雄阿寒岳を制覇したが頂上は雪一色。
11月に入ってからは山には登るものではないというのが正直な感想です。過酷な5時間でした。でも、辛かったけど楽しかったというのが、毎回山登りの後に感じる事です。登り始めはまだ元気なので、「おお、阿寒湖だ」「太郎湖だ、ちょっと近くまで行ってみよう」「次郎湖だ」なんて言ってたのですが、山道が山道らしくなるにつれ(?)、だんだん無言になってきます。それでも、厳しい傾斜に差し掛かると、「次、きっついですよ」「そこ、滑りますからね」そして、ちょっと距離が離れると「鳥さ~ん」と呼んでくれるし、その度に「はい~、大丈夫です~」と答えながら登っておりました。私は、無言にこそなりませんでしたが、終始息があがりっぱなしで、ぜえぜえ言っておりました。一緒に登った彼は、若くて毎日運動をしているという事でしたので、急な傾斜をものともせず、ひょいひょいひょいと登って行きます。すげー…。背中を見失わないようにするので精一杯です。「鳥さーん、看板ありますよー、看板」何の看板かと思ったら「頂上まであと3000m」「一合目」と書かれた看板です。一合目の看板に遭遇した時点で、既に息があがっていた私は「ま、まじかよー…ここで一合目…?」といった気持ちでいっぱいだったのですが、顔には出さず「では、看板メインで、撮影お願いします…」と、頂上の八合目まで、同じ事を繰り返しました。頂上に近づくにつれ、山道に、白い部分が増えていきます。そうです、雪です。目に映る風景も、白一色になってきます。我々はどこに進んでいるのだろう。ここは日本だよね。ちゃんと看板もあるし、道標を頼りに進んで来ているので、道を間違っていない事は確かなのですが、登っている途中、何度「ああ、こりゃ遭難する…アルピニスト、野口健って凄い… 少年よ、巻き添えにしてしまって申し訳ない… 先生になる夢は諦めてくれ…」と何度思ったかわかりません。しかし、そんな雪道も吹雪もものともせず、彼はどんどんどんどん先を進んでゆきます。さすがボーイスカウトOB。その背中を見失わないように、彼の背中を追いかける私。途中、見失っては「鳥さーん」と呼ばれていました。きっと、私一人で登っていたら、途中でやめていたと思います。だから山は一人で登るなって言われるんだなあ。違うか。そんなこんなで頂上です。簡単に書いていますが、それはそれは大変な道のりでした。油断すると滑るし、足は思いっきり上げないと登れないし。辛い辛いとは思いながらも、木の根っこが上手く絡み合い、上手い具合に道が出来てるなあと思いながら登っておりました。頂上・八合目の看板は雪一色でした。猛烈に吹雪いております。頂上からのも素晴らしい眺めもへったくれもありません。頂上から見えるはずの阿寒湖もパンケトーもペンケトーもナントカ山も、何も見えません、こんな天気では。見える風景は白一色。何だってこんな天気の悪い日に山なんか登ってるんだ我々は。寒い。寒いはずなのだが、それ以上に汗をかいているので不思議と寒くはない。しかし、寒くて頂上でお弁当どころじゃありません。弁当自体、持って行ってはいませんでしたが…。「ちょっ、頂上だー。ばんざーい」(寒いので棒読み)「しかし寒いね、降りよう」頂上には10分もいないうちに、記念写真だけ撮り、我々は下山を開始しました。霧雨も降っていたようで、その影響でかどうかはわかりませんが、油断すると滑ります。それ以前に雪が降っていたので、雪のせいで滑ったのかもしれませんが。まあ、どっちでもいいです。登山開始7時40分、頂上到達10時40分、出発点到着12時40分。おお、早い!!きっと、私一人でちんたら登っていたら、登り4時間、下り3時間はかかっていたと思うのですが、登り3時間、下り2時間で雄阿寒岳を制する事が出来ました。「いやー、久しぶりに、マジ疲れました!!」ってあんた、ひょいひょいひょいひょい登ってたじゃないの。「でも、楽しかったです!!山登り、いいなあ!!」ああ、よかった。その言葉が聞けただけで、私は嬉しいです。泥だらけになった足を洗いに、近くの無料の足湯に向かいました。温かい…。足だけじゃなく、もうこのまま全部脱いで浸かってしまいたいくらいだねえ…と彼に言うと、「えっ、じゃあ脱いで下さい。見たいっす。」さすがに脱ぎませんでしたけど。本当か嘘かわかりませんが、男性には下心があるものですね。