乗鉄馬用天然皮革製外套
革製品が好きでなかでも取り分けライダースジャケットと類別区分されるバイク乗りが装備として着用する類のものに心ときめき胸踊るわけでところが、わたし自身ばりばりのバイカーなどではまるでなく要するに昔からある、革ジャン=ハードな、不良チックな、ロック的なといったイメージ。まあ、ロックなわたしがこういったものを好み着用するのは至極当然、至って自然の成り行きではあるのだけれどどうもロックで革ジャンとなるとどうしてもダブルと呼ばれるデカ襟の黒いものに金属製のいがいがを装着した攻撃的なイメージが世間的には強いようでしかしながらちょっと大人なわたしはシングルと呼ばれるすっきり立襟タイプが好みであり色は赤、白、黄色。わっはっはっ。チューリップかいな。って、いやあ実際の話、ベルトや財布、靴も然りなのだけれどわたしの場合、これ、いずれに於いても黒を選択することは、ほぼ無く例えば、希に選択所有してはみても、身に付ける頻度が極めて低い。なんか地味~な感じがするんだよね。まあ、何はともあれ、ロックでゴーってな感じである。シャンソンだけど。 あーうぃ。ところで、所有しているものがハードで奇抜なウエアばかりだと困惑する局面無きにしもあらずで例えば、そういったハードだったり奇抜なものを着用する場合少なからず、気合いというか気力が必要であり気分が落ちている時などは、ある一定水準まで気持ちを持ち上げ、持ち上げして着用せねばならずああ、今日は駄目だな。誰とも会いたく御座いません。本日は家にてひっそり過ごしましょう。ところが、そんな日に限ってタイミング悪く、冷蔵庫は空。インスタント食品はおろか、スナック菓子すらゼロ。胃袋はエンプティー。仕方あるめぇ。ってんで、買い出しに出かける身支度を始めるわけなんだけど本日の冴えない気分にこの服装は無えやな、って酷く凍える夕暮れではあるけれど、上着無しで出かけたまでは良いけれど案の定、云わんこっちゃない。風邪なんぞおっぴき白、黒、抹茶、あずき、コーヒー、柚子、桜、ならぬあら、喉真っ赤!脚気、高熱、下痢、嘔吐って感じ。三日三晩、床にてのたうち、いまだ気分すぐれぬけれど再度食料調達に出向かねばならぬことと相成り気分冴えねえなぁ、とは云え、また上着無しで出かけたりなんかして病状を悪化させるわけにもいかぬのできえぇぇ!と気合いの一声。へろへろの気持ちを奮い立たせハード且つ奇抜な、銀ぴかレザーに赤い毛がまだらに生えたコートを羽織りいざ出陣。ところが、病の床で衰弱し切ったその顔は、髪ぼさぼさ眼は落ち窪みさらばえた老人さながら歩く姿はよたよたと、気丈に振る舞おうとすればする程にぎくしゃくと壊れたゼンマイ仕掛けの玩具のよう奇妙な動きとなりそれとは相反し対象的な、そこいらではついぞ見かけぬド派手なコート。これはトータルバランス的に奇矯の極みであり弱り切っているところへもって、民衆の情け容赦無い好奇の目に晒されつつき回されしてところが、そういった状況が手に取るように分かる程何故だか頭脳だけは冴えきっているのがなおさら辛いところなのだけれどどうやら頭脳と身体はまるで連動していないらしく精神的な辛さとは裏腹に、気が付くと笠置シヅ子の「買い物ブギ」をげらげらと笑いながら、時折、涙を流しつつ狂おしく熱唱している有り様。おっさん、なんぼで、これ、なんぼ?おっさん!おっさん!おっさん!げらげらげら。それでも何とか、ようよう買い物を終え疲労困憊し、夢遊病患者のごとくに帰宅。玄関扉を閉めるが早いか、糸が切れたように昏倒。サバラ&グワシ 当方所有の革製品を用いた究極のき●がいコーディネイト。これ、諸々の宝くじ、いずれかに於いて億単位の賞金を獲得した際の失禁いや、出勤スタイル。まあ、その場合、失禁でも何ら問題無いですがね。ヲシテネ。