私立高校受験 中学校による事前相談の禁止について
私立高校受験における事前相談について、ベネッセの「保護者サポート 中学講座」は次のように解説しています。(以下引用)。
私立高校の推薦入試の受験を希望する場合や東京都や神奈川県、千葉県などの私立高校で一般入試(併願)の受験を希望する生徒について、その学校の基準に達しているか、どのような中学校生活を送ってきた生徒なのかを確認し、そのうえで私立高校から在籍する中学校の先生に「合格の可能性」が伝えられる場です。(引用終わり)
茨城県の公立中学校と私立高校間との間でも慣行としてこの「事前相談制」がとられてきました。
しかし、中学校側(県)からの通告により昨年の事前相談期間中に突然この制度の利用が禁止され、今年は茨城県全体として「厳禁」ということになったようです。
これまで、みなさんの周りで私立高校の「不合格」という話はあまり聞いたことがないと思います。それはこの制度が存在していたことによります。
制度廃止の是非は私には判断しかねます。
ただ、なかなか1月の入試一回のみの出来具合により「3年間の学費無料保証を出していいのか」、「1年間の学費無料保証を出していいのか」、「どの学力水準のコースで合格させるのか」、そもそも「合格させてうちの高校に入学許可をだしてもいいのか」を判断するのは難しいと思います。
私立高校としてもその点は慎重にならざるをえず、どこまで特待になるか、どこまで合格させるかの基準はより厳しくせざるをえないと思います。
たしかに建前としては「学業特待とか学力によるクラス分けとかは私立高校が勝手にやってることでしょ。あなたたちは入学定員さえ満たせばそれで十分なのよ。」というのはその通りなのかもしれません。(「公」から「私」への上から目線)
しかし。。。
今後は私立高校の入学試験もより厳しさを増し、一校受験でよかったものが「滑り止めの滑り止め」のような二校受験が増加するかと推測します。
中学生と保護者にとって益することなのかどうか。
中学校の先生方の負担の軽減という点では「茨城県学力診断テスト」の廃止と並んで働き方改革に資するということはあるかもしれません。
これからは、もしかしたら埼玉県のように併願特待をもらうのも「北辰テスト」+「個別相談」のようになっていくんでしょうかね。
埼玉県はずいぶんと前に今回の茨城県と同じ「騒動」があって現在の体制が確立したようです。(※)
ただ茨城県には「北辰テスト」にあたるものがありません。先月、塾生に北辰テストを受けてもらいましたが、受験者はなんと46,107名です。これは昨年度の埼玉県立高校受験者数(41,280名)を上回ります。アクチュアルな問題として埼玉県の中学生は北辰テストを受けないと高校生になれません。ほぼ全員が毎月4,730円を払ってわざわざ会場に出向きこの業者テストを受けています。塾をやっていていうのもなんですけれども、これって正常な状態なんでしょうか。結局、余計な費用と手間がかかるだけのような気もします。
(以上はあくまでも私見です。)
※1993年、当時の鳩山邦夫文部大臣(由紀夫の弟)が中学校における業者テスト廃止の方針を出したことによります。(ご本人は駿台模試で全国1位だったというのに。)
北辰テストは茨城県でいうところの校内実力テストでしたが、この際に外部模試になり、中学校での実力テストは行われなくなり、「高校入試は各自で勝手にやってください。」ということになりました。
たしかに中学校の役割というのは中3の3月までに教科書(義務教育の内容)を教え終わればよく高校受験に関わることは業務の範囲外ということもいえます。