積　　乱　　雲

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• 仕上げ

  入院して１週間たちました。けっこうヒマになってきました。ヒマ、と感じるっていうことは元気の分量増加中。次の作品の構想を練ったり、音楽を聞いたりして過ごしている。最近の作品つくりには、イメージの対象があり、相手のあるコラボや、～のための、という目的があったりするので、始めのテーマそのものがどちらに発展していくのか自分でも楽しみです。頭の中の作品用引き出しにファイルがふえ、その都度モードを切り替えている。「寝かす」とか「見直す」というひと手間が大事だと思うようになってきた。特に歌は、テノール王子が歌いやすい目線からことばのアドバイスをくれる。実際に歌ってもらって検討すると、実はけっこう、私は仙台弁！！！というのが判明した。なので、さっそく王子のアドバイスどおり、アクセント辞典を購入しようと思う。付き添い中は家事がないマネージャーにもたっぷり時間があるので、本を朗読してもらうこともできる。が！、すぐ、いいところで、酸欠になって眠くなるのだ。残念！(ということは、朗読テープを作る人はすごく大変なんだな、とわかる)今の私は酸素テントで、酸素は十分。だけど、はやく出たいよ～～～。  

  2009.05.23

• 入院だより

  １年半ブリの病室は少し懐かしい。でも、忘れていた具合の悪さと苦しさも体験中。がおる！！！健康を過信したわけではなんいですけど、やっぱりショックだね。油断するなということだろう。酸素テントに入って持続吸入でもくもくしている。コンサートの週末、参加できなくてダブルショック！ものすごくくやしいです。でも、心をこめて生み出した海の石が演奏されて、書のディスプレイもステキなはず。作品たちが頑張っているから、私もふんばるよ！！！そうそう、病棟は面会できないけどブログのコメントチェックで励まされてまっす！ありがとう！ 

  2009.05.17

• 夜の旅

  ちょっくら、夜の別荘にいってきた。救急外来はとっても久しぶりのこと。痰と咳とでもうすでに薬を飲み始めていたが、夕方から熱が出た。というわけで、5時頃からどーんと急降下。6時半にもう点滴が始まっていたから、かなりすばやいスタートだったと思います。ひとまず夜中に家に帰ってきて、もういちど今日は受診。ずべて予定をキャンセルしても、日曜日にはなおりたい！ので、頑張る。夜の旅。ちょっと楽しむ余裕はなかったが、やっぱり病院の安心感はとっても大きかった。

  2009.05.14

• リハビリ記念日

  頑固なマネージャーがとうとう痛みに困って受診した。とうとうである。毎日イタイイタイといっても、本当に困らないと病院にいかない。これは、私も同じだからいえないけど、リハビリのオーダーが出た～と帰ってきた。２０年も私にはリハビリをさせていたのに、自分となると妙に新鮮らしい。というかちょっとショックも受けているようだ。とうとう、おじいさんとおばあさんに混じってリハビリか～というわけである。体を動かせることがどれくらいありがたいかわかったかい！といいたい。たくさんレントゲンをとって、薬もたくさんもらって、でっかいシップをはっていよいよ、リハビリチームの仲間入りである。私は大大先輩なので、初心者の様子を余裕を持って見守っている。へへっ。＾＾リハビリというのは予防が大事です。私のように一度失ったものをもう一度手に入れるのはとっても大変だ。歴史ある腰痛から復活できるように自分のメンテをちゃんとしてもらいたいものである。というわけで、母の日にはリハビリマッサージチケットをプレゼントしよう。敬老の日に、と思っていたけど早まった。

  2009.05.02

• わかっている、ということ

  見た目にはわかっているようには見えない、という人でも、実は脳の中ではいろいろなことをキャッチして、理解している、ということが少しずつだが認識されるようになってきている。特別な奇跡、とか、不思議な出来事、とか、神がかり、とかではなく、本当のこととして受け止められる努力をしている人がいる。反応がない状態の患者にも、いろいろな治療の可能性を試みる医療とか、行動障害が重い認知症などの障害(病気)の人の心にも寄り添ってみよう、とか、私たちのように手立てをみつけるのが難しそうな子どもにも教育を試みる、とかである。はっきりいって、未知の世界への挑戦だ。今まで、お手上げ～と思った世界へ足をふみ入れるチャレンジである。私はいままであった方法をだいたい試して、それでも、なかなかうまく行かなくて、何度も挫折しそうになった。もちろん親もだったと思う。それでも、親子だから諦めきれなくてお互いに必死だった。その必死につきあってくれる人が存在したおかげで道が開けたと思う。その道は、ある意味たくさんの人がすんなり歩くことができる道ではないのかも知れない。試そうとする人もまだ少ない。それに、私が何かを「言いたそうにしている」ことを信じてもらわないことには、「聞き取ろう」ともしてもらえない。脳の研究がどんどん進んでいるのが、ものすごく希望だ氷山の一角のように、表面に見える表現として現せるのは、人間の仕事のほんの一部だ。おまけに、世間が「言語」という表現方法でかなり完成されているのだから、それ以外の方法がある、ということから示さなければならない。私が何かを「考えている」と認めてくれる人は、私が「生きて存在している」ということを信じてくれる人だ。そんな人と一緒にいるときは私は人間になるし、そうでないときは置き物と同じになる。理解、という言葉を判断力や考える力だけではなくて、感じる心や感情のやりとりにまで広げて私達をみてほしいなあ、といつも思っている。わかっている、ということがそのまま、表現できる、ということではない。わかっている人だけが表現するのではない。「わかっている」ことを「わかる」のは、とってもとっても難しい問題だ。わかっていることををわかろうとする、ひとりひとりの心のアンテナ次第なのだ。だから、みんなにもわかっていることをうまく伝えられるように私も頑張るし、みんなもまさかね～と思うことも、わかる努力をしてみようかな？と頑張ってほしい。両方で頑張れば、きっとかならず「わかるとき」が来る。それができるのも人間だからこそなのだと、信じている。医療も福祉も教育も科学も哲学も宗教もみんな合わせてまるごと、の宇宙の神様からの宿題なのだと思う。

  2009.04.02

• ほほえみだよりのほほえみ

  杜の星座の愛唱歌になりつつある「ほほえみ」の詩について紹介します。この詩は、長い入院生活から脱出するとき、訪問看護ステーション「ほほえみ」と出あったときに作った詩です。初めて医療ケアと一緒に在宅生活をすることになって、う～んと不安だった。退院の準備も少しずつの少しずつしか進まなくて、不安な気持ちばかりが増幅した。まるで病院から逃げるように退院したとき、支えてくれたのが看護ステーションの人々だった。名前のとおり、ほほえみいっぱいだったのだ。家に看護師さんが来てくれる、というのは、これ以上ない安心だった。どんなに器械や道具がそろっていても、家族だけで本当に大丈夫なのか、不安でしかたなかった。ピンクのエプロンで家にきてくれる看護師さんは制服なのが、また安心だった。医療にいつも見守られている実感があった。そうして、少しずつ少しずつ、家の生活になれて、大丈夫になっていったのだった。６年かかって自分でも、もう、大丈夫と思えるようになった。６年は長いようで、でも、必要な時間だったと思う。そんなにあっという間に大丈夫の実感はわかない。なので、ほほえみのみんな６年も辛抱強く見守ってくれた、というわけだ。ほほえみの詩は、サマースノーの曲にぴったり。と、テノール王子が発見してくれた。湖姫の作曲でものすごく美しい曲になった。幸さんのイラストで、ほんわかかわいいポストｶｰﾄﾞになった。販売もできるようになった。みんなのおかげで、ほほえみの精神がどんどん世の中に出て行けるようになった。訪問看護ステーションのお便りにも紹介していただき、在宅看護を受けている人や介護者のもとへも届いている。感動～。在宅看護、介護の生活は甘くない。ほんとに、ほんとに、大変な毎日だ。本人も介護者もハンパな気持ちではできない。逃げたくなるときも山ほどある。人に頼んで引き受けない、という選択もある。それでも、本人も家族も自宅に一緒にいられる幸せが根っこを支えている。それを力強く支えるのが訪問看護や訪問介護だ。それを、包み込んで元気つけるのが「ほほえみ」の力だ。大変だからこそ、微笑みの威力がアップする。へこたれないで頑張れる。みんなでよいことを分け合える。ほほえみの詩を生み出した私だけど、ほほえみが巡って巡って最近は戻ってくる。おかげで、私が一番ほほえみに元気をもらっている、というわけだ。めでたし、めでたし。 ほほえみの幸せを感じたい人は、杜の星座ホームページhttp://seiza.main.jp/より購入できます。(すかさず営業) 

  2009.03.31

• 10年ぶりのチャレンジ

  このところ話題になって方法を模索していたことがある。それは、うつぶせになること。身体が変形して、さらに胃ろうや気管切開が身体の前にあるので、せいぜい、姿勢を変える練習も横向きが精一杯。少しずつ練習して、座位は時間も角度も進化してきた。でもうつぶせはねえ・・・。なぜうつぶせか？というと、背中のマッサージをしたいというのが始まり。もちろん横向きでもできるのだけど、肩の上に体重がかかり、長時間できない。側湾も大きいので中途半端な姿勢がかえって緊張を出してしまう。で、うつぶせコースの方法を色々と考えていたのだが、リハビリ中に突然始まった。マットレスをソファーにくっつけて、その溝に喉とお腹を合わせるのでした。いきなり始まるので、びっくり！リハビリのぽんたさんも、やってみましょう～と前向き。およよ、というまに、私はうつぶせになっていた！10年ぶりの下向きだ。なんだかもう感じをすっかり忘れていた。すごく不思議な感覚だ。背中がすーっと開放された。涼しい。肩の前がしっかり身体を支えている。ついでに顔を支えるのにほっぺたを使った。まだ過敏ですぐクビが反り返ってしまった。けど、背中が楽だな～と思っているうちに足の方がどんどん楽になった。ように思う。横向きができないとうつぶせはできないと思っていた。いつも寝ていて、背中が苦しかった。お風呂で洗ってもらう瞬間が唯一の背中ちゃんの楽しみ。すっかり身体が大きくなって、うつぶせの体重も重かった。でも、地球の中心に向かって身体を預ける感じはなぜか安心する気持ちがした。地球を丸みにそって抱っこしているような。もっと身体をあずけられたらもっと気持ちよさそうだ。小さいとき大きな風船にうつぶせて、ゆらゆらした気持ちよさを思い出した。あれは大好きだった！10年も間が開いたことを改めて驚く。10年たっても、またできたことがうれしい。もしかしたら、またボードに立って周りを見回したり、さかさまの逆立ち(足を持ってもらって！！？)なんかもできたりして。昔の感覚を思い出したら、妙に希望が出てきた。やってやるって感じだ

  2009.03.19

• 地雷除去作業

  家族に心配ごとを抱えている人がひとりでもいると、家族にはとたんに伝染する。空気がおもおもおも～っ、となる。重なると最悪。ついでに雪。寒い。すると、私はとたんに、息苦しくなってしまう。一人になってほっとするわけにもいかない。嵐が去るのをまつ。大雨の時、葉っぱの下で小さくなっているムシの気分。静かに静かに息をする。おそる、おそる。反対に、きっかけ一つで、心配事がなくなると、とたんにこれも伝染して、空気が軽くなる。身体の隅々に、きれいな血液がささーっと流れる。酸素１００パーセント。体中の筋肉がどっと柔らかくなっていく。同時に、どっと疲れる。生活の中に、それらのスイッチはいたるところにある。なるべくスイッチを押さないように気をつけているけれど、予想外に(たぶん当事者も)自動的に入るスイッチを抱えているのはすごくドキドキしているのだろう。私の嘔吐発作がそうだったように、環境の影響を受けやすい気持ちや身体の人は、本当に毎日が心配だらけだろうし恐怖だろう。朝地雷を踏むと一日最低だ。春の日差しも吹っ飛ぶ。きれいに見えない。でも、毎日は流れていく。必ず何かの変化がある。変化を変化とわかる自分になると楽である。ちょっとした変化が見えるようになると、すごくすごく楽である。家というのは、小さな場所にぎゅっとくっついて息をする家族がいる。家の中を楽しく安心な場所にするには、家族みんなの努力がいるものだ。長いこと自分が地雷源だったので、最近反対に地雷を見守る方になってみると家族の緊張具合がよくわかるようになった私でした。地雷があることがわかったのなら、除去しなければ。できれば安全に。  

