推察
小3のA君は久々の「学習が困難」な生徒である。まだ入会して日が浅いけど、ひとつひとつにとても時間がかかるので、あまりのある割り算を少しはやめにしている。3÷3の答えは出していたけど、意味はわかっていない。どうしてそういうことがわかるか・・というと、数字ではなくコマを渡して「3÷3になるように分けてね。」と指示すると、固まってまったく動けなくなる・・なんてことから。答えの「1」の意味がわかってないんだね。1回目の授業のとき、コマを渡してもまったく出来なかった。いや、ついこの間の「りんごはみかんより3こ多い。」といった文章ですら、固まっていたので、仕方ないことなんだけど。今日は、「÷2」と「÷3」の割り算。2÷23÷24÷2・・20÷2までを順に解いていく。最初、コマを使っていた子でもたいていは「あ~~わかった」と数字だけですぐに判ることが多い。「÷2」が出来れば「÷3」はもっと早くできるようにもなる。説明はいらない。A君のような生徒はこれが出来ない。ひとつひとつコマを使ってやる。で、「5÷2」が数字だけで出来たとしても、「6÷2」で固まる。・・そっちのほうが簡単じゃん・・と思っても、これが、通じない。A君は入会して初日の音読で短いお話を30分かけて読んだ。特に助詞でつっかかるために、隣で聞いていても何を言っているのかまったくわかんなかった。かれの脳に伝達される情報を映像化すると、数秒ごとにスイッチの切れるテレビのようなもんだ。断片で判断している。小2まではなんとかやってきたんだろう。お母さんにはまだあまり危機感はない。別に珍しいことではない。ちなみにあまりのある割り算は「5個のアメを2人で同じ数ずつ分けると、一人何個でいくつあまるか?」なんてことなんだけど、5÷2=2・・・1だけで通り過ぎてしまうとあとで(5年生)面倒なことが起きます。5個÷2人=2個(一人分)・・・1個の理解が必要です。割り算の答えとは「1あたり」であり(もうひとつ意味がるけどここではパス)割り算の商(答え)とあまりの単位は同じ「個」でも、実はまったく別もんです。たいてい生徒はそうしたことを「推察」してアットいう間に通り過ぎてしまいますから、教えるほうも「教えなくてはならない」という意識が弱いのかもしれません。