[詩]の記事一覧 | 積　　乱　　雲

海とサンゴ

海とサンゴ海の中のサンゴは水に洗われ水に包まれていた疑いがひとつにじんだけで色あせてしまった昨日だったが安心にひとつ気付いただけで今日が動き出した潮の流れとさざ波が光のゆらぎを積もらせるささやかな動きの中にささやかな意思を込めて海底で小さなゆらぎを枝の間に散りばめてささやかな明日を願う夜サンゴから浮かんだ小さな泡がひとつ水面で月にはじけた

2013.08.06

太陽のため息

太陽のため息終わりの見えない雨空にほっとひといきつくように太陽がため息をかけるとき少し乾いたアジサイの葉っぱの裏に住んでいた小さな小さな生き物もほっとひとつ深呼吸終わりの見えない憂鬱にも好転のときが近づいた

2013.07.28

賢者

賢者どれほどことばがあふれていてもどれほど励ましをうけたとしても回復のスイッチはあなたの現実の身体の中にある感覚をとりもどし流れる血液に体温をとりもどし自分の中に確かに自分がいたことをとりもどすひとりでスイッチがみつからなくても賢者の教えがそここに咲いている思慮深く穏やかにあなたの中に眠っている賢者に語りかけているのだ (オニユリ　花言葉　賢者)

2013.07.25

バンソウコウ

バンソウコウ泣きたいとき一番がんばったときの自分と今の自分は同じ私だと言ってみる苦しいときこの苦しみは必ず終わると言ってみる心配なとき大切な人の声で｢だいじょうぶだよ」と言ってみる呪文のように唱えるうちに大切な一言が身体中に染みわたる言葉のバンソウコウが幾重にも幾重にも傷口を包んでいく

2013.07.24

見えないけれど

そこにあるもの　　　　ＨＩＲＯＭＩ　ＡＲＴ見えないけれど　　　　　　　　　大越桂見えないけれど見えないけれどそこにいた聞こえないけれどさえずっていた触れるまもなく飛び立った小鳥の小さな気配がまだそこで揺れる若葉に残っている危険につかまるまいとするように大海原に一人で出るのはまだ早いと言いつけを守るように大丈夫大丈夫世界は君を守る光に満ちている・・・・言音色テーマ｢そこにあるもの｣によせて絵と詩が同時に生まれました・・・・長町遊楽庵びすた～りにてご覧ください

2013.07.15

夏の光

夏の光てんでばらばらのふきだしからみずみずしいおしゃべり止まらぬ女子の笑い声きらきらきらきら夏の光とサクランボ思い出になるほどきらきらきらきら

2013.06.24

波に映る影

波に映る影傷を負って岩場に降りた足元から穴のような影が私を見あげている傷ついた心に与えられる休息が内と外から私の深みを見せようとする心ゆくまで味わう苦悩私が私に許す旅やがて海面に飛び立つとき波の動きを頼りに滑りそれでいいよと揺れながらいつまでたってもついてくるどこまで行ってもついてくる・・・・・傷ついている友へ贈る・・・・

2013.06.18

父の背中

父の背中私は父の背中を見たことがない小さい時は膝の上に抱っこされ子どものときは食事を食べさせてもらい大人になってもベッドの斜め上から毎日向き合ういつもやさしくいつも誠実でいつも頼れる十代の頃あんなに抵抗があった父の介護も成人した頃から安心して委ねる時間になったこれほど毎日父と向き合える娘が世の中にどれくらいいるのだろう父の背中を見る時が来たら私は何をしてあげようと思うだろうまだ思案中の父の日

2013.06.16

とっておきの音楽祭明日

ボトックス注射治療を無事に受けてきました。１２時から５時半まで。やっぱり長い時間かかりました。５人くらい受ける人がいたので麻酔の薬をぬ塗ったり、血圧チェックをしたりと、治療を受けるだけではなく待っているのも大変です。いつものとおり、３０コ。今日になって少し効果が感じられます。もう少しすると、本当にゆるっとしてくる。昨日は終わった安心感でどっとくたびれました。今日もほぼ一日休養日。。。。。。。明日は、とっておきの音楽祭です。http://totteokino-ongakusai.jp/deaf vocal 千＆篠笛ＡＭＢＯ　さんによるステージにて新曲「くもりのちはれ」を演奏していただきます。演奏時間　１２：１５～１２：５０　クリスロード常陽銀行前いいときも、そうでないときもあるよね、という歌です。とっても美しい仕上がりらしい。行けるといいな。身体と心を元気にするものはたくさんあります。音楽ももちろん、演奏することも、聞くことも、みることも。詩をかくことも。知らない誰かが聞いてくれることも。音楽祭の街に行ける人もいれば、行けない人もいます。でも、そこに音楽があるということは、人と人が共感する瞬間があるということ。街中たくさんの音楽であふれます。ぜひお出かけください。