  2009.03.05

• 腸困った

  ニューモデルの腸チューブ、期待をよそにたった1週間でいきなりつまった。超困った。ミルクのカスがはがれて出口の穴をふさぐのだが、早すぎる。チューブの素材や、ミルクの量や、温度など、いろいろなことがビミョーに関係するのだけど、げ～っ、また入れ替えか～、と一同がおった。本来なら即、病院に行くところだが、週末だし、寒いし、めんどくさいしで強行手段をとった。全量胃におしこめることになった。胃に入れると吐くから腸を利用しているのに、適当というか、いいかげんというか。緊急だからなんとかしのぐしかない。というわけで、この場合、相談ナシに通告である。まるで、派遣社員のリストラだ胃にミルクが入ると思うだけで吐きたくなる。水ならいいけど、油分はだめである。しかし、問答無用の注入だ。どきどきしながら胃袋に意識集中。おや？なんか、大丈夫かも夜にかけて、だいぶお腹がいっぱいで苦しくなったが、最後の最後に１回吐いただけで、大丈夫だったの！これはかなりうれしいかも気を取り直して、ちょっと、挑戦してみることにした。周囲から、やりなさい、と言われるうちはなんか、ムカついて、抵抗していたが、こんなハプニングで自分の体力を知ったりする。本当は腸のチューブなんかなければよいのだ。次のステップを強要されると不安になった。自分で大丈夫だと安心しないと建設的になれないものだ。そんなわけで、今日から半分のミルクを胃に入れてみることにした。今朝、ポン、と腸のチューブは回復した。でも、こっちはお守りにしておくのもいいかなあ、と思っている。記念すべき挑戦がうまくいったのだ。ピンチはチャンスだ。腸困って超うれしい。

  2009.02.23

• オーストラリア

  オーストラリアに住んでいる友達からバレンタインの贈り物が届いた。女どうしでもバレンタインなんてうれしい！大好きなピンクのバラｶｰﾄﾞやピンク色の塩！などなど、心のこもったプレゼントで、ピッコロちゃんの顔を思い出した。コックをしているピッコロちゃんオススメの塩をなめてみた。しょっぱい。脱水予防にとってもよさそうだ。ハッピーな塩である。ちょうどオーストラリアで認知症の人々がとてもいきいき生きている話をきいたばっかり。友達になったシェリーさんもオーストラリアの医療がとってもよいと言っていた。どーんな国なんだろう、と想像する。ちょうど昨日我が家で私のケア会議が開かれた。今年度、センターですんごく楽しくて、丈夫になって、仕事も広がって、人ともたくさん友達になれた。願いを聞いてもらえたからである。本当に本当に運がいいことに、私は自分の願いを自分で伝えることができる。でも、できるようになっったことや、やりたいことが広がるほど、欲深くなるし、同時に必ずしもそうできない人たちに遠慮も感じたりする。さらに同じような状況の人でも、別の価値観をもっていることも知ると、当たり前なのだけど一人一人が違っているのが当然で、それが人数の多さや力のもち具合にかかわらず、尊重されたらよいのにと思う。オーストラリアは、どんな人にも、自分のきもちや意思があることを知っていて、それを、聞き取れる世の中なのだろう。病気の本人が、もっと人の役にたちたいと思っていることや、役に立つことができることや、その方法を一緒に考えてくれる人がたくさん増えているのがすごいと思う。病気や障害のある人が診断と同時にだめな人になったのではない、ということに本人も気がつくようにできる国なのだ。私のように生まれたときから重い病気だと、もう、すっかり未来がないみたいに受け止められて、育てる気力もなくされてしまうかもしれない。お金も人手もかかるいらない人になってしまう。たった一人で何かを言うのはとても勇気がいることである。オーストラリア塩を食べてその精神で、日本でも、東北でもがんばってみることにしよう。

  2009.02.19

• 新・胃ろう

  　　　　 　　　　　　セキューラPO(保護クリーム)、Stomahesive(パウダー)↑ちょっと前にお騒がせしていました、胃ろうのその後。英語で個人輸入か？とか、自己負担でいくらかかるのか？とか、とか、いろんなことを悩んでいましたが、ひとまず解決した。というのも、実は日本にあったのだ。そこに、思いのほか、問題なくたどり着いた。病院に別の病院から新しい小児外科の先生がやってきた。そちら情報で「ブツ」を手に入れることができたのでした。言ってみるもんだ。先週の受診で、ロビーにつたとたん、先生がすすすーっとよってきた。「おやっ？」と見上げると、そこには「ブツ」があった。先生「時間があるならやる？」。母は即「はいっ！」え～っ！いきなり～！気持の準備が～。と返答する暇もなくレントゲン室へ連行された。胃と十二指腸に2本チューブを通す必要のある私には常に出口が2個必要である。1本の中に胃への出口と腸への出口がセットされているのだから、優れものである。でも、素材がけっこうふにゃっ、と柔らかい上に太いのでなかなか腸にいかなくて、あっちこっち押された。げ～っ。いずい。その後1週間たった。なんともお腹全体がげほげほする。まだ慣れていないので空気を飲んでしまうのか、チューブが太くなったので、わたしの腸が仕事のやりかたを変更したのか。お腹がはる。ついでに夕方になると歯軋りが止まらなくてちょっと吐く。シャンプー後だと相変わらず悲しい。同じのを使っている人がやっぱりいないそうである。これって、セレブなのか？単なる変わり者なのか？紙一重である。もうちょっとモニターしてみる。そうそう、入り口のじょくそうは超よくなった。ケア用高級ワセリンをぬり、水分を固める粉をぱぱっとふり、ティッシュのこよりで巻き巻きする。この3点セットがとてもよい。傷口がいたくないのは、とってもよ～～～い

  2009.02.18

• ボケのように

  ウチの庭にボケがあって、真っ先に春を知らせる。咲くと濃いピンクの花になる。春の日差しになったことを朝日で実感するころ、ボケも抜かりなく自分の仕事をしている。ボケッとしているわけではない。ボケに気づくと、次々に庭に春がやってくる。気合いが入る。医療的ケアの記事が新聞に連載されている。友達や学校の先生や医師など、みんなよく知っている人なので楽しみにしている。関係者の中では当たり前のことが、世間の広さの中では少数派のできごとで、知られざる世界かもしれない。でも、着実に一日を過ごし、頑張っている。ひとりずつ一日の過ごし方は違うけれど、医療に支えられた一日が充実して、安心して、楽しく流れることが、どれくらい当たり前でなく、どれくらい多くの人の意志に支えられているかを深く思い、改めて自分の時間に感謝する。成人になった私は、小児慢性特定疾患の対象者外になった。ので、医療費がこれまで助成によって無料だったが普通に3割自己負担するようになった。どれくらいかかるようになるのか、大分前から両親は心配していた。初めて受診の請求が来た。ちょっとした事件である。請求書をみたら、○万円なので、お財布の現金が足りなくてＡＴＭに走った母であった。(汗)いつも夕方遅い会計なので、もう窓口も閉りそうであった。これで間に合わなかったらどうしたのだろう？(汗)私を人質においていくのか？しかも、これで終わりではなかった。翌日薬局にいったらまた、○万円であった。すかさず、もっと安い栄養ミルクを聞いたそうである。弟の薬は自己負担30万円で即却下であった。まあ、命に別状ないし、というわけである。私はというと、できれば医療費は少ない方がよいが、なんとかこれで元気のバランスをとっているのだからすぐに減らすわけにはいかない。今まで健康優先だったのに、経済優先になってしまった。もちろん健康と生活を維持するのに、ただ、というわけにはいかない。人もお金もかかって私は生きている。経済的負担のために薬をガマンしていのちを削る人もいるのだという。人間の命や生活の質をどこで判断するのか。とても難しい問題だ。貧しい国や戦争のさなか、医療を受けられない人もいる。いろいろな条件が重なって、優先されるものは違ってくる。でも、それらの中でも、わたしは自分が生きていることに誇りをもっていたい。なので、私はお金がかかかって生きているが、あんまり遠慮しないようにしたい。それは、傲慢になるというのではなくて、今の条件に感謝しつつ私ができることを大切にがんばりたい。もちろん少しずつである。でも、諦めない。医療的ケアの必要な人たちはお金ばっかりかかるのに、不必要な人たちではない。ひとりひとり、願いも希望もある。やってみたいことをたくさん抱えている。それらを「やってみたい」と言ってみよう。言ってみると、人と出会う。人と出会うと、自分も人だったと気がつく。本人がいえなかったら家族が通訳してあげてほしい。そうすると、だんだん私達を一人前に扱ってくれる人が増えていくのだ。ボケはそこから動かなくても、ちゃんと花を咲かせる。動かず、話さない私達も花を咲かせることができる。 

  2009.02.11

• 成人の障害認定

   心をこめた手作りのパーマ券・３歳のちびっこがくれた折り紙のチューリップと魚 成人の手続きに各種いろいろあるけれど、一番気になっていたのが年金です。私は障害が重いので仕事につくことはできないわけですが、障害基礎年金というありがた～い制度がある。誕生日を過ぎて、その手続きのために、診察にでかけました。身体障害の診察なので、昔からお世話になっている整形外科の先生に久しぶりに会った。最近はすっかり内科の通院なので、先生には数年に一度しか会えない。懐かしい人に会うのはうれしい診察である。年金にかかわる診断書を書いてもらうのだから、どっちかっていうと、たくさんもらうためには障害が重いのがよい。ぶっちゃけた話である。なので、母は、｢いつもどおり思いっきり緊張しなさいね｣と応援する。普段なら、リラックスして緊張を出さない方がよいのに、マ逆の指示である。女優の私は、そういうことなら、と頑張りました。(何を！)いつもやってはしかられることを思う存分やってよい、というのだから、はりきった。つい興奮して汗をたくさんかいてしまった。先生が書類を書く間、休憩してよい、と母にこっそり耳打ちされたが、そうもいかない。もう女優モードである。イナバウアーにトリプルアクセルの連続技により、何度も診察台から落っこちそうになった。結局、演技してもしなくても、いつもどおりの私であった。女優といえども「素」で演技してしまった。ので、たぶん、うそ偽りのない診断書になってしまった。と思う。先生とつい世間話をしてしまった。成人になると診察は世間話の情報交換になるらしい。先生にも２０年を見てきていただいだのだから、親の次に長い付き合いともいえる。コンサートのご案内をする約束をしてきた。診断書は相変わらす、最重度の記述である。特定不能に身体の図は×だらけである。ある意味見事である。満点ともいえる。改めて、私の障害って重いんだ、と思い知った。それでも、けっこう面白おかしく生きている。目標も楽しみもたくさんある。ただ、強いて言えばお手伝いがたくさん必要で、それにはお金もかかる。ので、できればたくさんのスペシャルコースに認定されることを願っている。それを元手に、あとりえを繁盛させなくっちゃ

