塩酸ペンタゾシン(ソセゴン)
薬価収載年1997年開発の経緯ペンタゾシンは米国スターリングウインスロップ社(現 SANOFI )で開発されたアゴニスト・アンタゴニスト作用を有する非麻薬性鎮痛薬で、中枢を介して刺激伝導系を抑制することにより鎮痛効果を発現し、高度な疼痛に対しても強力な鎮痛効果が認められている。ペンタゾシンの注射剤は癌性疼痛の鎮痛および麻酔前投薬、術中の麻酔補助として、1967 年に米国において発売され、日 本では 1970 年に発売されるなど、すでに広く臨床で使用されている。癌性疼痛の治療には、鎮痛薬を一定の順序で選択していくWHO 方式癌疼痛治療法(三段階式鎮痛薬選択順序)が一般的に推奨されている。すなわち、投与すべき薬剤を疼痛の程度に応じて、第一段階には非オピオイド鎮痛薬、第二段階には弱オピオイド鎮痛薬、第三段階には強オピオイド鎮痛薬へと、段階的に切り替えていくものである。非オピオイド鎮痛薬としては消炎鎮痛薬などが、強オピオイド鎮痛薬としてはモルヒネが一般的に用いられている。第二段階の弱オピオイド鎮痛薬とし ては麻薬指定医薬品であるコデインが用いられることが多く、外国ではその代替し得る経口鎮痛薬としてデキストロプロポキシフェンが用いられる。しかし、わが国においては適当な経口剤がなく、管理の容易な非麻薬指定のペンタゾシンの錠剤の開発が望まれていた。塩酸ペンタゾシンを主剤とする経口用製剤ペンタゾシン錠は、1969 年に米国で Talwin 錠として発売された。しかし、この錠剤を水に溶解し、抽出された塩酸ペンタゾシンを注射する形の乱用が問題となった。その後、米国スターリングウインスロップ社は 1983 年に麻薬拮抗薬であるナ ロキソン塩酸塩を添加した錠剤( Talwin Nx )を発売した。ナロキソン塩酸塩は非経口投与できわめて強いオピオイド拮抗作用を示すが、経口投与では肝の初回通過効果により速やかに代謝されるため拮抗作用を示さない。したがって非経口的にペンタゾシンとナロキソンを同時に投与するとペンタゾシンの薬理効果は消失するが、経口的に同時投与するとナロキソンは肝で代謝され、ペンタゾシンの活性のみが期待できる。ここにおいて、ナロキソン塩酸塩を添加した塩酸ペンタゾシン錠の乱用防止効果が、医学的にも疫学的にも十分有効なものであると判 断されたので、日本においてもナロキソン塩酸塩添加塩酸ペンタゾシン錠の開発が企画されるところとなった。すなわち、グレラン製薬(現 あすか製薬)、三共 (現 第一三共) 、山之内製薬(現 アステラス製薬)およびスターリングウインスロップ株式会社の 4 社による共同開発を実施した。ソセゴン錠25mg は、 1997 年 7 月 2 日に山之内製薬(現 アステラス製薬)が製造販売承認を取得し、 2012 年 10 月 1 日付で丸石製薬が製造販売承認を承継し、 販売を開始した。製品の治療学的特性・製剤学的特性・非麻薬性の中枢性鎮痛剤である。・1 回 1 2 錠の投与で、各種癌に伴う軽度~中等度の疼痛を改善する 。・注射化による乱用防止のための製剤的工夫が施されている。 ・服用しやすい小型のフィルムコーティング錠である。 ・承認時までの臨床試験では、3,302 例中 659 例( 19.96 %)に、市 販後の使用成績調査では、 2,223例中 385 例( 17.32 %)に副作用が認められた。その主なものは、悪心、嘔吐等であった。(再審査結果通知: 2006 年 12 月)なお、重 大な副作用としてショック、アナフィラキシー、呼吸抑制、依存性、無顆粒球症が報告されている 。販売名和 名ソセゴン錠 25mg洋 名Sosegon Tablets 25mg名称の由来不明一般名和 名(命名法)塩酸ペンタゾシン洋 名(命名法)Penta zocine Hydrochlorideステム6,7 ベンゾモルファン系麻薬拮抗剤/アゴニスト: azocine抜粋:ソセゴン・インタビューフォーム 非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン / 日本ペインクリニック学会非がん性慢性疼痛に対するオピオイド鎮痛薬処方ガイドライン作成ワーキンググループ 【本】