松本道弘ブログ 元祖ナニワ英語道

[ナニワ英語道] カテゴリの記事

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』９＜空の巻＞

  知（石と風）と情（火と水）が交差する点を「空」とすると、英語そのものが人間そのものになる。英語の道とは何かといえば、人間が英語になることだ。中島敦の『名人』にあるように、人が弓と一体化し、的と一体化すれば、定めたものは確実に射とめることができるというもの。人が弓、弓が人。英語も同じ。人が英語を話すより英語が人を話す。同時通訳の名人、西山千師匠は、晩年（90歳に近づいた頃）、「さっき読んだ雑誌が、英語で読んだのか、日本語で読んだのか、覚えていないことがあるんですけど、松本さんはそんなことがありませんか」と何気なく尋ねられ、ウ～ンと唸ったまま暫く震えが止まらなかった。60歳に近づいた私がまだ届かない域に、この老師がおられた。こういう師に弟子入りした私は果報者だ。「空」は、時空を超越するもの。師が亡くなり、49日間は喪中にあったが、忌明けしてもう1ヶ月も経とうというのに、師に対する思いは募るばかりだ。空の域に達すると、生死を超越するものであろうか。英語を選択して良かった。世界も知れた。いい師にもめぐり合えた。維新の会で加東画伯が描いた龍、6分40秒の真剣勝負⇒加東画伯のブログ

  2007年10月01日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』８＜水の巻＞

  水には清めの効果がある。低く流れる英語教育がある。火は高く昇るので、自己の輝かしき体験が生徒を動かす動機になりうる。しかし、それがマイナスになることがある。ある日、クラスに帰国子女が入ってくる。スピーチコンテストで優勝したことのある先生が、その帰国子女の発音に勝てなくなる。急に、帰国子女をいじめたくなる。嫉妬心が客観的判断を曇らせてしまう。ところが、その火の先生が水の心に切り替われば、発音に関しては譲る。「さすが外国帰りだ。次のパラグラフは、君に読み上げてもらおう」と一歩譲ることになる。火は高く昇り、水は低く流れる。口で言うは易いが、実行は難しい。生徒は先生の英語力だけについていくとは限らない。先生の謙虚で、誠実さに惹かれるのだ。英語力と人間力のバランスがとれていれば文句はない。「僕は、これまで教えてきた英語がアメリカで通じず、恥をかいた。英語は難しいね。一緒に勉強しようじゃないか」と。こういう水の心は、火のプライドよりも、より多くの人々の心を動かすことになる。同時通訳の師 西山千がある日、ブースの中でメモを回した。またミス通訳を叱られるのかと思っていたら、「同時通訳はむずかしいですね」と書いてあった。あの笑顔は決して忘れない。昨日の「維新の会」盛会のうちに終ることができました。ご参加頂いた方々に感謝いたします。

  2007年09月30日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』７＜水の巻＞

  火の英語がホンネの英語とすると、水のそれはタテマエの英語となる。自分のため、人のため。果してこの対比は正しいのであろうか。両者は矛盾するのであろうか。それは義理と人情のように、どちらも「情理」の中にありながら、時にはいがみ合い、時には仲良くする化学的、時には近親憎悪的な関係になる。それは、石（戦略）と風（戦術）が対決しながらも、仲良くまとまるというロジックに似ている。push するより、pullしあう、東洋的な止揚（アウフヘーベン）といえよう。さて、水に戻るが、火のロジックの行きつくところは水のロジックになる。小説「恩讐の彼方に」（菊池寛）の中にある、悪人が目ざめ、心を入れ替え世のために尽くす、という感動的な物語がある。火が水に還元されるプロセスが見事に描かれており、これはディベート道のテーマにもなる。悪人や罪人をどう裁くかは、永遠のテーマであるから、ディベート教材としては理想的である。英語そのものは“I”(私)で考える、「私」の延長は孤独であり、IがWeに助けを求めることがある。そしてIが愛（love＝一方的愛）から離れ、仁愛（self-sacrificial love＝私訳）に変るプロセスは、火と水が矛盾するようで、矛盾しない関係を導く証となろう。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp ついに本日。申し込みしていない方も歓迎！３冊目の新刊『ネイティブに負けない「英語力」』