  2009.01.22

• 初外科

  月曜の初内科に引き続き、昨日は初外科。新しい先生と、ストマ外来と、新年のごあいさつと、こちらもよいスタートがきれました。病歴が長いわたしがトラブルのときにまったく新しい先生、というのはなかなか大変である。説明しなくちゃならないし、今までの歴史を親がいちいち覚えていなかったりする。私は、はたで聞いていてはらはらする。今回は父も一緒に休みをとってくれて話をした。ストマの看護師さんとケアの話をしながら同時進行で先生とやりとりする。父は記憶を母に確かめるのだが、あっちこっちで質問が飛び交ううちに、母はついにこんがらがってしまった。「私の耳は二つしかありません！」一つずつ分けて聞けない耳なのだ。うけた！それでも、各種専門家がいっぺんにたくさんの情報を集めてくれた。先生はすぐに別の病院に問い合わせ、看護師さんからはケアの耳より情報をたくさん聞いて、大成功であった。１時間でかなり効率よく必要なことを決めてきた。親も病歴が長いと大したものである。私は、ひとまず、思ったっとおりの胃ろう対策１と２を進展させ、逆流の検査も覚悟した。秋の九州の旅までにひととおりを整えていきたい。いろいろな計画を長期的に準備すれば大きな仕事も安心してできそうである。目標があるのはよいことだ。身体のことは計画通りでないこともあるが、突発的ないやなことにも、落ち着いて向き合えるようになりたい。それが成人を前にちょっと自分で変わってきたところだ。人任せはまずいな、と思ってきた。昨日は弟が不調だったので、休みをとるためにひとりで留守番してくれた。それはそれでちょっとどきどきだけど、弟は頑張って約束を守って待っていてくれた。さらに！マネジャーの英語対策にゾクゾクといろんな人が情報をくれている。早いたった１日なのに。ありがたい。みんなが応援してくれていることを実感している。そのことがすんごくうれしい。それだけでかなり元気が出た。逆流検査でよくないことになっても、がんばろうかな、と思ってきた。みんなが頑張っていて、みんなが応援してくれていると思うと、人にも応援したいと思うし、いっしょに頑張れる。そこに美しい音楽を加えると、さらにパワーアップである。よっしゃ！と気合を入れて、今年の外科も頑張るぞ

  2009.01.08

• 自由の重み

  胃ろうの入り口が、ほんと、なかなかよくならない。ちょっと今回は時間がかかっている。年末に受診してじょくそうシートをもらった。それで温泉消毒もしてきた。が、いいかな～、っと思うと、また痛い。痛そうな話をみんながすると、よけいに痛くなる。こっちはたぶん精神的な痛みである。結局痛い。私の胃ろうは、ガスぬきに利用している。栄養は十二指腸まで別のチューブが入っている。二本のすきまから胃液がどんどこ漏れてくるので、皮膚がなおるひまがないようだ。対策を二つたてた。その１。二本入れなくてよいタイプの胃ろうを手に入れる。ただし、これは日本で使っている人がいないらしい。ので個人で輸入しないとならないようだ。うちのマネージャーの力量で大丈夫なのか。英語だよ。まずはマネージャーを助ける人から探さなければならない。その２。皮膚の専門外来をうける。ストマ外来というそうだ。さっそく受診する予約をとった。期待。長いこと障害者をやっていると、いろいろなことが変化する。一つがよくなると、別のほうが今ひとつになったりして、そのたびにうーん、と悩む。親はお金のこともよく言っている。小児慢性特定疾患が終わるということはすごい大問題なのだなあと考えるようになった。病気が重いということはお金がかかる。治療も特別で、特別な薬を使ったりすればお金も高い。お金がないと治療を受けられないということも起こる。弟の治療は卒業したが、本当はもう少しやりたいところらしい。でも、月に払えるお金が無限にあるわけではない。それでも、治療をしないと死んでしまう人もいるのだから、何を優先させるか、ほんと悩む。私はいたいのはいやだし、苦しいのはいやだ。治療にかかる時間やエネルギーはめんどくさかったり、嫌だなあと思うこともある。でも、入院して苦しかったことを思うと、今は羽が生えたように自由である。多少の胃ろうの痛みなんて全然平気だ。というわけで、治療はがんばるし、マネージャーには英語の問題をなんとかしてもらいたいと思っている。 

  2009.01.07

• からだのこえ

  今日から仕事始めです。今日から一斉に通院が始まります。通院初め。私はこの頃は体調がよいので、先生とはほとんど世間話だ。まずは、新年の挨拶と、抱負を述べてくる予定。新年に病院にいくのはけっこう好きである。ただし、外来の場合。「病院とお付き合いしながら1年元気に過ごす気合」を入れてくる。今年は弟が小児科卒業してしまったので、私ひとりの通院になる。ちょっとさびしいような気もする。お正月の疲れで、弟はとうとう初パニックを起こした。というのも、どうやら熱がでていたのだけれど、うまく、それを親に伝えられなくて、わがままと誤解されてしまったのである。悲惨。「頭がくるった」という言葉で表現していた。なかなか通じない。どうやら「頭痛」だったようだ。うまく変調をいえなくて、やっぱりいつものように泣いてしまった。正月早々、と、わたしもうんざりした。それでも、大暴れの前に踏みこたえた弟は、一生懸命気持ちを切り替えようとして、いつもとの違いを説明しようとした。頭が痛い、くるくるとめまいがする、ノドがいたい、気持ち悪い。と、いろいろ言葉のサンプルを出してもらって、「頭の中がガンガンと痛い」というのに落ち着いた。いつもの安心なら、胃腸薬を飲むと、すっと気持ちが落ちつくのに、それではだめだった。弟も自分なりに、いつもとの様子の違いを感じていたのだ。頭ガンガン用の薬を飲んで、私のソリタをたくさん飲んで、湯たんぽを持って、熱を測る数字でなおり具合をチェックして、一眠りしたらかなり落ち着いた。ほっとした。考えてみると、私も、言葉をいえる前も後も、体調を説明するというのはいつも至難の業であった。身体の場所からして説明の練習がいるし、その、不調具合をことばにするのにはまた、工夫がいるのだ。しくしく、とか、ずきずき、とか、じーんと、とか。これらのビミョーさは経験しながら覚えていく。小児科卒業とともに、弟は自己管理の課題を与えられて、みんなにわかるように教える、ということが始まった。その練習第一歩である。何事も練習あるのみだ。ただ、大騒ぎしても誰にも通じないよ、と母に言われていた。そんなこといっても、大変なときに落ち着いて説明なんかできないのだ。落ち着いてから、ことばを手がかりに説明するにしても本当の感覚は本人しかわからない。少なくとも、弟は、落ち着いて早く対応したら良くなった、ということは記憶に残るのではないか？と思う。次は少しは役立てることができるといいものだ。大人だって、メタボ対策に太らないように食べないようにするのは苦労している。私だって、側湾を治そうという気持ちはある。けど、難しい。思ったようにすんなりできたら世話はない。身体が教えていることばはいつも小さい声だ。やり過ごすと聞き逃す。弟には「からだのこえ」と「きもちのこえ」のどっちも聞けるようになってほしい。

  2009.01.05

• ホーキング博士

  ＡＬＳのホーキング博士の話を聞いた。重度の障害でコミュニケーションもしゃべるパソコンを使っている。全介助が必要な肉体でも、脳の中には宇宙が広がっている。ホンモノの宇宙学者だ。その博士が無重力体験でにっこりした、というエピソードを聞いた。どんなにうれしかっただろうと、想像するだけで、私もうれしくなってしまった。私はもちろん、無重力というのを体験したことはないが、ものすんごく美しい音楽の中にいるときにそのふわふわの感じを体験したことがある。いつもではないけど、すごく集中して感動したときに、そんな感じになる。いつも肉体の重さにしばられているから、そのふわふわ感が、想像のものでもすごく実感をともなって感じられた。想像だけど、それは、もう脳の中で体験したことに等しいくらいなのだ。うまくいえないけど、博士の脳の中に無限大の宇宙が実在するように、私は詩や音楽の中にそんな世界をみつけることができる。その体験は、思ったときに、思ったようにできないのが、超くやしいことだが｢それがある｣ということが、とっても心の支えになっている。 悪いけど、こういう感覚の感動は、障害が重い人にしかわからないことかもだ。なので、自由にからだを動かせる人たちにはまだ、わからないでしょうね。ならばある意味私達の特権でもある。ふっ、ふっ、ふっ。人間は、ものすーんごく感動したときに、だれでも自分の中に宇宙の芯を持つことができると思う。それは、探さないと見つからないし、諦めている人にはたぶん、見えないでしょう。目の前にせっかくあっても、気がつかないなんて、もったいないことである。見える目には見える。 博士は、今度は、本当に宇宙に行く夢をもっているという。すごすぎる。本当にすごい人とは、願いを捨てない人だ。そして、かなりしつこい人である。しつこさをやめないで続けるというのも大変なことである。でも、障害者にはそれができると思う。何しろ、障害が消えてなくなるなとはないのだし、それによってできないことが多い分、できることを真剣に探そうとするだろうからだ。やるよね～博士！

  2008.12.16

• 成人式のご案内

  市の成人式のご案内が来た。ちゃんと来た。当たり前といえば当たり前である。けれど、一人分数えられていることが、うれしいことである。実は、ちゃんとメンバーに数えられる、ということは私にとっては当たり前でないことが多くあった。２０年の間には、いろいろな集団に所属してきたが、おまけ、だったり、その他、だったりすることもかった。地域の運動会に出なくていいよ、と言われたり、並んでいるのに順番を飛ばされたり、数に入れるのを忘れ去られたり、何かと悲しい思いもしたもんだ。そういうのに触れるたび、みんなには悪気があるわけではなくて（あるときも時にはあるけど）、どうしてよいかわからないとか、やっぱり数が少なくているのを数えるのを忘れた、なんてことが多いこともわかった。ので、いちいち無視されたと落ち込むのではなくて、私もいるんですけど！とアピールするのがよい、ということを学習した。 とはいえ。市の成人式は人数がものすごく多いし、人ごみにちゃんといけるのか？という心配はある。風邪ひくと肺炎にもなるし、冬だし、長時間動けないし、とかとか、考えることはたくさんある。でも、大勢の中で、ごった返していたとしても、いろんな人がいて、見えているのに見えていない、ということがない世の中になったらいいと思っている。ので、行けるならば、行けるようにして、行きたいと考えてきた。必要な手伝いをもらうのは仕方がないが、だからといって、ビップで仰々しいのもちょっと違うと思っている。 大勢の人の波に入っていくのは実は、いつも、とても勇気がいることだ。ひとりひとりが、そう考えなくても集団の勢いで流される危なさは怖い。それでも、準備を周到にすればきっとできるような気もするのだ。私達を受け取る環境の人も、何回かやるうちに慣れるだろう。市の人ともよく相談して、思い出に残る一日にしたいと思う。まずは「私も行きます」ということを今日、市に伝えようと思います。 

