さようなら・こんにちは、レ・リタ・ミツコ (2 sur 3)
(いちおう、1つ前の記事の続きです。) 私がフレッド・シシャンの死を知ったのは28日の夕方オペラ近くの日本食材店で買い物をしていた時。店内に流れているラジオを全然気にとめていなかった私の耳に「レ・リタ・ミツコ」という名前が急に飛び込んできたのです。 何日か前から「そろそろ、レ・リタ・ミツコのオランピアでのコンサートだなぁ」と思っていたところだったので、本当にびっくり。(実際、そのコンサートはフレッド・シシャンが亡くなったこの28日に予定されていたそうです。)商品を選び終わったのに売り場を意味もなくウロウロして、このニュースを最後まで聞きました。 そのラジオではボーカルのカトリーヌ・ランジェの事を「compagne《コンパーニュ=奥さんとか恋人の意》」と言っていたので、私は初めて2人がそういう関係だった事を知りました。(遅いってば・・・。)彼女は今どんな気持ちでいるのだろうなんて漠然と考えた時、頭の中を流れ出したのが最新アルバム「Variety」の中の一曲。それは、今までの彼らの作品とはうって変わってとても穏やかなナンバー。なんどもリフレインされる「メルスィ《ありがとう》」の言葉が私の耳に印象的な歌。 その日の晩、ディノがようやくノルマンディーの実家から戻ってきました。フレッド・シシャンが亡くなったというニュースを告げると、やっぱり驚いているディノ。前日深夜のテレビで偶然レ・リタ・ミツコのクリップが流れていたので、慌ててビデオ録画したと言います。早速一緒に観てみました。 クリップは後半部分しか録れていなかったけれど、曲の一部を聴いた瞬間に、私にはそれが「メルスィ」というあの曲だという事が分かったので、ディノにそう教えてあげました。・・・・・ところが曲が進むにつれて彼は「『メルスィ』よりも『メム・スィ《meme si=もしも~だとしても》』に聞こえるんだけど」と不思議がっています。 私は彼らのニュー・アルバムを何十回も聞いたけど、一度も歌のタイトルや詞には注意を払っていなかったので、なんとも驚いた事にずーっと勘違いしていたのです。この歌の本当のタイトルもキー・ワードも、「メルスィ」ではなくて「メム・スィ」でした・・・・。 歌詞をよーーく聴いているとサビの部分はMeme si, meme si, tu disparaissais....je serais pres de toi(もしも、もしも、あなたがいなくなっても・・・私はあなたの側)といったもの。 この曲を作った時、この2人は別れがもうすぐそこにある事を知っていたのかしら。 と考えながら私は、画面を食い入る様に見つめてしまう。 ディノがそんな私に「おぉ、感動しているねぇ」と半分茶化しながら、半分心配して言ったのを皮切りに涙が出てきてしまった。そんな私をそっと抱きしめてくれてありがとう、ディノ。 ・・・・という訳で、1つ前の日記ではあっさりと書いたものの、私は実は(その日までフレッド・シシャンの名前も知らなかったくせに)彼の死に結構ショックを受けたのです。自分がよく聴いていたミュージシャンの死を体験したのはこれが初めてだし、今年になってからいつになく悲しいお知らせをもらう事が多かったから・・・。逆にいうと、去年までがそういう意味では幸せ過ぎたのだとも思うけど。義母の事だけがとても心配だけど、私達夫婦やそれぞれの家族と友人が健康な事にもっと感謝しよう、なんて月並みだけど大事な事を改めて感じました。 (上の写真は、その日ドイツに出発した義母と義弟の車を見送った、ポルト・ド・サン・クルー駅のそばの教会です。)