  2007年09月29日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』６＜火の巻＞

  私は英語に燃えた。スワヒリ語やアイヌ語ならここまで燃えなかっただろう。これは志とは関係がない。アイヌ語を徹底的に学んでいる人には脱帽するが・・・。英語人口が多いから、闘う相手が多いからだ。ロシア語やルーマニア語をしゃべっても認めてくれない。比較するライバルも少ない。だからこれは私的な理由である。そこには個人的野心も出てくる。英語がペラペラになれば、女にもてる。いい職につける。これらはすべてpersonalである。しかし「私」を馬鹿にしてはいけない。仲間や組織そして祖国を守るというpassionは、「個」に端を発したものだ。特攻隊精神、「公」のために「私」を滅する（殉死）という忠や義の思想や恥の意識は、「個」に発した火のpassionである。西洋でもpassionは、情熱と受難の両義がある。吉田松陰の火のロジック、陽明学の火の思想・・・すべて人を酔わせ、狂気に誘わせる度の強い火酒である。検定試験のスコアをアップするためという私的理由より、公のために自己犠牲をいとわぬ愛を英語に傾ける人がいないか。ここにジレンマがある。英語に対する情熱と、世のため人のために尽くすという情熱と反比例することがある。英語に対する自己陶酔を戒める英語道が広がらない悩みも、実はここにある。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 　　いよいよ明日。有楽町に来たれ！本日の日経新聞3面の左下（本の広告として最高の場所）に新刊の広告

  2007年09月28日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』５＜火の巻＞

  風はみんながやっているから、という現実原則に立脚した動機づけになっても、火のように燃える個人的motives にはなりえない。火は、理想、情熱、そしてあくまで「私」だ。なぜ、私が？私の中にある何(something)が、私を英語に駆り立てるのか。志といおうか、志は英訳しにくい。しかし、先程CNNで耳に入ってきた英語はピンときた。stand up for somethingだ。このsomethingが国であっても、私のように師 西山千の風姿を世に残すという使命感(sense of mission)であってもよい。stand up for something you believe inという表現をよく耳にする。身内の感覚で、恩返しをするなら、その動機はまだprivateだ。しかし日米の懸け橋となられた師の言動を「顕彰」（隠れた善行や功績などを広く知らせること）することは、publicではないかと考え、「志」とした。昨夜『２４』をＤＶＤで観た。父（アメリカに一矢報いたいと望むテロリストの父（イスラム教徒）。）が息子（反テロ）に対し「なぜ協力しないのか。You stand up for nothing」と叱った。これを日本語に訳すと、「お前には志というものがない」となる。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 　　いよいよ２日後、気概をもって参加されたし。９月２９日にライブペインティングパフォーマンスをしていただく加東画伯が描く龍⇒加東画伯のブログ

  2007年09月27日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』４＜風の巻＞

  英語道は「秘すれば花」。私の手柄とは言うまい。しかし、国際的な組織体のリーダーには、私の陰の信者が圧倒的に多いのも事実だ。英語がリーダーシップの裏付けになっている。英語が「道」「行」と結びついているからだ。英語を避けた日本的国際人（国際感覚さえあれば英語なんか要らないと主張する人）よりも、グローバル感覚に優れた英語の使い手に私のファンが多い。しかも、インターネットは圧倒的に英語の世界だ。英語によるインターネットニュースを見ていると、日本のテレビを見なくなる。日本の新聞からも離れていく。今もホテルの一室でCNNテレビと、FOXニュースをつけっぱなしで、このブログを書いている。このようなながら族(a multi-tasker)が私のidentityとなったのも英語のお陰だ。いかに中国やインドが人口大国になったといえども、TIME(Newsweek)やThe Economist級の世界的な週刊誌は読まない。ヒンズー語や中国語のグローバル誌は現れない。情報となればやはり英語。The fact remains English is the global language.なのだ。私は、workから離れて、初めて世界へ飛んだ。中国、ソ連、中近東を含め、60ヶ国以上何度も訪れたが、すべて英語で通じた・・・チベットを除いて。しかし、異文化コミュニケーションのスキルを学んだ私は、今でもチベットやネパール（ここは十分英語で通じる）は好きな国の一つだ。10月20日ワールドフォーラムに出演⇒ワールドフォーラム「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 　あと3日！