  2008.12.15

• 卒業

  弟が治療を卒業した。小児科も卒業した。生まれたときから１５年。一緒に何度も何度も病院に通った。生まれたときから障害がある私達は、病院はもう一つの家みたいなものだ。一緒に小児科にも行ったし、リハビリもしたし、検診もしたし、長い間には病院も先生もいろいろかわったけど、ず～っと一緒に通ってきた。なんだか、一人だけ卒業しちゃって、うれしいんだけど、少しうらやましい。私は成人になっても小児科にお世話になる。これからもたぶん、一生病院を卒業することはない。こうなったら、小児科の最長老になる覚悟である。慢性疾患とか生まれたときからの障害がある人は、病院人生がもう一つの歴史だ。いい病院といいお医者さんに出会うとずっと快適ライフである。私は生まれる前から患者さまだ。まさに病院のおかげで生きてこられた。今日があるのもなんと、たくさんのお医者さんや看護師さんの力によるかと思うと、感激する。弟はこれから健康管理を自分でまかされた。ひとり立ちの一歩をふみだした。うれしそうである。私もそうだが、自分のからだをよく知って、元気にいられるように管理するのは、けっこう大変なことだ。やりたくないときも、めんどくさいこともある。食べすぎ注意の弟は、世の中に山ほどある誘惑と戦わなければならない。私のように医療の分量が多くてもそれは同じことだ。治療をあとまわしにして好きなことばっかり本当はやりたい。でも、治療にたくさん時間もエネルギーもとられるので、やっぱり、弟のように治療を卒業して自分の時間が増えるのは、いいな～と思う。 とはいえ、最近の私の検診は、ほとんど世間話で、先生と１か月分のおもしろい話をしてくるのだから、それはそれで楽しみな時間である。そして、この１年、なんと入院しなかったのだ快挙だ。これで、ゆっくり座って、ケーキとお茶でもあれば最高なのにね。とにかく、１５年間、弟も家族もよく頑張って治療したと思う。ひとつ、めでたいことであった。年末の病院ロビーのツリーを一緒にみるのも最後だった。 卒業おめでとう。 

  2008.12.09

• 障害君の贈り物

  人間はいつか死ぬものだが、ほとんどの人は標準的な平均寿命の近くまで生きられる。ほとんどの人がそうだから平均なのだ。で、もちろん、病気や事故で早く死ぬ人もいる。命が助かって私のように障害がある人もいるわけだ。病気といっても世間には山ほどあって、たくさん患者さんがいてグループで励ましあうことができるのもあるし、少なくて治療法さえわからないものもある。同じ病気でもその重さは様々。私は障害を各種たくさんもっているし、弟もめずらしいやつをもっている。欲張ったわけではないんだけど、なんだかいろんな病気や障害のことを当事者になって知ることができた。だけど、あおいさんの書き込みの「だんだんなくしていく気持ち」をいうのを私は知らない。想像することしかできない。偶然の事故もつらいことだけど、進行していく、という病気にどんな精神状態で向き合えばいいのだろう。今の自分は少し落ち着いていて、みんなよりはゆっくりすぎるスピードだけど、自分で前に進んでいる実感はある。進むも止まるも自分でほんの少し決められる。どんな人でも、自分が持っているものは、自信の種にするだろうし、大切にするだろう。それがなくなることを止められないというつらさの中でも最大級の中にいる時、どんな励ましをもらったって、人事にしか聞こえないのではないだろうか。当事者の気持ちを同じように感じることはなかなかできないけど、想像力のある人と出会うとちょっと愚痴れるようになる。ちょっとわかってもらえそうな気持ちになる。そうしたら、なくなっていくけど、今あるものを大切に思える元気が生まれるのだろうか。たった一人で、自分の心の中だけで荒れたり、ぐちったり、なぐさめたりするのはものすごく大変である。となりにいる人(やっぱ、家族か？)が幸せのカギを握っている。障害や病気を前にしたとき、うんとまとまるか、壊れてしまうか、家族はびみょーな関係になる。病気のときこそ頑張ろうと思うか、そうでないかは大きな分かれ道である。うちだってすんなりと今があるわけではない。それでも、障害や病気をまるごと家族だと受け止めるかどうかは、その人を大切に思えるかどうかがこれまたツボだ。進行しているということは、時間があまりないかもしれない、ということでもある。時間がない、というだけで焦る。笑って過ごすことも、ごまかしていくことも、見ないようにすることも、考えるチャンスにすることもできる。たぶん、たった一人では、選べないし、決めることも困難だろう。一緒に歩いてくれる家族か、そうでないか。もし、私が、支える家族の方だったらどうしたかなだから、あおいさんが、聞こえるうちにいい音楽をたくさん聞いておきたい、といえるのはものすんごく、すごいことだと思う。ものすごく支えてくれる人がたくさんいるに違いない。障害は個性、とよく言う。丸ごとその人、という意味で使われているのだろう。障害はその人の特徴だから個性ともいえるだろう。個性は尊重してなくさなくてもよいものだ。周りの人が障害を個性と見て、普通に接してくれたらいいな、とは思う。でも私が自分の障害を前にしたとき、やっぱりなくすることができるならなくしたい。障害の悪いところだけでなく、よい面も今ならわかる今でも、やっぱりひとつでも、ないほうがいいなあ、と思うのが本音だ。当事者のわたしには障害はただ、そこに存在する障害君だ。人格を認めてつきあっている。障害君が教えてくれたものは、想像力をもつと楽しくもなれる、ということかな。なかなかよい贈り物である。あおいさんも聞こえなくなる、という障害君から想像力という贈り物をもらったと思う。だから、今の時間を楽しむことができるのに違いない。私も、自分の想像力を使えば、あおいさんが楽しもうとしている時間を一緒に喜ぶことができるような気がする。進行する病気の人の今日もまた、後ろに進んでいるのではない。ちゃんと前に進んでいるのである。みんなに今日はある。あおいさんのおかげで、なんか、元気をもらった。 

  2008.12.04

• 胃ろうその後

  毎日美ログを見てくださる人がたくさんいるのはありがたいことである。というのも、母がちょっと人に会っただけで、すぐ、「胃の具合どうですか？」と心配してもらうそうで、ビックリしていた。久しぶりに会っても、毎日会っているみたいだ。みなさん、ほんとありがとう。で、胃ろう周辺のじょくそうだけど、やっぱり、そんなにあっという間によくはならない。でも、少しずつはよくなっていると思う。自分で見えないので、出血の様子で確認する。根本的には何もかわっていないのだ。けど、いつかはなんとかしなければなあ、思う。とりあえず、一日安静にして、かなりよくなった。音楽はバッハのチェンバロにしてみた。　キラキラ、ピラピラした音が、しみこんだようだ。長調がよいみたいだ。バイオリンはちょっとこすれて痛い感じである。いててーというときにはちょうどいいかもしれない。ボーイソプラノ少年合唱のリベラはなかなかよい。耳に集中していると、痛みを忘れるね

  2008.11.29

• 胃ろう応援団長のぼやき

  せっかく胃ろう応援団長になった、というのに、さっそく悩みである。最近の不調で胃ろうの周りの皮膚がものすごく痛くて、受診してきたらじょくそうみたいな感じで、なのに、手当ての名案がない、ということがわかった。落ち込んだ＋痛い出血が多くて、そのことを「ことば」で言われて、ますます痛くなってしまった。この前はことばで痛みの原因がわかってすっきりしたのに、今度は、逆だ。しかも、根本的に解決できない、というのが、またもや「ことば」でわかってしまって、ちょっと今日は落下中。胃液がどんどんもれてくるので、皮膚がなおる暇がない。おまけに、胃ろうの当たる場所にいつも圧力がかかってものすごく痛い。毎度、外科の先生と同じ話をして悩むんだけど、今回は、マジで痛いのでいろいろ考えてしまった。その１→痛いのにはとりあえずじょくそう用のマットをはって様子を見る。→でもだめだろうねえ。その２→別の胃ろうを手に入れる→日本で輸入してくれる所がない→じゃ、あとりえで個人輸入？その３→傷を治すために、一時、腸ろうをやめて、鼻チューブ→絶対やだ！その４→腸チューブをとるために全部胃から栄養をとる→ぜったいむりむり、吐く！その５→逆流防止の再手術検討→手術もやだ！・・・てなわけで、基本的に全部「いや度」が高い。どれも選択したくない。あ～、どっから手をつけたいいでしょう？私達はいろいろな障害が重なっているし、びみょーなバランスで体調を保ち、生活を組み立てているのだ。一つ変わると、芋ずる式に全部ガタガタきてしまう。現に、今日のセンターは行けなかった。親は一番自分の介護が楽になる方法をすすめる。私は一番痛くない方法を選びたい。基準がそもそも違う。それに、絶対成人式やコンサートは行きたい。優先したいものばっかりで悩みが複雑になってきている。とりあえず、逆流の検査は受けてもいいかな、と思っている。そして、新しい胃ろうをなんとか手に入れたい。そのあとで、手術とか栄養の方法を変えることを考えようかなあ。ほんと、皮膚は、点みたいにちょっとでも、傷があると痛いよ。よくオシリにじょくそうができてしまう友達も多いけど、寝てるのにとこが当たるんだから、考えただけで涙がでる。ちょっとストレスでも、皮膚は痛む。からだのしくみは、大したものだ。今日はそういうわけで、安静日だ。こういうときにきれいな音楽を聞くと、細胞も喜ぶだろう。皮膚によい音。どんなんだろう。ちょっと探してみる。おすすめの音楽があったら教えてくれ～

  2008.11.28

• そうだったのか！

  この2週間、緊張がとめられなくて、ほんとに苦労した。いろいろ理由はあったのだけど、新しく何かが悪くなっているのでは？？？と不安倍増。すると、ますます緊張強まる。ストレス炸裂、の悪循環。今日のセンター通所だけを、心の支えに、ホントのホントに楽しみにしてきた。それだけを思って体の氾濫に抵抗した。朝のケアで、ヘルパーさんが、胃ろう周辺の出血に気がついた。｢痛そう｣と一言。よくなったり悪くなったりしていたのが、とっても悪くなっていた。新しい出血でひりひりした。｢痛かったのか！｣という事務員。｢だったら、センターをやめて外科を受診しよう。｣なんてこった！想定外の展開だ。絶対阻止しなければ。3連休前の週末だが、ここはふんばらなければならない。出血した胃が痛かった、ということを、実は、いわれて初めて気がついた。何となくお腹あたりは痛かったのだが、何がどう痛いか、どう痛んでいるか、自分で見えないので、細かいことがわからないのである。緊張の強い間中、どこがどうなのか、言葉で言って！と母に超しつこく言われた。だけど、わからない、というのが本当である。からだの中、外、ベンピ、トイレ、大雑把ならわかるが、細かいことがわからないんだから、対策も聞かれたってわからない。わからない、ことが、お互いにものすごくストレスになった。長い１週間だった。一緒にイライラして、私はもうシカト。母は避難。疲れた弟も八つ当たりでいっぱい注意されて、悲惨。父は無言。あ～あ。破裂寸前のふうせんだ。それが、ヘルパーさんの｢これ、痛そう｣の一言で、全てが晴れた。なんだ、そうだったのか。と、思ったら、意識が胃ろうに集中して、痛みが集まった。｢そこ｣が痛く感じられた。言葉を聴いて、からだを知った、というわけである。私は麻痺で、目もよく見えないので、自分のからだもよくわからない。赤ちゃんがあちこち触って自分の手足を知るというけど、それができない。だから、漠然とした、不調、とか不快、とかを、すぐに説明なんてできない。父も母も毎日からだを観察していても、いつものことだと見逃したのかもしれない。ヘルパーさんが、こんなの初めて見ました、と気づいてくれた。ぱっと霧が晴れた。痛みの原因がわかったから、対策がうてる。痛み止めの軟膏と、飲み薬を試した。効き目を確かめる前に、ものすごく効くような気がした。そして、めでたくセンターへ・・・。と、こんな記事を書いていたら、また痛みを意識してしまった。痛い。ちょっと、今から、泣くことにします。痛いよ～。