2013.06.01

くもりのちはれ

くもりのちはれ厚い雲の切れ目から朝日がさっとさすように心が晴れるときがある暖かい午後の日差しが雪をゆっくりとかすように心が晴れるときを待つときを味方にするようなあなたの笑顔そばに見て心が晴れるときが来たくもりのちはれくもりのちはれ涙のあとがあるだけきっとあなたの笑顔は美しいとっておきの音楽祭もうすぐ。今年演奏していただく詩です！楽しみに！！

2013.05.22

見えないけれど

見えないけれど見えないけれどそこにいた聞こえないけれどさえずっていた触れるまもなく飛び立った小鳥の小さな気配がまだそこで揺れる若葉に残っている危険につかまるまいとするように大海原に一人で出るのはまだ早いと言いつけを守るように大丈夫大丈夫世界は君を守る光に満ちている

2013.05.21

おめでとう

祝福とエール　HIROMIART おめでとうおめでとういのちこんなに世界は明るいおめでとういのちこんなに世界は楽しいおめでとういのちこんなに世界は美しいさあみんなと一緒にでかけよう仙台赤十字病院小児科プレイルームの展示を無事終えました。引き続き赤ちゃんのＮＩＣＵにて展示が始まりました。まずはＨＩＲOMIART祝福とエールによせて。小さな赤ちゃんが生まれる場所。一人でも元気になるといいないい活動にできるよう頑張ります。http://ameblo.jp/hiromiart/

2013.05.17

幸せリボン

幸せリボン今ここから始まる新しいときに祝福の光がふた筋のきらめく糸になった真の貴さを縦糸に美しい心を横糸に織り込んでいく人生のリボンがいつの日か包む本当に大切なものを確かにそこにある幸せを大切な友達が結婚式をあげました。私からは詩をプレゼントしました。披露宴で朗読していただきました。気にいってくれたかな。おめでとうおめでとうおめでとうお幸せに

2013.05.05

ひとつ

ひとつ私がいいと思うことをあなたは悪いと言うだろうか私が正しいと思うことをあなたは間違いと言うだろうか私が好きと思うことをあなたも好きと言うだろうかひとつそんなことがあれば信じられる

2013.04.30

先駆者

　ボケが満開　先駆者ポポンパパパパ先駆者の照らす道は明るいその先を照らすのは私たち

2013.04.25

しんしんと雪が降ったあとに

しんしんと雪が降ったあとにしんしんと積もった雪が外界から覆いつくした人型の中で背中に細胞が集まっていた信号のやりとりを減らし反応を鈍くしながら私が私と闘っている皮膚の下の闘いをもう一人の私が夜空から眺めているやがてとけてしみこんだ雪は細胞を縦にスキャンする背中をとおりぬけて広がる湖面に人型の青い光がゆらめく細くしんしんと雪が降ったあとに三日月から光のしずくが降りそそぐときばらばらだった三人の私がしだいに一人の私になる

2013.04.24

胎児の記憶

ＨＩＲＯＭＩ　ＡＲＴ　胎児の記憶~子宮の夢～胎児の記憶ただ意識だけがそこに浮かんでいた暗くて明るい明るくて暗い暖かくよりどころない場所から何層にもなる響きいつからか心地よく包む音が鳴りはじめる他とは確かに違う私の意識に向けられる何か眩しさと騒音何もかも鋭い輪郭のある世界くっきりともうずっと親しんでいた音が鮮明に姿を現したこれが声というものあなたが私にとってかけがえのない誰かであることを一番はじめに示すものあなたが私のおかあさんやっと会えたね私があなたの赤ちゃんです仙台赤十字病院小児科病棟プレイルームに展示のための新しい作品です。ＨＩＲＯＭＩ　ＡＲＴがますますすてき。(一般の方は入場できません)５月１２日まで。

