東風吹かば
七十二候では「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」の今日、皮肉にもこの冬初めての氷柱を見た。立春を迎えた4日の朝、香川でもあちこちから降雪のニュースが届く。とりわけ金毘羅さんのある琴平町では5cmほど雪が積もったようで、そこから来る職場の同僚は一人山奥から出てきたような車を走らせていた。しかし、海沿いのわが町は一時期吹雪いた程度で終わってしまった。今冬、雪に苦しめられている方々には大変申し訳ないが、私だって白く染まった景色が見たいと本日、明るい陽射しで溶けてしまわないうちに雪景色を見に出掛けることにした。この氷柱はその出先で見つけたもの。行先は琴平町を経由し、菅原道真が4年ほど滞在したことのある綾川町。そこには讃岐では最も有名な滝宮天満宮がある。また、内陸になるため香川の中では常に気温が低い場所でもある。昨年も観梅の為、1月と2月に訪れていた。確か去年、大宰府より株分けされた飛梅は、1月20日頃にはかなりの花を開かせていた。雪の中に咲く白梅はなんと絵になるものかと、頭の中に思い描きつつ車を走らせる。途中、車窓に広がる白い田んぼに胸弾ませながら、琴平を過ぎて東へと折れる。そこから走ること15分ほど、悲しいかな段々と雪は減り、天満宮では道路脇でさえ雪はなくなってしまった。ああ、残念。だが、それは梅に雪だけではなかった。やはり寒さ厳しい今年、梅の開花も大幅に遅れてしまっているらしい。境内に150本ある梅の木は、どれも蕾のまま立春を迎えていた。東風吹かば 匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな東風はまだか。梅の花はまだか。せめて2年続けてのお詣りなら、少しは賢くならぬものか。