  2008.11.21

• 命を守る

  インフルエンザの予防注射をした。やっぱり、一声泣いた。冷やかされても、やっぱ、チュ―シャはやだ。成人が近くたって、泣きたいときは泣く。笑われたって、いいのだ。と、ちょっと開き直り、あんまりガマンしないことにしている。普段けっこうガマンしているから。こういうときにガス抜きをするのだ。泣いていいときに泣いておくと、けっこうスッキリするのである。丸一日、緊張の歯ぎしりが止められなかった。耳がよい事務員はこれが最悪のストレスになる。私だってできれば止めたいが、生理的にダメな人にはものすごく耐えられないようだ。座薬をしたり、薬を早めに飲んだり、いろいろ試してもダメである。とうとう一緒にいられなくなって、別の部屋でエスケープした。時に、こういうことも必要である。いつも、なんでもこなす在宅看護の要でいなくてはならない母は、なかなか息つくヒマがない。私の要求も多くなって、仕事も増えている。昨日は弟の施設実習初日でもあり、弟の緊張とストレスも最高潮だった。それでも、ボヤキつつ、頑張る母はヘルパーさんが一日７件も回ると聞いて、自分なんてぼやいている場合ではないと、反省している。そちらは仕事だから、とはいっても、それぞれに仕事というのは甘くない。在宅看護は無給であるが、ものすごい仕事だと思う。お金を払ったらきっとものすごい金額になると思う。もらえない金額を計算して、それほど働いているのだぞ、と自慢する母である。けど、やっぱり、無給で限度がない在宅看護人のストレスは大変なものである。と、今日は、緊張が大分よいので、頭もさえて、気分もよい私なので、晴天の朝の光を感じる余裕もあるし、看護人にもやさしくしてあげることができるのだ。お互いに逃げ場がないというのは、本当に苦しいものである。昨日は私も歯ぎしりしながら、とても苦しんだ。これで、こうして、言えるからいいけど、今日も、言えない人がたっくさんベッドの上でがまんしているのだ。命を守る人も、守られている人も、言えないことは苦しいことだ。ガマンするしかないときは、環境をかえたいが、そうできないときは、感じないようにするしかない。そんな様子が観察されるときは、ちょっと、離れて、ひとりにしてあげてください。吸引や呼吸器はちょっと気になるだろうけど、そうそう、簡単につまったりはずれたりしないことを信じよう。

  2008.11.12

• 胃ろう応援団長

  私は今、クチから食事ができない。なので、胃に穴をあけて、チューブで食事をとっている。穴の名前は胃ろうという。この胃ろうは、ずっと前から、何でもっと早く教えてくれなかったの！というくらい、とてもいい治療だと思っている。何度もブログでも書いているが、その前段階、地獄の鼻チューブが、ほんとのほんとにヒサンだからなのだ。赤ちゃんでミルクをうまく飲めない人が、まず、はじめにするのが鼻チューブである。なんとかして水分を入れないと死んでしまうのだから、小さいうちはよしとしよう。仕方がない。でも、私たちのように、だんだん体が大きくなってきて、十分栄養をとりきれなくなってきたときに、全部をクチから食べること、本人は実はとっても大変です。というか、たまにちょっと休んで、ズルして、チューブで休憩、というのもいいのでは？と私は思っている。 というのも、食べるという仕事はものすんんんんごく、体力を使うし、食べる機能も低下するので、いろんな人といつも上手に食べ続ける、というのも、なかなか大変なのである。食べるという仕事のほかに、やりたいこともあるし、楽しい予定のために、今日は体力をとっておきたいな、ということもある。そんなとき、クチから食べるのが厳しかったり、しょっちゅうむせたり、ちょっとのタイミングで誤嚥したりしてがっくしするより、胃ろうがあれば状況に合わせて、うまく使い分けることができるのではないかと思うのだ。 そういう私は、もう、すっかり口から食べることをあきらめつつあるのだけど、もっと早めに胃ろうにいしていたら、こんなに食べる恐怖でがんじがらめにならなかったのかも？とも考える。しかし、食べられている人に、胃ろうは作らないだろうし、胃ろうを予備でオプションに早めに手術しておく、というのもなかなか想定できないことでしょう。でも、胃ろう経験者としては、胃ろうになること＝重くなる、悪くなる、ということだけでもないということをなんとか伝えたい。ただ、まあ、胃ろうになると、いつも医療管理が必要な人、になってしまうので、社会的な制約をたくさんうける。胃ろうに対応できる施設やヘルパーさんも多くはない。だけど、そうだとしても、苦しいのに頑張させられて食べなくてはならないとか、呼吸がいつも苦しいのはまっぴらごめんである。いつも最適でベストな介護人がはりついていてくれるならいいけど。それだって、いっつもその人だったら、お互いに飽きる。どんな人でも最適なケアができる制度ならいいけれど、今の日本ではもうひといきだ。それでも、たとえば胃ろうがもっと利用しやすくなって、そのよさが広まったら、もっと重度の障害の人が長い時間元気でいられるに違いない。クチも胃ろうもあり、だったら、食べたいものと食べなければならないものに合わせて、楽な方法を選択できるという気楽さが生まれると思う。その気楽を、他の充実に回すことができる。 元気な人がぱくぱくご飯を食べるようにはいかないのだ。ほんとうに、ほんとうに、食べるという仕事はエネルギーを使う。その負担を考えると、もう食べなくてもいいや、と私はけっこうホンキで思っている。本当はもっと、楽に食べられるのなら、食べてみたいものはたくさんある。基本、グルメだから。周囲で友達や先輩が胃ろうや気管切開をすることが多い。そのタイミングや、意味をもっとプラスに元気になるものとして考えたらどうかな？と思っている。まあ、そういう自分も、危篤で死にそうになったから手術したわけなんだけど、前向きに胃ろううを研究して、もっと扱いやすい胃ろうが発明されて、ケアもよく受けられたら、こんなにハッピーなものはないと思っている。ほんと。というわけで、今日、今から、私は「胃ろう応援団長」になろうと思う。胃ろうで元気になる会である。

  2008.11.10

• 新しいヘルパーさん

  １週間に何人ものヘルパーさんにお世話になって生活している。全部で何人だろう？事業所も複数だし、内容も日によっていろんなバージョンがある。しかも、今は、弟の実習中なので、実習バージョンだ。毎日、朝と夕方、ヘルパーさんに二度来ていただいている。何かと複雑なケアが必要な私なので、誰でもすぐに、というわけにはいかない。それでも、慣れた人から、新しい人へと引き継がれて、そしてまた新しいバージョンになっていく。二人で来ていただくときは、そのコンビぶりがとても興味深い。お笑いコンビだったりすると、なお面白い。ものすごく楽しみ。新しいヘルパーさんへの引継ぎがあった。一緒に仕事をしながら覚えてもらう。その第１日目はなんだか、みんなそれなりに緊張するものだ。教えるヘルパーさんも、教わるヘルパーさんも、当然ケアを受ける私も緊張する。お願いして弟を迎えに外出する母は、あっさりと、「んじゃあ、お願いしまーす。それぞれがやりやすいようにどうぞ気にしないで」といなくなってしまうけど、それで場を和ませたと思うのは、実はまだ早いのである。何も覚えていないのに、自由にどうぞ、と言われるくらい心もとないことはないのだ。あんまり、細かく「ウチのやりかた」をいわれても緊張するだろうけど、「自由」という言葉の前にはちょっとだけ、せめて、「大筋」というものがあったほうがよい。最低ポイントだ。ヘルパーさんたちを信頼しているので、どうぞどうぞ、というのだろうけど、私だって、「ケアの手の違い」をはじめはアンテナをはって知ろうとする。それくらいの時間は必要だ。でも、後半になれば、だんだんみんな和んできて、おしゃべりも出てくるし、そうすると私もほっとする。緊張が多かった、のは当然のことである。人と人がお互いを知るには、いろいろな手がかりが必要だが、私は、やっぱり、耳と手で知る。ケアの人の手がどのように動いて、どのように言葉をかけてくれるか、それに全身で協力しようとしているつもり。事務員の母は自分がケアを受けるわけではないので、保護者としてお願いしたいことを伝えようとする。まあ、ケアに関しては自分がけっこういいかげんなので、他人にあんまり言えないのだ。そこは、父の方が細かいくらいだ。どっちがいいとも言えないが。私の身体を中心になんともたくさんの人が、たくさんの思惑で動いてくれる。それを一身に受けるというのは、けっこう大仕事ともいえる。なので、アンテナをはって、新しいヘルパーさんとうまくいきそうだな、と思ったとき、すごく安心する。私はそもそも取り繕ったりできないので、いつもそのままをゆだねるしかない。ヘルパーさんは仕事とはいえ、人間どうしの付き合いだから、あんまり構えないで普通にしてくれるのが一番らくちんです。  

  2008.11.06

• ヘノッホ・シェーンライン紫斑病

  初めてきく病気の名前。ですが、主治医のちよこ先生たちがすごい研究発表をした。新聞で読むところによれば、小児の血管炎の一種で再発や腎炎への進行が問題になる病気だそうだ。それが、虫歯や副鼻腔炎など、離れたところの感染を治療することでよくなったということである。体の病気がまさか、虫歯と関係あるなんて、なかなか思わないかもしれない。でも、直接その部分だけをみるのではなく、全体を見回すことで発見があり、しかもみんなで協力してよくなる方法を見つけ出したというのだ。感動した。ちよこ先生は、いつもそうだけど、私たち全体をみてくれる。私の体はもちろんだし、心も、生活も、家族のことも、総合的にみわたしてくれるのがいつもうれしい。だから、診察に行っても、案外体調のことはすっとばして、世間話しとか、芸術の話とかをたくさんしてくる。入院しているときも、そうやって、ひとつひとつの日常のひとこまをよ～く観察して、あるときズバッと問題可決しちゃうのである。 うんと具合が悪い入院中、何も食べていないのに、便から白い固形の物体がいくつもでてきたことがあった。介護の母は不気味がって心配して、看護師さんや外科の先生に訴えていた。なかなかわからなかった。そこで、ちよこせんせい。じーっと考えて、「ラッキー！」と一言。当時緊張が強くて、爪で指を痛めてしまうので、小さい犬のぬいぐるみをいつも手に握っていた。その犬のラッキーをなめたりかじったりするうちに、中のビーズを飲み込んでいたらしい。一挙解決。このとき、ちよこせんせい、すごいと恐れ入った。それからも、それまでも、何回も恐れ入っているのだが、小さいことも見逃さない、それでいて、発想が柔軟、そして、決断力がある。でもいつも、エレガント。・・・という、すんばらしい人なのである。これで、ヘノヘノ病で悩んでいるみんなは、どんなにほっとしたことだろう。治療法が見つかるということは、この上もない希望だ。息ができる喜びだ。治療も頑張れる、ってなもんだ。本当におめでとうございます。次の受診日はまだ先なんだけど、思わず書いてしまいました。ほんと、めでたい。よかった、よかった。

  2008.10.29

• 節目の日

  今日が節目の日になる人がいる。同級生の友達は長いこと入院して、気管切開をして、今日いよいよ自宅へ退院する。もう一人、いずみさんのちびっこむすめさんが今日気管切開の手術をする。全国の病院で今日手術をする人も退院する人も山ほどいることだろう。でも、その一人一人にとっては、今日という日は忘れられない日になる。気管切開はけして、軽い気持ちで受ける手術ではない。でも、きっとよくなる。元気になるための救世主でもある。失うものは大きいが、得るものはもっと大きい。息が楽になるのは、本当に、本当に、楽で、楽で、この世のものとは思われないくらい素敵なことだ。でも、それは確実に、この世のものである。この世の一度しかない大切な時間を楽に過ごすことができる。息が楽になると、一刻一刻が別世界になる。美しいものが目に入ってくる。みんなと笑える余裕が生まれる。生きている喜びの第一歩なんだ。気管切開をして、元気に退院する友達にも、それをめざして今日頑張るちびっこにも、みんな応援オーラを送ってほしい。今日がきっと、とってもうれしい日になるはずだ  