2013.04.18

だらだら坂

だらだら坂あるとき病が身体の自由と取引する今のうちだけ好きなことをできるようにしてやろうそれなら今何をする？あるとき病が心の自由と取引する今のうちだけ考えられる時間をやろうそれなら今何を考える？そんなことを繰り返しながら私はもう一人の私とだらだら坂を歩いている身体は心と心は身体とただ自由が見たくて手をつないでいるやがてゆるやかにゆっくりとどこかへ諦観か受容か感謝かだらだら坂はまだ霧の中へ続いている

2013.04.16

春の宅急便

春の宅急便あたりが明るくなるころにきらきら流れが交差する光のすじが風のリボンをそっと束ねた今にも散りそうな春の花をもう少しとどめておくようにあたりが明るくなるころにきらきら流れが交差する光のすじが小鳥の声をそっと束ねたやっと眠った赤ちゃんをもう少し寝かせておくようにあたりが明るくなるころにきらきら流れが交差する光のすじが花の香りをそっと束ねた今まだ雪解けを待つ北のあなたに一足はやく届けるように

2013.04.15

うれしまる

うれしまる誰かと仲良くなりたいときはさっそく手をとり一緒にまるをかいてみるとんがったさんかくまるぎざぎざのげじげじまるながほそくたれたしずくまる完璧なまる＝(イコール)円なら美しいかな形なんか気にしない心をあわせたへんなまる私とあなたのうれしまるこれでなかよしめでたしとみんなまるくおさまった

2013.04.14

桜

桜双子の私二つの花が咲こうとしていたあの季節私だけが息をした二人分を生きてと言われても二人分の息はできなかった私がいるのにあなたはいない私の喜びがあなたの悲しみになりそうだった双子の私二つの花が咲く前に早く生まれたいねと一緒に思った二人分を生きられないが私の分は生きているあなたがいなくなってもあなたはいなくならなかったあなたの悲しみが私の悲しみになりあなたの喜びが私の喜びになった頃いなくなったたくさんの命と一緒に桜の花になって私に会いに来るようになった今年もあなたの花を探しに行こう一斉に咲いて一斉に散る桜は、はかない命の象徴となり、この春も被災地を含めたあちこちで一人ひとりの思いを込めて眺められていることでしょう。今日１１日は震災の月命日。子どもたちもたくさん亡くなったことを改めて聞き、私も亡くなった姉を思い出しました。私の誕生日は姉の命日。連休にやっと退院した小さな赤ん坊だった私は、ちっちゃな桜の花といっしょにこの世のいのちを始めたのだとも思う。そのあともたくさんの友達を空に送り、花見のたびに一人ひとりを思い出すようになった。震災で亡くなった子どもたちも、病気で亡くなった子どもたちも、これまでず～っと見えない姿で私たちも見守ってくれた人達も、桜の花一つ一つになって私たちが触れられる姿になってくれている。見える姿になってくれている。そんなふうに桜をみると、全体の色の中に、はっと目が合う一つの花がある。自分の大切な人の魂が一瞬姿を現してくれる。それが楽しみ。仙台の桜ももうすぐです。

2013.04.11

背骨

背骨突風にさらされ髪の毛も服も皮膚も肉体もひとつ残らず飛ばされて奇妙な形に曲がった背骨が残るこれが私だ私の芯になっているものは何かと問われる一瞬

2013.04.08

カフェオレの繊細

カフェオレの繊細　できなかったことができるようになったときとってもハッピーできたことができなくなったときとってもガッカリできるとできない同じ自分のことなのによろこんだりかなしんだりできたほうがいいこともできなくたっていいこともどっちも正解どちらかだけが正しいわけでもない黒いコーヒーに白いミルクを美しい模様がやがてカフェオレのやさしい茶色になるようにできるとできないの間に漂う繊細を味わおううまくいかないときはま、いっかとつぶやくことを忘れずに新年度だというだけで、は～、なんか疲れる。肩の力を抜いて、でも自分らしく・・・。目の前のことにひとつずつ取り組もう。みなさんも疲れないようにしてくださいね。

