スーパーカブで富士山詣で
7年ぶりに富士山へ行ってきました。Mさんが亡くなってから、富士山に誘ってくれる人もおらず、わざわざ富士山まで行って滑る意味もないような気がして、足が遠のいていました。富士山の滑降に適した5月中旬から6月上旬にかけて、毎週のように富士山へ滑りに行っていたこともありましたが、それもMさんが誘ってくれたからでした。Mさんの話が聞きたくて、参加していたような気がします。その話というのは富士山の歴史についてです。富士宮口から登った時には、山頂にある浅間大社奥宮の片隅に置かれている首のない仏像を見ながら、廃仏毀釈運動によってこれらの仏像が破壊されたことや、富士山の土地が天領から神社に払い下げられた経緯など、何も知らない私にも分かるように説明して下さって面白かったこともありますが、その歴史にも増して興味深かったのは、Mさんがそのことに対して非常に憤っていたことでした。それは、現在の富士山におけるスキーやパラグライダーの規制にも関係する話のようでした。(下の写真は7年前に撮影したものです。現在はどうなっているのかわかりません。)また、吉田口から登った時には、江戸時代に在家の修験者が当時の政治を批判して烏帽子岩で入定したという話や、その後に流行した富士講の話など、富士山の山岳信仰が高まっていった経緯なども話してくださったような気がします。今回は、2016年の6月中旬に最後にMさんと行って以来、およそ7年ぶりに富士山を訪れて、吉田大沢を滑ってきました。滑ったと言っても、まともに滑ったのは標高差でほんの200メートルほどでした。計画の不備と体力及び滑降技術不足で、Mさんと行った時のような、充実した山スキーにはできませんでした。リトルカブで朝3時に家を出て、途中、富士吉田市街に寄り道してしまったため、8時半頃富士スバルライン5合目に到着し、9時頃登り始めました。けっこう良いペースで登っていると思っていたのですが、吉田口山頂の久須志神社に到着したのは14時になってしまい、山頂直下は須走口側も吉田大沢もクラストが始まっていました。もう1時間早かったら、快適な滑降が楽しめたような気がして、非常に残念です。やはり、現在の自分の体力では9時出発では遅すぎました。山頂に近づくにつれて風が非常に強くなり、特に白山岳のコルは風の通り道のようで、耐風姿勢をとらないと飛ばされそうでした。コルから吉田大沢に少し降りると風は弱まりましたが、雪は硬かったので9合目までアイゼンでクライムダウンし、さらに8合目まで斜滑降で降りました。ようやく表面が柔らかくなってきたところで、砂利の混じった薄汚れた雪の上を、200メートルほどテレマークターンを楽しみました。雪渓末端は7合5尺附近だったと思います。持っていった道具も、状況に合わないものばかりでした。Mさんと一緒に滑った数ルートの快適な富士山での滑降の記憶が強く残っていて、気温が高ければ3ピンの細板とエクスカーションでのライトテレマーク装備で十分かと思っていましたが、選択を誤りました。チープアイテムのテストを兼ねて、道具を選んだのが失敗でした。板とストック、ブーツのインナーは、今回、山で初めて使用するものを持って行きました。本来、慣れた山で試用してから富士山に持ってくるべきでした。板は、昨年末にヤフオクでシールとセットで2万円で購入したロシニョールのゲレンデ用板に浅い鱗を掘ったセンター62のステップソールに3ピンのスーパーテレマーク、ストックは数か月前に楽天で購入した2980円の折りたたみ式のストック、ブーツのインナーは約20年前に購入した冬山登山靴スカルパベガのもので、このインナーは今回持っていったガルモントのエクスカーションの純正インナーよりカフが低く、歩きやすいだろうと思い、試しにエクスカーションに入れてみたのですが、エクスカーションのシェルに入れると踝のホールドが純正のインナーより悪くなり、使用感が良くないです。このブーツとインナーの組み合わせをどうしても今シーズン中に試したくて、富士山に持ってきてしまいましたが、ゲレンデで試してからにすれば良かったです。