ゾウのトシコ
ゾウのトシコ 真夏の朝トシコが死んだ地球の一点にすいこまれる重力がトシコをそこにとどまらせてもそれを囲んでいく万のいのちが集っていた にぎやかにかろやかにあたたかく 次の朝この夏初めてのセミがないた 仙台の八木山動物園で人気者だったゾウのトシコがなくなりました。長生きのトシコでしたが膝が痛くなっておきあがれなくなり、内臓の重さで亡くなったそうです。重力の拘束力。具合が悪い時ほど、世界中の重力が自分に集まっているのではないかと思えて、とっても苦しいものです。特に、普段もゆっくり大きな身体とつきあっていたゾウならどれくらい重さで身体が痛んだろうと思います。同じ日に動物園ではトラの赤ちゃんも生まれたそうです。いのちはいつも交代で存在するようですが、それは周囲から見ているものに写る姿。トシコと、トシコとうんと仲良くしていた人たちには宝ものだったことでしょう。トシコは重い身体から解放されましたが軽やかな思いではいつまでもなくなりませんね。トシコさん、ありがとう!