カレーライスの日 その2
カレーライスの日 -その2- /子狐(ベティ)と子狸(文福)「ふうん?カンゲキ? …カンゲキ? わたシ、わかんなイ。」なにやら美味しそうな感じがしないでもないが、言葉の意味がわかんない。日本語はやはり難しい。というより流暢に喋れる文福の能力がすごい。私も文福みたいにビデオとかで勉強すれば覚えられるようになるのかな。ますたぁーともっともっとおしゃべりできたら楽しいだろうな。「意味は……、おいらにもよくわかんねぇけどさ。 こう…甘いのと辛いモノが一緒になった感じがメチャメチャ旨いんだ。 姐さんがもっとも得意な日本料理だかんな。」白い歯をニッカりとさせて彼は笑う。私が私のますたぁーを大好きなように彼は彼のマスターが大好きみたい。でも私はキャシーのことはあまり好きじゃない。どちらかというと嫌い。そりゃ、一応私の名付け親だし、いろいろとお世話になったらしいのだけれど、やっぱり…好きじゃない。だって、私のますたぁーにベタベタするんだもん。だから、嫌い。「でも、大根入れてくれないヨ。人参は入れるのニ。 べてぃはお肉も好きだけド、蛸も好きなノ。」あのグニュグニュした感触はたまんない。噛めば噛むほど味が出てくるのもまた嬉しい。「て、てやんでぇい。なんで蛸なんだよ!シーフードにしたってイカだろうが!」「あっ、江戸っ子! ふふふ、文福、江戸っ子!」「う、うるせぇー! もう、おいら、先に行くかんな! こんなとこで道草食ってたら、姐さんに怒鳴られちまわぁ。」彼が顔を真っ赤にしたかと思ったら、そのまま駆け出した。私も慌てて走り出す。「待ってヨー、ぶんぶクーっ!一緒に帰らないとますたぁーに叱られるヨー。」昼下がりの商店街、少しお客が増えだしたようだ。夕方の人ごみには及ばないけど、走り抜けるにはちょっと厳しいかも。両手いっぱいのお買い物袋も大切に運ばないといけないし…。でも…。しかし……。それで………!?「文福、走るの遅イ! 追い抜いちゃたヨ。」 …to be continue.