2013.04.07

次の春までに

弟とイラストマイコさんとの新しいコラボ作品「桜」次の春までに今日の立ち位置から見える景色を覚えていよう昨日までとかわらないもの昨日までとかわったものほんの少しの変化がとても新鮮でそこから入る新しい空気が流れる道を毎日少しずつ広げていこう今日の立ち位置から見える景色が次の春までにかわらないものを増やしよいことをいくつか増やしているようにいっぱいにさく桜を待ちいっぱいに散る桜を思うイラストマイコさんと弟のコラボ作品。春らしく桜です。仙台はまだ咲いていませんが、弟の配色をみていると何とも希望がわいてきます。この桜は友達の大切な日のために制作していましたが、色とりどりの桜は一人ひとりに用意されている毎日の出来事のようで、私たちはいろんな新しいことによって作られ、変化し、成長してくんだなあ、と思います。春の新生活で変化があった人も、そんなになかった人も、始まりの春を楽しんでいきましょう！

2013.04.03

波動と交信

波動と交信新しい場所に飛び込む日新しい人に出会う日新しいことを始める日新しいことばを覚える日私は皮膚から染み出るきもちを空中に溶かしてあなたにむけて発信しますあなたが四方に巡らすピカピカのアンテナはどこだ？私は皮膚呼吸を空気と同化させる周囲に張り巡らされている波動の合間を自由に行き来する近づく足音交信の瞬間がきた！今年度の始まりです。日本全国新生活がスターとしました。私も新しい気持ちになって今年もがんばるぞと思っています。何はともあれ、まずは、出会って、仲良くなろう。おじさんも、おばさんも、子どもも、大人も、ベテランも、新人も。出会えばシャッフル。おいしいシェイクをつくりましょうそして、乾杯平成２５年度。いい年にしましょう私も前進ハリネズミのアンテナを立ててがんばるからね～

2013.04.01

水滴

水滴大きなハスの葉の上にはじけて迷う水滴クルル右往左往の水滴悩み転がるルルル風向きしだい言葉になびき寄りどころない葉の上で遠い景色はまるで見えない水滴やがて消えるころ水滴やがて消えるよう少しへこんだ中央に集まる水滴クルルルルルしなる葉柔軟水平にとりまく円周まだ広く垂直の茎深く根を張る水滴やがて安定に水滴やがて安心にクルルルルルと消えてった

2013.03.21

三月の風

三月の風右から吹いた風が左へ抜けていくように季節は一枚ずつページをめくる憂いを落ち着きに恐れを決意にたたずまいを直しておくれ毛をとかす次の風を受けたら迷いを希望に喜びを感謝に右から吹いた風が左へ抜けていくように私は一枚ずつ私をめくり私の今を生きている

2013.03.01

迷い雪

迷い雪もう春色の空から迷子の雪の子私の顔にふわりとついた冬の親はもう彼方目を細めるとまつ毛につかまった小さな白い手雪の子がなごりおしそうにとけていくさよならまでの短い間に小さな声で会話する内容は私たちだけの小さなひみつ

2013.02.25

香る風が吹くころに

香る風が吹くころにひと仕事終えたら別の場所からそれまでの自分を見てみよう成功も失敗も生きているかそれを確かめてから風に香りが流れるようにえいやっ、と新しいことに挑戦しても遅くない雪の下の新芽さえほんのちょっと頭を出して新しいときをうかがっている香る風が吹くころにだれも知らないよいことがきっと待っている

2013.02.07

山頂

山頂ダウンジャケット車いすごと氷の海に滑り出すきりりと鼻の先冬と私のわずかな接点日ごと近づく春の声をいち早く観測する山頂は相変わらずの冷気の中にもかかわらず今朝は昨日より眩しく光っている氷山は山頂からとけていく私の鼻にはまっさきに春が来るインフルエンザが流行していますね。みなさんの場所ではいかがですか。念のため通所をお休みしていると、日差しがだいぶ明るくなって、屋根の雪がぽたぽた解けてきました。ときどきドズンと雪が落ちます。まだまだ寒いけれどもうすぐ春。みなさんはどんな時に春を感じますか。観測アンテナを磨いて、楽しみにしましょう

2013.01.25

スイッチ

スイッチ行きづまった時できるだけガラリと窓を開ける風の流れが背筋をしゃんと押すように悲しい時雲の端っこに水色の線をたす涙のあとをなでて空の後ろに消え去るように疲れた時スープの湯気に包まれる苦味が甘さになるように情けなくてもいいじゃないいつでも私のスイッチがそこにあるいつでも私がスイッチを押す自由の中にいる

2013.01.17

不確実の明日

不確実の明日すがすがしい朝の光はまっさらで思いこみで背負った荷物を昨日に降ろすことを許してくれる生まれた余白に不安を感じることもない名前も知らない花を置いたつもりになればいい開くかどうかもわからない枯れてしまうかもしれない不確実だけれどもそれくらいの余白を残してやってくる軽くもなく重くもない明日を待ってみよう軽くもなく重くもない明日にはやさしい風が吹くだろうそのとききょうが今日になる

