ウンコと滑り台と仮面ライダーと友人の愛
★ウンコと滑り台と仮面ライダーと友人の愛★自分が通っていた保育園の園内には陽の当たる場所にある、大きめの滑り台と建物とフェンスに挟まれた日陰にある小さい滑り台の大小ふたつがあった。日向の大きい方は人気があり、順番待ちがあるのでそれを避け自分と友人のコウヘイ(仮名)は小さい方で遊ぶことにした。その頃の子供の憧れは仮面ライダーで自分も例外に漏れず夢中になっていた。大きくなったら変身出来ると信じていたかもしれない。滑り台の上に立ち、颯爽と滑り降りた自分はヒーローに成りきってポーズをとってみた。キマったポーズの右掌に滑り台の手摺がかすった。と、なにやら妙な感触がある。 ヌルッとした様な・・・見ると黄味がかった茶色の物体が掌に付着している。何かな?と思う間もなく、仄かに漂う香りがこの未知の物体が糞便、すなわちウンコであることを教えてくれた。何故こんな所にウンコが?全くもって納得いかないがそんなこと考えてる場合ではない。掌に付いた、その動物のモノとも人間のモノとも知れない黄土色をどうすべきか。自分はうろたえた。「どうしよう」「石鹸で洗えはキレイになるよ」コウヘイの言葉に促され手洗い場に向かった。普段は親にうるさく言われない限り、マトモに手など洗いもしないのだけどこの時ばかりは丹念に泡を作り、流してはまた作りして丁寧にしっかりと洗った。洗ったのだけど、まだなんか付いてる様な、感触が残ってる様な・・・だって、つい今しがたまでこの手には間違いなくウンコがついていたのだから。洗ったとはいえ、どうもまだキレイになった気がしない。「キレイになったかなぁ‥?」「うん、なったよ」だけども今一つキレイになったという決定的な確証になるものが無い。「・・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、舐めて~。」差し出した右手をコウヘイはためらいもせず舐めた。それを見て自分は何だか安心した。★ポンチキ遊び★少し広めの庭を挟んだ向かいにあるコウヘイ宅その日は、コウヘイ以外の家人は留守だったので誰もいない家の中で二人遊んでいた。たまたまあった段ボールの箱を見つけると二人は変テコな遊びを始めた。それは、まず一人がズボンとパンツを脱ぎ頭から段ボールに入り、裸の下半身だけ箱から出した状態になりもう一人がそれを上から眺める、というものだった。自分では見えない部分である。物珍しかったのか、神秘的だったのか(笑)その時の心境は思い出せないのだが要するに単なる肛門観察遊びである。恐らく家人在宅中にはやらなかったであろうその遊びを留守中に決行したところから察するとやはりちょっといけないことをしている位の感覚は有ったのかもしれない。自分はこの遊びの名称をポンチキ遊びと称した。意味などあろう筈がない。響きの面白さから子供が勝手に名付けた他愛のないものだ。だから何の脈絡もなく、一瞬にしてそれは決定されたのである。とにかく、お互い交互に役割を交代しながら観察を繰り返しコウヘイが肛門をさらし、自分がそれを眺めながら「もっと拡げなきゃダメだよ」などと指示をしていたその時開け放ってあった玄関の向こうに、彼の母親の姿が見えた。何故か不機嫌に怒っている様子である。それに気付き慌ててパンツを穿くコウヘイ。嵐の前の静けさともいうべきか、彼の母親はその間も眉間をしかめ終始無言だった。自分が帰宅すると、待ってました、と言わんばかりに母親が出てきた。大方、電話か何かで既に報告がなされていたのだろう。「あんたら、尻出し遊びしとったらしいね!」子供とは妙な部分に拘るものである。自分は言葉を返した。「違うよ、ポンチキ遊びだよ」「ポンチキでも何でも、そんなことはどうでもいい!!」こっぴどく叱られたのは言うまでもない。コウヘイもまた然りだろう。