この、3ピンを付けた鱗板は、ゲレンデで30分ほど使用したことはあるものの、山に持ってきたのは初めてで、標高3500メートル以上のクラストした斜面でエクスカーションで使うとブーツとインナーのミスマッチも重なり、扱い難く感じました。クラストといっても、表面2、3センチほどのモナカ雪だったので、T2エコとボレーのベクターBCなら楽しめたかも知れません。マズシャスのアナムでも、三角岩より下ならそれなりに楽しめたような気がします。しかし、お気に入りの板を火山礫の交じる富士山の斜面で使うのは嫌だし、長さ183センチのベクターBCは、カブのキャリアに積むと道交法の高さ制限に引っかかってしまうので、どっちみち持ってくることは出来ませんでした。(下の写真だと高く見えますが、長さ160センチの板を積んで、路面からスキートップまで190センチほどです。)ストックも、スーパーカブのリアボックスに入れる都合で、4段折りたたみ式の安物を持ってきましたが、初使用にも関わらずグリップの接着が剥がれて10センチほど下にズレ落ちてしまい、登りでストレスになりました。ただ、グリップのズレはボンドで貼れば良いだけだし、安い割に非常に軽く、小さく折り畳めるので、これから秋にかけてのハイキングでなら十分に使えると思います。また、道具が同じでも、状況判断を優先し、山頂に拘らず、8合目あたりで切り上げて滑り始めれば、快適な滑降が楽しめたような気がします。今シーズン初め、スーパーカブ110にボードキャリアを取り付けた友人と、来年は一緒に富士山へカブで行ってみようかと思っていたので、その予行練習も兼ねて、とりあえず山頂まで行ってみましたが、今回の経験で、スーパーカブでアプローチして富士山から山頂滑降を楽しむには、少なくとも群馬の自宅を深夜2時前に出ないと厳しいかなと思いました。今回の富士山春スキーのアプローチにスーパーカブを利用したいと思ったのは、昨年『スーパーカブ』というライトノベルを読んだことも影響していました。主人公の冴えない女子高生が、スーパーカブを通して人生を豊かにしていくという話で、これほどスーパーカブの魅力を伝えてくれる本を読んだのは初めてでした。主人公たちのスーパーカブに対する愛情が半端ではありません。その、モノに拘る姿勢に共感しました。[新品][ライトノベル]スーパーカブ (全8冊) 全巻セット価格:5,676円(税込、送料別) (2023/5/19時点)楽天で購入これを読んだ時、北杜市から甲斐市、甲府市から富士吉田市あたりをスーパーカブで走りたいとなと思いました。実際スーパーカブで走ってみて、北杜市から国道20号で甲斐市に向かうあたりや、笛吹市から富士吉田市に向かう国道137号バイパスは非常にスピードが出せて、試運転にはピッタリだと思いました。ちなみに、早朝や深夜の国道140号・清里高原-南牧村区間も怖いほど飛ばせますが、動物の飛び出しには注意が必要です。今回も南牧村で、車に轢かれた大きな鹿の死体や小動物の死体を目撃しました。カブだと小動物でも重大事故になりそうです。今回、自宅から富士スバルライン五合目まで、行きに5時間半、帰りは甲府市内で事故渋滞にはまったので6時間ほどかかりました。往復距離は約450キロ、使用したガソリンは7.5リットルでした。一昨年に鳥海山へ行った時より燃費が悪くなっているのは、ドライブスプロケットを1丁落として減速比を上げたことと、高低差のある山で酷使したのが影響しているようです。今回は道具のテストや来シーズンの予行など欲張り過ぎたようで、テレマークの方が不満の残る山行になってしまいました。ただ、先週の鳥海山のような爽快な滑降で今シーズンを締めるのも良いですが、今回のように修行のような単独山行もまた、色々感じることがあり、来シーズンにつながることもあるような気がしました。【楽天2位獲得】【高評価4.29点】ステッキ スティック トレッキング ウォーキングポール トレッキングポール 2本セット 折りたたみ 超軽量 トレッキングステッキ アルミ製 山登り 杖 ウォーキング ハイキング 登山 軽量 登山杖 折りたたみ式 収納袋付き 送料無料価格:2,982円(税込、送料無料) (2023/5/19時点)楽天で購入