2013.01.10

幸せネックレス

幸せネックレスいつもの一日を特別にする小さな幸せつなれば元旦限定特別仕様の３６５色あなたのためにあなたがつくる幸せ七色ネックレス駆けぬけるときを一粒に今年はおだやかなお正月です。年賀状をたくさんいただきました。ありがとうございました。あとりえ事務員の母がヒーコラいいながらお返事をかいてくれました。みなさんが元気な様子、とてもうれしいです。巳どしの私はとし女です。脱皮して新しくなるとか、とぎれなく進む、とか自由自在とかのイメージのへびさんです。ときにはじっと見据えてがばっと獲物をならうときもあります。でも細かい骨が柔軟に方向を変えるように、四方から照らすいろんな光をタイムリーにキャッチできる自分でありたい。そうして１年過ごして来年のお正月に幸せネックレスができていたらいいなあと思います。そういうわけで、今年はやってみたいこともあるので頑張ろうと思うのですが、緊張を始め身体の状態とつきあうのにも技が必要になってきたので、みなさんの助けを借りながらあわてないでチャレンジしていきたいと思います。目標は、初めてのことを３つやること。いい一年にしましょう

2013.01.03

風景

風景感じる心が見せるものにまっすぐ目を見開いて受け取ろう私のためにきらめきを用意して心を越えて広がる風景がこの瞬間も近づいている新年明けましておめでとうございます。人生が見せるけしきからたくさんの感動を受け取りましょう！今年も積乱雲をよろしくお願いします。

2013.01.01

器

器期待する心にはまだ半分信じる心にはもう半分器を通して映る水面の模様がわずかにゆれている永遠をかけて満たされるときに近づいているこの輪郭に形どられたささやかな空間があたたかく光るように今日を生きよう

2012.12.15

お別れの日

お別れの日お葬式の日に雪が積もった悲しみの涙が形をとどめて待っていてくれている過ぎた記憶がゆっくり心に染み入るようにやがてあたたかい思い出になって残るようにお別れの日はありがとうをいう日

2012.12.09

金色の小部屋

金色の小部屋ちろちろ舞う金色の葉かさこそ重なる秘密の小部屋大切に包むつかの間の記憶次の風で消えるまで陽の光に透かして黄金に輝く私という木の中で感じることの連なりが生まれると死ぬの間で通過点の葉を育てるちろちろ舞う金色の葉私の連続が終わるとき秘密の小部屋に何を守ろう解き放たれる甘い香りとともに次の風で消えるまで

2012.12.06

意識の誕生日

意識の誕生日私はどこから来たのだろう私はどこへ行くのだろう大地の沈黙混沌の水困惑の太陽風の嘆き黒を集めた無音の中から小さな響きが聞こえるだろうさあ生まれよう考えると感じるを繰り返す人間の始まりあの光が呼んでいる私の意識の行き先へと

2012.11.27

待望

フキノトウ待望待望の喜びを口にしてみたあなたの足音がもう近づいてきていたひとりまたひとりと歩みの音色を聞き分けるたびに心の緊張がほどけていくひとりがふたりふたりがさんにん弟が楽しく絵を描いています。色えんぴつが得意でしたが、カラーアーチストＨＩＲOMIさんんを先生に、色々な方法を教わっています。２０歳になる弟。いつか展覧会ができたらいいね、とみんなで応援しています。まいこさんのイラストはフキノトウ。花ことばは待望、仲間。弟の願いもみんなに支えられて実現するようにわたしも応援したいです。

2012.11.26

限りなくプラスに近いゼロ

限りなくプラスに近いゼロ得る喜びと失う悲しみは一生のうちでどちらが多いのかとどんなに数えてみたとしてもいのちはゼロから始まりゼロに戻る両手を広げて生まれたときにただ一生懸命泣いたようにこの瞬間を喜び今日一日を精いっぱい生きてゆきたい限りなく幸せに近づくプラスゼロへ

2012.10.15

りんどう

りんどう口に出さない悲しみにりんどうが寄りそっている落ちる涙に気持ちをたどり曲線はゆうるりと思いをなぞるやがて涙の青い壺が深い夕日に照る頃には語り尽くした水面が静かな鏡になるだろうまた11日がきました。ちょうどその日に庭のりんどうが咲きました。そこへ今年初めて赤とんぼが飛んできた。自然の思いもつながっているようです。

