは、一種の煽り記事と同じかな・・・という気持ちも強いです・汗)。病気が終息してから、ゆっくり観てみるがいいかもしれません。娯楽作品ですが、考えさせられる点もありますから。それではまた。