  2008.10.24

• 柳澤桂子さんの本

  生物学者の柳澤桂子先生の本を読んでいる。きっかけは、主治医のちよこ先生に、私と同じ病気の人でもうながいこと闘病している人がいるのだと教えてもらったこと。そして、さっそく本を買って、１冊読んだ。同じ周期性嘔吐症の目線からいのちや生活を書いておられた。これは入院中に事務員に朗読してもらった。とても引き込まれて、どんどん次を知りたくなる科学の本だった。しかし、介護しながらの朗読は途切れることが多くて、ちょっといらいらしたものである。それで、今度は録音図書のリストを探した。あった、あった！　「癒されて生きる」さっそく申し込んで、一気に聞いた。３０年以上も原因不明の病気と付き合い、仕事のこと、病気のこと、家族のこと、医療のこと、宗教のこと、いろいろなテーマがとても身近だった。中でも、芸術に関する章は、まったく、ほとんど、すっかり、というくらい一緒の部分が多くて、びっくりしてしまった。バッハやモーツァルトが病気のつらさも染み入って身体も精神も支えるところは、そうそう！という気持ちになった。そして、音楽、絵画や、短歌など。うんと大先輩で大学者先生なのですが、話をしてみたいとおもうくらい、そうそう！というひらめきが何回もあった。 本を読むととても病状は大変な様子だ。それでも、なお、心は静まっていて、宇宙の鼓動を感じながら自分の分をしっかり生きようとする気持ちが温度を持って伝わる。本を通しても、すごい人に出会うことができると、孤独ではない、と書いてあった。本当だ！昨日は白い月がものすごくきれいだったと聞いた。月が美しい日は事故や事件も多いらしい。宇宙のリズムの影響を受けるのかもしれない。わたしは、今日はちょっと緊張が強い日だ。本と月を手がかりに、宇宙をものすごく身近に感じている。  

  2008.10.16

• 胃ろう

  胃ろうの具合がずーっと、イマイチだ。胃ろうから腸までもう1本チューブを入れている。一つの穴から2本管が出ている。どうしても、2本がこすれたり、すきまが開いたりしている。多少は胃液がもれたりしていたのだけれど、この夏あたりから、とってももれる。もれる、というより、噴出す感じだ。胃液が噴出してチューブがこすれると、なかなか痛い。この頃は常に痛くて、とほほを通越してきた。そうこうするうち、チューブの接続部が壊れてきた。そっちからもミルクがもれる。あっちこっちズブズブである。本当はすぐ受診しなければならないところだ。でも、今日はセンターの日だよ。もちろんセンター優先にした。週末だけど、行っちゃった。なので、連休は、もれもれ、ズブズブをだましながら受診を待つ。水曜まで。なんでこんなにもれるのか？ゲップの前にぶぶぶともれる。腹筋の力がついて、ガスをおしだしている、とか、腕でボタンを押しのけるのがわるい、とかいわれる。そんなの、どっちでもいいけど、いつも皮膚が痛いのはいやだ。薬で改善しなくなってきた。外科か～。やだな～。でも、しょうがないな～。すっきりひとつの、胃ろうボタンで、皮膚を傷めないのを開発してもらいたい。 

  2008.10.10

• 新幹線より飛行機

  今日高等部の3年生が大阪修学旅行から帰ってくる。毎年この時期になると、ほんと懐かしく思い出す。夢の大阪。人生を変えた大阪である。医療行為がたくさん必要な私が飛行機に初めてのってみんなと一緒に修学旅行にいった。そのために3年も準備してとうとうやり遂げた。たっくさんの人たちに助けられて、大成功だった。それが、本当に大きな自信になって、今の私があると思う。次の年に思い切って初めて新幹線にのった。これは、思ったより、大変な思いをした。そのために新しい車椅子も準備して、東京までの日程や行程をくまなく準備した。結果、車椅子をなんとかデッキにのせたけれど、座席には行けなくて抱っこしてもらって寝ながら3時間過ごした。東京までだったので、抱っこのみんなも、なんとか私の体重を支えてもらうことができた。これは、実は、目だってやなのだ。寝てるからすごく具合が悪そうだし、通る人がつい見るんだよ。しょうがないけどね。デッキの車椅子はたためないので、車内販売の人が来るたび、母がそっちこっちと動かした。注入は窓に引っ掛けて吸引もした。ただし、吸引機は車椅子についていたのでもってくるのが重かった。とかなんとか、東京からは、ビップで地下道をとおり、車椅子タクシーのお世話にもなりました。市内の移動はもちろん自家用車だが、リフトワゴン車は駐車場を探す。しかし、これで、東京まではちょっといけない。今のところ片道3時間(休憩入れて)コースまではできた。そろそろ、もうちょっと距離を伸ばしてもいいかな～と思っているので、こちらは日本海ツアーが次の目標だ。今年、医療ケアのある後輩が飛行機に乗った。わたしの時はストレッチャーに寝て快適だったが、お金がとってもかかるのと、ベッドまで運ぶのが大変というのがあった。今年はスペシャルシートにリクライニングして乗ってくるよ、という情報だ。これがよければ、次は私もそうしたいと思っている。来年九州に行くのだ！うっしっし！今日帰ってきたらぜひとも乗り心地を聞こうと思う。行きは野球選手と一緒だったらしい。修学旅行に行ったころは、移動の情報はほとんど人事、ほとんど、1回限りと思っていた。が、出かける楽しさを体験すると、ますますもっと、行きたくなるものだ。そうやって、少しずつ遠くにでかけて、いつか、地球のはじっこに行っちゃたりするかもしれない。うっしっし！できれば、ストレッチャータイプの車椅子でもらくちんでのれる新幹線があったらいいと思う。が、ということは、エレベーターもだし、駅の中もだし、いろいろありますけど。JRさん、ぜひともお願いします。

  2008.10.03

• 考えるリハビリ２

  リハビリをするときに、周りの刺激に影響されないように考えることにした。やってみると、けっこうできた。自分が刺激に左右されてしまう、と考えていたから「やられた」ともいえる。思い込み、というやつだ。ならば、と、手足を動かすときに、身体をイメージして取り組むことにチャレンジしてみた。こっちは、一筋縄ではいかないね。やっぱりね。何しろ、自分の手足がどんなふうになっているかを、自覚するまでが時間を要する。麻痺で固かったり、意志と関係なく動くことには、いくら命令しても、「無視」される。それで、いやで、怒って、こっちも「無視」、というわけで、麻痺をなんとかしよう、という発想がなかった。でも、頭の中でイメージしてから動かそうとする、という方法を聞いてみると、なんか、目からウロコである。私は、命令してから、それなりに体が動き出すまで少なくとも１０秒はかかる。その10秒は長い。介護の人も、10秒待ってくれる人はめずらしい。すると、ささっと手伝ってもらって、任せてしまうことも多いのだ。というこは、あんまり、自分でもやってこなかったかもしれない。１０秒かかって動かし始めることを続けていると、体が覚えて、自動的にできるようになるという。話には聞いて知っていたけど、まあ、ね～、真剣に受け止めてこなかった。気が遠くなるような時間がかかるに違いないし。でも、実際その気になって命令を出してやってみると、なんだかうまく行っているような気がしてきた。何をどのように動かせばいいのか、手順を教えてもらいたい。そして、何か、仕事や目的があるといいかも。いまのところ、顔をすっとなでて、化粧をする感じを考えている。今まではつい爪で引っかいて、顔流血だったので、新しい目的で指でアイシャドーをすすっ、のイメージである。自分の手が、首のカニューレを通過し、鼻も越えて、まぶたまで行くのだ。未体験ゾーンだ。紫をうまくつけたい。失敗したら、殴られた内出血だよ～。

  2008.10.01

• やっぱりショックだ

  センターに平日通うようになって2回目だ。朝8時半からケアが始まり、夕方5時まで休みなしだ。昨日は夕方の入浴はできなかった。すっかりへとへと。で、シャワー浴にしてもらった。こういう希望が通じるというのは、ほんとうに、ほんとうに助かる。これで通じないと、いつものように入浴になり、疲れを防ぐことができないだろうから。シャワーにしたけど、夜、久しぶりに吐いた。あー、せっかくシャンプーした髪に顔面キャッチだった。かなり久しぶりだっただけに、ものすごく落ち込んだ。もう、かなりいいのでは？と自分で自信を持ちかけた病気に、また振り落とされる感じだ。それまでのよかった事が帳消しになる。もちろん全部が帳消しになっているわけではないんだけど、奮い立つ元気をチャージするのが大変。なんか、ガンの再発みたいだ。未経験世界だが、丁寧に丁寧に付き合って回復したものが、がらがらがら、と音を立てる。ここまでか？と思ったりする。ホント落ち込む。闘病が長くなると、精神的に自分で自分を支えるのが大変だと思う。20歳までにかなりよくなる、というのを支えにしてきた。次のステップに行くときは、まだ少しずつなんだあ、と思い知った。物事がよくなっているときは、無限にどんどん夢が実現しそうな気になる。でも、無限ということはないのだなあ。調子にのるな、という戒めなのかもしれない。とりあえず、今日は身体を休めることに集中しますかね。あーあ。

  2008.09.27

• パラリンピック

  パラリンピックが始まる。パソコンの先生のとっしーがなんと中国に行っているはず。選手団の応援だ。開会式のチケットが買えなくて、応援の試合のチケットも買えるかどうかも「？」らしい。それでも、現地で、世界の選手たちがどんな風にスポーツに挑戦しているのか、自分の目で見てくることができるだろう。すごすぎ。いいなー！！！リハビリの成果からもう、本格的な競技になってきている障害者スポーツだそうだ。私はもちろんスポーツからかなり縁遠くなってしまったようにも思うけど、応援したり、見たりすることも参加である。 小学生のとき、教頭先生に抱えられてスキーを体験した。たった一度のその体験を今でも鮮やかに思い出す。そりで思いっきり滑ったスピードも忘れない気管切開をする前に、プールでふわふわした気持ちよさや、乗馬でぽくぽく歩いたリズムなんかも、身体にしみついている。たった一度か二度の体験でも、体のどこかにしっかりと記憶になってしまわれた。それは、今、ベッドから見たり聞いたりする生活になっても、華々しい気持のよい気分とともに一緒になってわくわくできるのだ。 最近体力がついてきた私は、ベッド柵で毎日筋トレをしている。今までは、そう冷やかされて、ふん！と思っていたが、自主的に取り組むと、それはそれなりに意味が出てくるように思えてくるから不思議だ。リハビリでも、目線を意識して利用するとうまく体が動くことを習った。でも、もうすでに、長い年月まひとは付き合っているが、もういいや、と少々投げやりになっていた。今さらという気分が強くて、あんまりヤルキが出なかった。筋トレもリハビリも、何か目標があるといいかもしれない。いきなりパラリンピックはもちろん無理だが、ちょっとできるようになるとものすごくうれしいものだ。 というわけで、最近がんばっていることは、顔を洗うときにまっすぐ上を向くことと、手をなるべく下げていることだ。そうすると、石鹸も目に入らないし、気が短い母と喧嘩しなくてよいのである。筋トレしながら、とっしーの報告を楽しみにしている。

  2008.09.05

• きたろうプロジェクト予告

  もう５年越しに計画している大大大プロジェクトが、つ、つ、ついに本日実現するきたろうプロジェクトだ生まれたときからずっと病院で暮らしているきたろうくんを我が家に招く。きたろうくんにとっては長い長い道のりだった。ベッドから看護師さんのだっこで病室をはなれ、バギーを作り、乗る練習をし、病棟を歩き、エレベーターにのり、リハビリ室へいけるようになり、病院の玄関まで行き、外の空気を吸った。そして、ついに、外出だーーーー！！！あー、考えただけで、自分が退院するために少しずつ練習した毎日を思い出す。病院の玄関に行くだけで、音や人々の多さや、外の刺激に順応するのに時間がかかった。でも、それ以上に風や光を体中に感じて、生きているってうれしいっ！と感動で叫んだ。きたろうくんは、今日、看護師さんやスタッフの人をたくさん引き連れて、やってくる。ウチには、酸素もベッドもスロープも何でもある。病院に歩いて行ける様に引っ越したくらい近い。だからきたろうくんも歩いてくることができる。初めての道初めての場所初めての外の世界いったいどんな表情をしてくれるのだろう。弟と一緒に超わくわくで迎える準備をする。忙しいから今日はここまで。明日のレポートをお楽しみに！