2012.10.12

タツノオトシゴ

タツノオトシゴここらへんで環境を変えるのも悪くないタイミングが漂う波が近づいている背筋をシャンと伸ばしていればくもりのない目が見極める今のままで充分きれい、と貝は口をそろえて囁くけれどたとえそこではこの鱗が同じように光らなくても僕の背中に眠っている僕さえ知らない見えない鱗を見つけてみたいだけなのさ

2012.09.18

小さい月

小さい月流れる時間を止めることはできないが流れる心は自由に行き来する流れる時間を止めることはできないが流れる言葉は自由に行き来する心も言葉もこの瞬間からもう過去になるのに心と言葉のベッドはふかふかいつまでもそこにいたくなる瞬時に現れる記憶の中に残したいものだけはまだ動いているその周辺に漂う余韻を衣に眠る重力のなすがままにそんな夜のまどろみには衣が最後に送りだした残り香がわずかに流れる目を閉じた暗闇の中を小さい月が照らしている震災の起きた11日。一年半の時間が確実に流れました。去年の秋の入り口とは確かに変化している今日です。変化を実感することには喜びもあり、苦しみもあります。静かに照らす小さな月の光がただ黙って見ています。

2012.09.11

誰かにとって

誰かにとって　何年もそこにいる木がわたしはここにいるよというようにわたしの動かない身体でも誰かにとっての　木になりたいひとときも止まらず漂う雲がわたしがどこにでも行ってくるよというようにわたしの自由な精神で誰かにとっての雲になりたい　やっとやっと虫の声が聞こえるようになりました。少しずつ秋に近づいています。暑さとたたかううちは自分の身体に芽を向けるのに必死でしたが、身体が少しだけ楽になったら、周りの景色にも心が向くようになりますね。みなさんにとってもいい9月になりますように。

2012.09.03

鳥人

鳥人見られたい自分がいて見られたくない自分がいる見てほしい自分がいて見せたい自分がいる見ちがえるような自分がいて見たくない自分がいる同時にそこにいる二人の私が主張するときなぜだか足元ばかりを気にしているもっともっと高いところから鳥になって眺めれば一枚の大きな海原にきらきら光るひとかけらずつがひとつひとつの気持ちなのだ目を閉じて頭を上へ向けすっとくちびるをとがらせたら身体がもう軽くなっていた一回りあの青空を飛んでみよう

2012.08.28

てばなす

てばなす自分のものを自分だけのものと思っているうちは誰にも触れさせるまいと執着するのに自分のものというものは自分のものであるようでいて自分のものともいえない散水の後の葉の上で自分自身の中へ中へと進もうとする水滴に支える葉の美しい葉脈が映っている一粒の水滴を支えるように世界とのつながりが私にも広がっている自分のものと思っていた私のいのちさえ自分だけのものではないと思うとき静かに蒸発する水滴のように自分自身の形をてばなすことができるのだろう

2012.08.26

秋の使者

秋の使者次の季節が光の角度を傾け始めた次の青空に風が投げたリボンが一筆描きで青い朝顔になった秋の使者雄弁なきみたちにもそろそろ時間が来たようだ夏のおしゃべりは吹きだしの中に凝縮した種を私が守りましょういいたかったこともいえなかったことも私の青が秋の夜空に溶けるときまでその思いも眠らせておきなさいきみの心に再び時が訪れるまで静かに静かに

2012.08.21

ハイビスカス

ハイビスカスやさしい嘘をつこうとしていたのにたちどころに訂正してしまうその瞳の中では私の細工も芝居がかって陳腐になりそうでまっすぐ信じているからまっかな嘘など必要なかったなんて面倒な私

2012.08.20

太陽のふところ

太陽のふところプランタのひまわりが並んで仲良く開いたひょろ長班の整列はにこやかでがすがしがしい台風で骨折した子を先頭にして二番目の子が肩を貸している身長が半分しかない病弱の子は重たい首をやっと前へ向けていたとなりの子の葉にもたれかけていたのだ同じ太陽を見たこの夏もいずれ終わりが来るけれど仲間がいた思い出が長い人生を支えるだろうわたしたちはいつだってあの太陽のふところにいるこれまでもこれからも

2012.08.06