記憶
ここ数ヶ月におきたことを振り返って思うままに書いてみよう。2ヶ月間病院に泊り込んだ母の記憶の混乱はすざまじいものだった。例えば、あまりの疲れた様子に私が家に連れ帰った日のこと。。夜、姉から電話「今日、帰ったってさっき電話があったんだけど、バスに乗って一人で帰って来た・・って言うのよ。そんなはずないなぁ・・と思って電話してみたんだけど」そんなはずはない。第一、その日は休日でバスはないのだ。私が母を乗せてきた。しかも、途中で漬物が食べたいというのでお店にも回った。車中、ずっとしゃべっていたし。その数時間後の母の電話である。そんなことがたくさんあった。一番顕著だったのは、数字の感覚で何度も何度も繰り返してもトンチンカンなことを言う。姉とまさかこのままずっと???と心配したけど、全部終わって落ち着きを取り戻して、以前の母に戻ってきたので良かった。でも、バタバタ混乱していた時間帯の記憶はやはり断片しか残っていない。その断片の記憶があまりに鮮明で、母の心のバランスを欠いてしまう。ここのところ、医師に処方していただいた安定剤を飲んで寝るようになって安定してきました。かく言う私自身、おじの葬儀から父が亡くなるまでの半日の記憶がスポンと抜け落ちてしまった。一緒にいた人がいないので、うまく埋まらない。覚悟していたことでさえこの有様である。事件に巻き込まれた方の心の回復がどれほど大変かと思い知る。母の記憶でもうひとつ。病院で使っていたものを見ると「病院の臭いがして気持ち悪い」という。家に帰ってからちゃんと洗濯しても。これは、「忘れ」の逆現象でしょうか。実際には臭いはないのですが、記憶が感覚を呼び覚ましてしまうようです。父のここ数年の有様は決して穏やかで楽しい日ばかりではなかったけど、遺影の父から流れでる記憶はやはり、やさしい父の姿ばかりです。