  2008.08.20

• 障害児は歯がいのち

  年に２回弟は歯医者に行く。虫歯はない。予防歯科である。最近予防歯科に通院を始めた母と弟が二人で行く。そのたびに先生と話してきて、私のことも心配してもらっている。障害児を虫歯にしないように、フッ素歯みがきを教えてくれた先生だ。もちろん、私も入院前は毎年でかけていた。食事の練習に摂食外来にも通っていた。もう、食事もできくなってずーっと、行っていない。先生たち元気かな？とときどき思いだす。弟は歯の裏側ができなくて、なきそうになって練習している。そりゃーそうだろう。見えないところは難しいって。それでも弟も虫歯はない。仕上げみがきの賜物である。(こどもの虫歯は親の責任、と聞いたことがある。親も大変だ)もちろん私も虫歯はない。学校時代は毎年ダイアモンド賞だった。毎日歯磨きも欠かさない。しかしこの頃では、何が！って、歯石！である。歯科衛生士に化けた母が届くところを歯石カリカリで取ってくれる。歯石のバイキンで肺炎になって死んでしまった人もいるそうだ。怖すぎる。先日２０歳の歯科検診のお知らせがきた。・・・でも、近所の歯医者さんにはやっぱりいけないと思う。緊張が強くて口をあけていることができないし。また障害歯科に通ってみようか。今度は歯石とりである。けっこう大変なんだけど。なんといっても、障害者は歯がいのち、である。私はまだ、虫歯で死にたくない。もちろん、にっこりきらりも大切だ。いのち優先の障害が重い私たちは、歯はついつい後回しなりやすい。けど、ものを食べなくたって口のなかがさっぱりすると、超気持いい～のだ。

  2008.08.19

• ボッキリ！ガツン！

  どしん！がつん！で、びっくり。体が落ちるううう～。と、また地震か？と思ったら、ベッドの足(キャスター)がボッキリ折れた。がーん！！まあ、最近私も重たくなったし、リハビリもバンバンやっているし、というわけで、ベッドの方が夏バテした。思えば６年酷使した。ご苦労さんである。さっそく業者さんに連絡をとると、１５分で即、見にきてくれた。こういうとき、すぐ近所だととっても心強い。他の足ももう、曲がっていて、いずれ折れるかも、という診断だ。ひえ～。速攻で修理となる。その日のうちにすぐ手配が進み、もう、来週なおしてもらえることになりました。ほっ。暑い暑い中、何度も足を運んでくれた業者さま、ほーんとにありがとう。いざっということは急に起きる。それに、すぐに対応していただくとき、その気持が伝わって、うーんと安心するのだ。仕事は人がする。足がくるまで、ちょっとおとなしくしていることにする。

  2008.08.08

• どうすんの、ふくし

  今年初めてのケア会議が自宅で行われた。障害企画課さんと、区役所さん、発達センターさんと厚生相談所さん、にセンターの師匠だ。前回の会議から、たくさんのことに挑戦できたので、それを報告し、センターでの作品を紹介することができた。もちろん梅ジュースとどうすんのTシャツが登場した。S市の障害福祉にかかわる仕事をする人たちに少しずつ知り合いが増えている。だんだん友達みたいになってきた。もちろん本を紹介しては売り込んだ。サインつき。ちょっとうれしすぎてコーフンしてしまいました。変な字になってしまってすいません。 思いのほか「どうすんの」で盛り上がった。これからどうすんのをベースに何かできるかも？センターの医療行為の問題は、ゆっくりだけど前進していると思います。困ったことと、うれしかったことの両方あるけど、どちらを伝える方が何かを変化させるのに有効なのだろう？と思う。少なくとも、私のセンター利用は、よくなったこと、うれしいこと、がたくさんあって、こんなにいいならみんなもどう？という感じだ。そんな充実感が多くなるほど、困ったことはなくならなくても、感じ方が少し少なくなる。たぶん、一人の人間の気持の中で、感じられる気持の総量は決まっているのかもしれない。全部つらいと思うと全部困ったことになり、ほとんど困ったことの中にちらっといい気持がうまれると、少しずつそれが増えていくこともできる。だたし、それは自然に増えるだけでもない。努力もいる。会議の中で、短期課題と中長期課題が話された。どれもすぐできればうれしいが、そっちの方向に行こうとしていると思うだけで、かなり元気になれた。次の会議のときまでに、またうれしい報告がたくさんできたらいいと思う。それまで、それぞれがんばっていこう！どうすんの、ふくし

  2008.08.06

• チアノーゼ予防ベルト

  ボトックス以降、初めての検診日で、ちよこ子先生にいろいろと報告してきた。どうすんのTシャツで出かけ、書の宣伝もしました。セレブなちよこ先生には「どうすんの」報告には、「は？」という間が・・・・。カルチャーの違いはさておき、元気に活動している様子を伝えることができた。付き添い母は、言わなくていいのに、不覚チアノーゼのことを報告してしまった。おしゃべりである。それで、これまでも、何度もモニターや固定ベルトを阻止してきたのに、さすがの先生にも「う～～～～む」とマジモードに心配かけてしまった。 わかっちゃいるけど、モニターは音もルートもうっとうしくて眠りにくし、固定ベルトも緊張で皮膚にすれる、などなど、理由をつけてお断りしてきた。しかし、まあ、ここまで事態が進むと、私もみんなに心配かけて申し訳ないし、そろそろわがままの境界に接近してきているような自覚もあり・・・。折り合いをつける潮時か、とも思った。そこで、すでに利用している病棟のきたろうくんのベルトを見せてもらいに行くことにした。久しぶりに会うきたろうくんはさらに成長して、小学生オーラに包まれていた。病棟の保育士さんにもいろいろ教えてもらい、カニューレ固定ベルトのアイディア募集中、ということに決心した。胸に回した伸縮性のあるベルトにテープを２本通してカニューレベルトを吊る、というしくみである。衣服の上から通せば皮膚もまあまあ、ってことで、ならば、やっぱりおしゃれが基本でしょうね。 ローラのゴムベルトがあればなあ・・・。と、まあこれは、開発しても売れ行きがよいとはいえないだろうから、ハンカチなどを利用するか。チロリアンテープやレース、ということもあるな。試作品を事務員に頼むことにしよう。

  2008.07.08

• ボトックスの効果

  ボトックス治療というのは、ボツリヌス菌を利用して、緊張した筋肉の組織を一部殺して力を緩める治療です。ボツリヌス菌はすんごい毒なので、薬自体の管理も厳しくて、届けを出して、認定医のみが治療できる。日本では認められている病気も少ないらしく、私は頸性斜頚というわけで受けてきました。首から肩、背中腰あたりにかけて、数箇所（今回は２１）注射をします。１９歳というと、まだ小児なので、１週間入して呼吸管理をする決まりです。何もなければいいのだけれど、肩や首は呼吸に関連するので、急にバランスを崩して呼吸困難になることもあるらしい。もちろん、注射のショックも考えられる。今回はいたって順調。注射は痛かったけど、あとはひま。散歩したり、入浴したり、音楽や朗読を聞いたりして、案外楽しく過ごした。映画も３本見た。その中でとてもよかったこと二つ。ひとつは、リフトバス体験である。お風呂はいつでも大好きなんだけど、最近体重が増えて、介護の人たちに苦労をかけている。家でもいろいろ工夫しているが、そろそろ次の対策などといわれて、生きる喜びの危機だ。なんと言っても、自宅のお風呂でまったりするのが最高の楽しみなんだもん。とはいっても、他の入浴方法をリサーチするのも勉強だ。リフトで上下するストレッチャーの上で洗い、移動すると、なんと！お風呂の方が上がってきて、あったまることができる。バブルも出てくる。感動した。それを３回も体験したのがうれしかった。看護師さんの話がいちいち面白いし、本当はもう少しゆっくり入りたいくらいだが、順番なので、しかたないね。もうひとつよかったことは、本を読んだこと。柳澤桂子さんの「永遠のなかに生きる」というエッセーだ。母に読んでもらった。読んでいるとすぐ、朗読者が眠くなるのが難点である。こっちはもっと聞きたいのに。筆者は生命学者で、今も闘中だそうなのだ。なんと、それが私と同じ周期性嘔吐症である。その病気の苦しい様子は、すんごーくよくわかる。それでも、こうしてとてもよい本を書いているなんて、すごいことだ。いのちについて書かれている内容は、わかりやすくて、心に染み入ることがたくさんあった。それに、桂子の桂の字も私も一緒だし。本のことは病院のちよこ先生に教えてもらった。病気のこともだけど、この本のことも報告しなくちゃ。 体のこと、生活のこと、いのちのこと、なんか、いろいろ考えることができた楽しい１週間であった。次にまたボトックスをするときはもう成人している。すると外来治療になってしまう。ちょっと、寂しい気もするねえ。首の緊張は少しづつ効果が出ていると思う。なかなかよい治療だと今回はちょっと見直した。

  2008.07.06

• 退院しました！

  ただいま～。ただいま、かえってきました。家はやっぱりいいですねえ～。帰りがけにきれいなタチアオイが咲いていました。さあ、夏ですよ～。まずはまったりお昼ねいたします。身体はなかなかいい感じです。

  2008.07.04

• ボトックス

  筋肉の緊張を緩めるために、ボトックス治療をしてきます。今日から１週間、療育センターに入院です。行ってきま～す！

  2008.06.30

• 不覚チアノーゼ

  今朝なんだか苦しいなあ～と寝ながら思っていたら、親がばたばたしてアンビューのバクバクが来た。え～？なんだ～？苦しいな～、と気がつくとすでにぐったりしていた。どうやら、知らないうちにカニューレがとれてしまったらしい。 うーん。今までにないパターンである。我ながらちょっとショックだ。知らないうちにいつの間にかチアノーゼでは、発見されないとさようならだ。今までのようにばたばた騒いで知らせることもできない。 うーん。これは新たな課題だ。アンビューの練習成果でこっちはうまくいった。父が初めてやってくれた。わたしの呼吸に合わせるのが、はじめは下手で苦しかったが、母の掛け声でタイミングが合うようになった。二人いると助かる。手が４本でいろんな仕事を早くできる。チアノーゼで疲れると、自分で息をするのも超大変なので、アンビューで酸素がきてくれておかげで、すぐラクになった。あとからみんなででっかいため息。私もだ。今日から１週間、弟の就業体験だ。私も安全に過ごせるようにしたいと思う。今日は安静に寝ることにします。いろんなときにチアノーゼはおきる。今日の学習。再び空がみられてよかった、よかった。

  2008.06.23

• アロマの威力

  弟の送迎で朝と夕方留守番をするようになって４日たった。モーニングケアにも、夕方の身体ケアにもアロママッサージがついている。朝も、夕方も、１日２回もマッサージしてもらって、昨日くらいから実に体がほにゃらら、になった。柔らかい感じを実感するのです。明らかに、ラク。特に緊張が強くて、びくともしな右足が少しふわふわになった。いつもは石みたいなのだ。手足もぽかぽかしてきて、夜もよく眠れる。こんなに効くのか！本当にアロマ効果なのか。んー。この数日で思いあたることはそれしかないなあ。アロマライトをつけて、ジャズを流して、そしてマッサージをしながら、オイルの勉強もしている。どんなオイルで何が原料とか。わかりながらだと、効き目があるような気がする。今日はネロリとクラリセージ。本当に気持がよくて、手足から、腰や背中にチャレンジしている。弟には悪いけど、なるべくゆっくり帰ってくるように頼んだ。ひとときのサロン・ド・ローリエだ。地震の被害に会った人たちもアロママッサージをプレゼントしたいものだ。

