蔓(つる)
詩といけばなと切り絵のコラボ展示「解放」が終了しました。ご覧いただいたみなさん、ありがとうございました。ことばと絵と植物がそれぞれに絡み合って作り出した空間は細い線が流れを作り、見る人の鼓動と血流の小さな音を合わせて静かに流れる音楽のようでした。無音の音楽。一人一人が見える姿の中に、色々な感情を持ち、たくさんの行間の中で揺れ動きながら生きています。その音がことり、と会場に残された5日間でした。切り絵のかけらをビンに詰めておいたように、みえない音を大切に抱きかかえて、最後のドアが閉じました。一期一会の出会いが、いつの間にか柔らかい響きとなって思い出したいときに思い出したいように私を包む。カスミソウの小さな花が遠目には霧のようにあたりを覆い尽くすように。物事に始まりがあれば終わりがある。花の香りを余韻に漂わせた今日の終わりは、会場の小さな天窓から差し込む小さな星の光を感じさせる。今の私が過去の苦しみを抱きしめてやれるように、未来の私が今の私を抱きしめる光を想像する。表現しようとする人間の内面はどこまでも深く、どこまでも広いことをまた知った。まだ見たことのない世界でまた知らない私に出会ってみたいと、また思う。関係のみなさん、お疲れ様でした。一年の終わりにとても幸せになりました。