デキサメサゾン(デカドロン)
販売開始1959年開発の経緯本剤は,デキサメタゾンを有効成分とする副腎皮質ホルモン製剤である。副腎皮質は,生命維持に必要なステロイドホルモンを分泌している。1946年,Merck & Co., Inc.,Whitehouse Station, N.J., U.S.A.のサレット・グループがデオキシコール酸より30ステップの反応を経てコルチゾンの部分合成に成功した。その後コルチゾンのC11位ケトン基の化学的な還元などにより,1952年Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.からヒドロコルチゾンが発売された。1958年OlivetoやMerck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.のArthらにより,16α-メチル置換体のデキサメタゾンが合成された。1984年6月1日,再評価において,既承認の事項のみではなく,医療上の必要性のある効能・効果及び投与法について有用性の検討が行われ,承認事項の一部が変更になった。1990年12月19日,再評価において,効能・効果のうち「妊娠中毒症」について,提出された資料からは有効性が確認できなかったため削除された。適応外使用されている抗悪性腫瘍剤の承認を推進するために2004年1月より設置された「抗がん剤併用療法に関する検討会」及びその下部組織であるワーキンググループにより,抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状に対するデキサメタゾン投与について検討が行われた(ワーキンググループにおいては,抗悪性腫瘍剤の適応外使用に係る効能・効果等が医学薬学上公知であるとする十分なエビデンスを収集し,追加する効能・効果,用法・用量の根拠となる報告書案(以下「WG 報告書案」)を作成し,抗がん剤併用療法に関する検討会へ提出することとされている。)。その結果,デカドロン錠は2005年9月15日,「抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)」の効能・効果及び用法・用量が追加承認された。2008年3月7日,医療事故防止対策に基づき販売名を「デカドロン錠」から「デカドロン錠0.5mg」に販売名変更の承認を得た。2008年3月14日,医療事故防止対策に基づき販売名を「デカドロンエリキシル」から「デカドロンエリキシル0.01%」に販売名変更の承認を得た。「デカドロン錠0.5mg」及び「デカドロンエリキシル0.01%」は萬有製薬株式会社によって販売されていたが,2010年11月6日に日医工株式会社に製造販売承認が承継された。「デカドロン錠4mg」は,日医工株式会社が開発を企画し,規格及び試験方法を設定,安定性試験,生物学的同等性試験を実施し,2014年2月14日に承認を取得,2014年6月20日に販売を開始した。(薬食発第0331015号(平成17年3月31日)に基づき承認申請)日本人も参加した未治療の全身性ALアミロイドーシス患者を対象とした,シクロホスファミド水和物,ボルテゾミブ及び本錠剤(デキサメタゾン)との併用療法(CyBorD療法*1)へのダラツムマブ*2の上乗せ効果を検討する国際共同第Ⅲ相試験(AMY3001試験)において,日本人と全体集団の有効性,安全性が確認されたことから,「デカドロン錠0.5mg」及び「デカドロン錠4mg」は2021年8月25日付で,「全身性ALアミロイドーシス」に対するDCyBorD療法の効能・効果及び用法・用量が追加承認された。*1:本邦において,CyBorD療法は承認されていない。*2:ダラツムマブには点滴静注製剤(ダラザレックス)と皮下投与製剤(ダラキューロ)があり,全身性ALアミロイドーシスには皮下投与製剤のみ承認されている。製品の治療学的特性(1)本剤は,デキサメタゾンを有効成分とする副腎皮質ホルモン製剤である。(2)未治療の全身性ALアミロイドーシス患者を対象とした,シクロホスファミド水和物,ボルテゾミブ及び本錠剤(デキサメタゾン)との併用療法(CyBorD療法*1)へのダラツムマブ*2の上乗せしたDCyBorD療法の優越性が検証された。・主解析において,主要評価項目である血液学的完全奏効(CR)率は,DCyBorD群53.3%,CyBorD群18.1%であった(オッズ比:5.13,95%CI:3.22~8.16,p<0.0001,層別Cochran-Mantel-Haenszel検定,有意水準:0.04999)。*1:本邦において,CyBorD療法は承認されていない。*2:ダラツムマブには点滴静注製剤(ダラザレックス)と皮下投与製剤(ダラキューロ)があり,全身性ALアミロイドーシスには皮下投与製剤のみ承認されている。(3)重大な副作用(頻度不明)として,誘発感染症,感染症の増悪,続発性副腎皮質機能不全,糖尿病,消化性潰瘍,消化管穿孔,膵炎,精神変調,うつ状態,痙攣,骨粗鬆症,大腿骨及び上腕骨等の骨頭無菌性壊死,ミオパシー,脊椎圧迫骨折,長骨の病的骨折,緑内障,後嚢白内障,血栓塞栓症が報告されている。製品の製剤学的特性(1)製剤規格として錠0.5mg,錠4mg及びエリキシル0.01%の3製剤がある。(2)錠0.5mgは直径6.3mmで白色,錠4mgは直径7.4mmで淡赤色の五角形の錠剤である。(3)PTPシートはピッチコントロールを行い,1錠ごとに販売名,含量を表示した。(4)エリキシル0.01%は香料としてペパーミントオイル及びチェリーフレーバーを使用している。販売名和名デカドロン®錠0.5mgデカドロン®錠4mgデカドロン®エリキシル0.01%洋名DECADRON® TabletsDECADRON® Elixir®:Registered Trademark of Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.名称の由来DECA(デカ)は「10」の意味を持つ接頭語であり,プレドニゾロンの約10倍の効力を有し,また,コルチゾンの10年後に開発されたという意味が込められている。更にDE-はdexamethasoneのde-でもある。これに副腎皮質ホルモン製剤(adreno-cortical -ho-rmone)を合わせ,DECADRONと命名された。一般名和名(命名法)デキサメタゾン(JAN)洋名(命名法)Dexamethasone(JAN)ステム(stem)プレドニゾン/プレドニゾロン誘導体 -methasone【送料無料】 ステロイド 研修医はコレだけ覚える レジデントノート増刊 / 蓑田正祐 【本】