  2008.06.19

• 地震のこと

  被害が大きいところに実家がある友達のご両親が無事だったと聞いて、すんごく安心した。連絡がつくまで時間がかかった。その間、本当にどきどきしてしまう。だんだん、そういえば、あの人大丈夫だったかな、とたくさん思い出してきた。家族が一緒に住んでいればまだしも、離れていたりすると心配も倍増する。明日は雨が降るそうだ。養護学校もあるし、障害者の施設もあるし、みんな大丈夫かと思う。わたしだったら土石流からどこへ逃げればよいのだろう！薬をとりに戻った人の話をニュースで聞いて、私も薬箱(衣装ケースに山盛り)を一式もっていくことや、窓には必ずカーテンをしておくとか、なにかと具体的に心配になってきた。まだときどき余震があるので、どっきりする。弟は２階からすっ飛んできた。地震かもしれない！って、地震なんだってば。いつも胃ろうや手術でお世話になっている小児外科の先生は、災害救助ですぐ現地に行ったそうだ。遅くまで働いて、すぐ次の日も外来をしたそうだ。お医者たちもがんばっている。もちろん看護師さんも。メディカルソーシャルワーカーのあにきくんもだ。現地のヘルパーさんが、すぐにお年寄りの家ではたらいている話も聞いた。私の家にも来てくれるヘルパーさんの顔をみると、それだけで安心する。人が来てくれる。ほんとうに、ありがたい。でも、まだ余震で夜中でも飛び起きてしまう。

  2008.06.18

• 緊急の練習

  ヘルパーさんと留守番をするにあたり、考えられることをお互いに色々練習している。いつものケアはもうバッチリ、スッキリ、クッキリである。問題は緊急の対応だ。普段大丈夫とはいっても、親がいても、いろいろなことがおこるわけで、それがヘルパーさん一人だったら、何かと不安だろう。いつもは、体調がいいときお世話になっているので、わるいときを想定できないかもしれない。というわけで、「悪い例」を実演つきで、伝授している。カニューレを引っこ抜く、痰がつまる、呼吸困難になる、注入がつまってもれる、嘔吐したとき、お腹チューブを抜いたとき、などなど。自分で考えても、けっこうあるな。それで、できるだけ、わかりやすく伝えるために、悪い例の緊張をしてみたり、カニューレを分解してみたりした。ヘルパーさんも写真に取ったり、メモをしたり、と一生懸命覚えてくれる。たぶん、あとは「涙目力」で通じることだろう苦しいときは落ち着いてサインを出せないので、そこんとこ、よろしく！アンビューの実演では、いまのところ元気で自分で呼吸しているので、バクバク押し込まれると苦しい。それでも、こんな感じで、空気が入ってくるのか、と自分でも確認できた。たぶん、大丈夫。何人にも、何回も、悪い例の実演をしているうちに、だんだんうまくなってきた。それもひとつの自信といえる。悪い例を知っていると、あわてないよね。お互い。知っていること＋練習＝安心

  2008.06.13

• ポン！とポン酢

  社会人になってセンターに週１回通っている。１年たった。思ったより元気になれたので、冬でも雨でも通える自信がついてきました。そこで、今年は、平日にでかけられないかと次のステップを検討している。やっぱり、平日に外に出るというのは、そのぶん、休日もメリハリがつくし、仕事モードに近づけるのではないかと思う。というのは、家族が週末休みなので、できれば私の週末も「家族といっしょの休日用」にとっておきたい。とも思う。 ためしに、初めて金曜日にセンターに出かけてみました。母がひとりで、どれくらいできるかも、お試しである。いつも両親やヘルパーさんと４本の手でやる仕事を一人でするのだから、ぶつぶつ、あーっ、おっと、などなど言いながらチョコマカしていた。普段でも出かける用意は１時間くらいかかるのだが、それ以上、やっぱりずいぶん待たされた。ようやく、車椅子に移るぞー、というとき。絶対緊張するな、とか、そるな、とか動くな、とか山ほど注意された。気合を入れて、よしっ。と、そのときである。うぎゃーっ！！ベッドがミルクでミルクびたし！私は服がぬれれば、漏れていることに気がつくのだけど、今回はそれていた。しかし被害最大。原因も腸のチューブがしっかり詰まってしまっていたので、下手をすると、そのまま病院直行コースである。がーん！チューブのつまりは、ミルクのカスなので、酢がよい。しかし、こういうときほど、酢をきらしているのだ。いつもは、高級黒酢でばっちりなのに。そこで、酢ならなんでもいいだろう、とポン酢登場。そこらじゅう醤油っぽくなりながら、格闘。あーあ、受診か。と、ほとんど覚悟したとき、ポンと開通！！ポン酢もいいじゃないの。そこから、ベッドをかたづけて、必死に移乗して、やっとやっとやっと、出かけることができました。しかも出ようとしたら、そとは雨。センターについたら、もうお昼ちかくになっていた・・・・・。今回の条件の中で、私がセンターに到着するまでに、ハードルがいっぱいあった。これまでならば、たいてい無理をしないで、次の機会へ送るものばかりだ。人手も天気も、トラブルも、ひとつだけでもちょっと気持が揺れるものばっかり。それでも、センターで師匠や所長さんやスタッフの人たちに会ったら、やっぱりその何倍も来てよかったと思った。たとえ時間が短くても、来られた、そのことがまたちょっと進化したと思う。チャレンジしたことで、もう少し準備が必要なところもわかった。時間がかかるが、できそうな目標がみえるとヤルキになれる。いつもなら、もっと短期にブチキレル母が、今回は根気強く頑張った。しみじみと感謝した。   

  2008.05.31

• やっぱ風呂だよ

  今のところ一番ゆったりできる環境というのは、ズバリ｢お風呂｣です。やっぱ風呂だ～と、温泉帰りの母が必ずはじめに言う。元気な人でもそうなんだから、私みたいな人はなおさらしかし、体調によって毎日入れるわけではないお風呂なうえに、ケアのスケジュールと調整するのだから、コンスタントには入れない。なので、いろいろなタイミングで入浴できた日は、ラッキーデーである。幸せな日常を実感する。昨日はかなり久しぶりの入浴で、とっても、とっても、とっても気持がよかった。うれしすぎて、イナバウアーになってしまった。最近の私は、上半身筋トレ効果で(単にまひの緊張んなんですが、、、)、胸板は厚く、二の腕は頑丈力こぶだ。女子プロ入りをすすめらている。なので、緊張が強いときは、入浴用のバスチェアが少し狭くなってきた。介助の人にご迷惑をかけてしまう。一瞬の動きで落っこちそうになるのだ。とうとう看護師さんとヘルパーさんと、母の３人がかりになってしまった。だって、気持がよすぎ！だったのだよ～～～～。入浴剤はラッシュのラベンダーだし。ものすんごく、いい香り！ 興奮しすぎてくたびれた。案の定さらさらの髪の上に、吐いてしまった。髪にかからないように！と吐いたつもりんなだけど。これはまだ課題だな。実は、何度かケアのない日に両親が入浴を提案した。が、断った。やっぱり、父の入浴介助はいやだ。トイレや着替えのケアをいつも受けているのに、なんで？ときかれるが、嫌なものはいや。入浴は他のケアとは圧倒的に違うのだ！そのビミョーな差については、すごく個人差があると思うのだけど、父と娘という関係についてそれぞれが自分の親子関係に置き換えて考えてみてほしい。やでしょ？  ケアは大きな環境である。人も、会話も、雰囲気も、空気も、全部だ。生活のほとんどがケアなんだから、ひとつくらいこだわってもいいでしょ。ケアをまるごとひとくくりにはできない。いろんなケアがあって、種類によっては人を選んでお願いしたい。その選び方は、仕事の資格や立場もあるし、人の性格もあるし、相性もある。実にびみょーーーなのだ。ま、最後は人なんだけど。とにかく、私がいっちばん大切にしている入浴の時間は、最高のよい時間にしたいずーっと待ってる時間なんだからね。

  2008.05.27

• リカバリー室

  Ｎ病院のリカバリー室に二人の友達が入院している。小学生のきたろうくんと、私の同級生のオトシゴロくんである。私が入院すると会えるきたろうくんのとなりに、のどの手術をしたゴロくんがきたそうだ。そうだ、というのは、最近私はめっきり病棟にご縁がなくて、外来情報＋、関係者情報でわかった。ので、いったいあの二人がどんな生活をしているのか？と想像中である。友達の友達は友達で、こんど仕事でお世話になる人がなんと、きたろうくんの支援をしているそうだ。きたろうくんは養護学校の訪問学級生である。その、養護学校に看板製作の師匠が勤務している。次からつぎへ、人と人がつながって、つながって、直接会ったことなんかなくても、もうみんな、友達だ。その、きたろうくんに私はときどきはがきを書くのが楽しみなんだけど、きたろうくんはまだ、病院の外にお出かけしたことがないので、一緒に動物園にいくのが夢である。なので、動物園の絵葉書でゴロくんといいコンビになれたらいいな、とメッセージを書いた。ちょうど、きたろうくんの支援者さんが訪問中にはがき到着！、だったという。グッドタイミング～！というわけで、たぶん、リカバリー室にいた人たちがみんな、きたろうくんを中心にもりあがって友達になったね、と想像した。私はそこにいなくて、みんなとも直接なかなか会えないが、ちょっと考えるとだけで、もう、ベッドにいるのが心強くなる。病院にいても、家にいても、学校にいても、どこにいても。どうしてるかな？と思うだけで、思うほうもかなり元気になったりするのだ。今日も私は風邪気味で痰も多いし、安静モードだけど、病院のリカバリー室の二人といっしょに早くよくなるぞ、という気分だよ。今日一日分、元気になろう！

  2008.05.22

• クオリア

  あきらかに風邪の呼吸症状が出てきて、ヤナ感じの午後でした。せっかくいいものが生まれたと思ったのに、体の変化の方がパワー大であった。と、言っている間に痰がどんどんあふれて、吐いた。嵐の中薬局にとりにいった薬を、注入したとたんに吐いちゃった。ので、母に怒られた。自己管理を語っても、行動できていない、というのだ。反論できない。新薬の吸入を弟に手伝ってもらって、こっちは、なかなかよい。母の吸入は、ヨソ見しながらなので、煙がすぐカニューレからはずれてしまう。その点、弟はしっかり介助してくれるからしっかりした仕事といえる。もちろん、弟には御礼を言ったら、ステップを踏んで登校した。今、脳の本を読んでもらっている。とはいっても、みんな忙しいので、なかなか先に進まなくて、ちょっといらいらしてきた。何しろ、超面白い本なのだ。で、心と体とか、意識と無意識とかについては、すごく気になっているので、早く先が聞きたい。その中にクオリアということばが出てきた。脳が私に教える生々しい感覚のことだそうだ。ラテン語の「質」ということばからきているらしい。モノの本質に存在するような質感の「質」と書いてあった。なんか、もやもやと、その答えに近づいているようで、まだ、周辺だ。大体、本質とは。本質とはいつからどこに存在するのか。そもそも、存在とは。なにを存在というのか。「いる」のか「ある」のか。昨日感じた、なにかいいもの、とは、気分よりは実体のある感覚だったんだけど、それはナンだったのだろう？クオリアと、いえるのかどうなのか？すんごく気になることばに出あってしまった。「クオリア」。面白すぎる。うちの事務員は「クリオネ？」の半透明を連想して喜んでいる。平和だ。

  2008.05.21

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