受検は闇
新年度から、高校推薦の選抜基準が学校ごとに具体的に公表されることになっている。歓迎。高校推薦はまず中学に推薦の申し込をする。中学での会議の結果校長の推薦を得て高校へ書類が送られる。中学の推薦を得た段階でほとんどの場合、合格することが多い。このとき、校長先生の「推薦入試への想い」が生徒におおきく影響している。実力で合格出来る子はあえて推薦しない。実力で合格でき、しかも、特に優秀なので推薦する。中には、推薦で合格した子は最後の受検の追い込みを経験せずに高校生となり、入学後伸びないことが多いので推薦はしない・・・なんて・・本当に言ったかどうかはわかんないけど、実際に一人も推薦してない学校もある。こうした学校・・というより校長の価値観で生徒の将来が左右されてはいけない。まだ公表されていないのでなんともいえないが、成績のほかに生徒会活動・検定などが判断材料として加わるはず。さて、公表されれば、むろん多少の霧は晴れる。でも、生徒会活動などをどう客観的に評価するのか出来るのか。単に、評価の対象とする・・と「明記」しただけでは意味はない。生徒たちにはっきりと分かるようにして欲しい。今の受検は本当に闇夜である。生徒は6回も実力テストを受けるのだけれど、最後まで自校内での成績しか知らされない。受検する高校で自分がどの程度の順位にいるかまったくわからない。都市部の人たちは模擬試験があるからいいなぁ。田舎じゃ、なにもない。時々、教材屋さんのテストで希望校での偏差値でます・・なんてあるんだけど、受検者数がほとんどいないのだから信憑性がない。情報がないために親は「流れ来るうわさ」に敏感になる。だれも、客観的な材料をもっているはずがないのに、なぜか・今年は・・のような話が出回る。今年、隣市のD中(私の教室とは無縁)の実力テストの結果が県のトップレベルだ・・という「うわさ」が流れ出た。まぁ、これは学校側がそれらしきことを父兄に伝えたのだから本当だろう。この中学から地元進学校には例年10人程度の入学者数である。それが最初、全校80名のうち半数が進学校を受験するという「うわさ」が流れ、結局30人受検して8名が落ちてしまった。それでも、例年よりはずっと多いのだけれど、田舎の中学では「落ちた」はそう沢山はいないので、これまた話題になってしまっている。学校の平均が良い・・ということと、個人の学力が高い・・ってことは別モンと考えたほうが良い。学年に5人、とんでもなく学力の高い子がいれば、その下のグループの子たちまで実力があるように見えてしまう。平均なんて個人の材料には役に立たないのだ。でも、毎年のように「今年はA中の出来がよい」だの「A中の50番とB中の30番が同じレベルだ」なんてうわさが流れとぶ。私にも何度か経験はある。中学で逆転現象がおきるのだ。A中の子より点数の低いB中の生徒がA中の子よりレベルの高い高校に合格する・・なんてことは決してめずらしくはない。そこにあるのは、高校を決めるときに判断材料が何もない・・という親の困惑や苛立ちである。「センセイ、大丈夫でしょうか?」と問われて「きっと大丈夫。」な根拠は「長年の勘」としかいいようがないのである。生徒は最後まで競争相手と自分の実力差を知らずに走る。マラソンのランナーだったら?それって、すごいストレスじゃない?今更、学校に業者テストを入れる必要はない。同じ地域の教育委員会が先頭に立って、管内の中学が同じ問題で同日定期テストを受ける。実力テストを受ける。生徒は希望校を申告する。点数と順位を学内だけでなく、希望する高校ごとに生徒に知らせる。それで充分である。多少、他地区からの受験者もいるだろう。それでも、なにもないよりはずっとまし。今月末、新3年生の受検対応について父母説明会をします。塾の指導システムも含めて、なるべく沢山の正しい情報をお話したいと想っている。受検で不安なのは生徒だけじゃぁない。