  2007年09月26日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』３＜風の巻＞

  石で原理・原則を述べたので、次は風に入ろう。現実だ。a reality principle（現実原則）というが、日本的発想では理解しがたい。理想を述べることが好きであっても現実には目をつむってしまう。中国、韓国の英語教育にかける情熱と意気込みはほとんどの本のマスメディアでは報道されないが、彼らは英語を国際的に闘う（市場拡大のため）ための武器だと考えているのだ。教育のためにやるという優雅さ(luxury)に酔いしれているヒマはない。英語の幼児教育が国策にもなっていない。日本では、学者の意見が支配的で、ビジネス界の声が反映されない。どうも世界の潮流に逆らっている。英語のスコア競争は、出世のためのパスポートという考えは、あながち間違ってはいないが、それがまだ“武器”(weapon)にまで至っていない。紘道館（ナニワ英語道の本部）は、武器としての実用英語を教えているが、なかなか広がらない。それでよい。私塾を宗教的なあるいはビジネス組織体に衣替えする気持ちは毛頭ない。そういう誘惑とはずっと闘ってきた。英語道はspirit Englishであって、religious Englishでは断じてない。現実的にみると、英語道の信奉者が少ないのは、私の信者と思われるのを警戒しているからであろうか。しかし世界中に私の英語道の精神を受けて、英語を「行」と考えて、活躍している人がゴマンといる。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp

  2007年09月25日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』２＜石の巻＞

  日本文化の「和」を守るなら、言語とロジックで、それを死守すべきだ。異種格闘を覚悟で闘う“気概”がいる。だから、英語サムライの鍛錬場が必要だ。いかに柔道が強くても、交渉ゲームには、物理的パワー（格闘技）は無用だ。頭脳と言語の勝負だ。交渉とは“戦争”なのだ。言語は使って初めて、英語の心がわかるのだ。英語文化圏を支えている（インドは必ずしも該当しない）英語の心とは、私の英語体験からまとめてみれば、１、「個」。集団より「私」がスタートになっている。　　　I そしてlove（一方的愛）２、why-because のロジックが日常会話でも使われる（ディベートは日常茶飯事）３、either A or B のゲーム発想が中心（日本のboth A and B とはなじまない。インド人はゼロのロジックを英語でディベートできるから凄い）４、仮定法(if)が多い。これがないから、「日本人は英語なんか必死にやる必要がない。国語力だ」と英語の達人たちが言い切ってしまう。これは、日本語では矛盾にならない。しかし、英語のロジックでみれば、ご本人が日本人のなかに含まれているのか、含まれていないのか不明瞭で矛盾ととられる。集合論もロジックのうちだ。英語を学んではじめて、日本語がわかる。いかにこの言語と日本的発想が孤立しているかを。だから外国語、特に外交的に最もパワフルな英語に挑むべきだ。すべての人とはいわないが、できるだけ多くの人と限定しておこう。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 師？　蟷螂

  2007年09月24日

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• 連載『それでも私は英語道を勧める』１＜石の巻＞

  母国語を学ぶてっとり早い方法は外国語を学ぶことである、とゲーテは言った。私も英語をやって日本語が見えてきた。言語を学ぶことは、文化を学ぶことでもある。自国のことしか知らない人は、他国のことを知らない。柔道世界一だと思っていたが、日本の山下は国際舞台から引きずり降ろされた。世界を舞台にするなら、世界で通じるコミュニケーションの手段としての世界言語を“武器”として使うべきだ。グローバル言語とは、英語のことである。しかしこのことを述べる人はいない。「たかが英語」と知識人ぶる人がいても・・・。英語は言語の世界チャンピオンだ。これができないと、国連の常任理事国にもなれない。国際的な駆け引きに負ける。日本語ではではゲームができない。日本的発想では、アメリカ人が好む、罠（エントラップメント）というゲーム感覚が掴めない。英語を使えばゲーム感覚が見えてくる。gameは＜遊び＝ゲーム＞でなく、＜ルールのある闘い＞なのだ。ＤＶＤで「２４」を観ていると、entrapment（わな）やsting（おとり）やscam（詐欺などの騙しのテクニック）の闘いである。英語そのものが、使ってみてわかるものであるが、闘争的なのだ。英語やディベートそのものが、侵略的ゲームである。その点で、英語も中国語もよく似ている。館長ブログを更新⇒館長ブログ太田龍氏と情報交換

  2007年09月23日

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• 『“it”がわかれば英語がわかる』

  英語が聴けて、話せて、読めて、書ける英語（クロオビ英語＝Strong English）を読者に伝授したいと、私はこれまで数多くの英語本を世に送ってきた。かつて20代の頃は、英語はgiveとgetだとみなし、英語の本音・極意を求めて学んできた。すべての英語表現は、giveとgetに換言されると考え、事実、そういうタイトルの本も書いた。そして67歳になった今思うのは、“it”こそが、目指すべき最終ゴールなのではということだ。これに“if”を加えると、まさにクロオビ英語が完成する。“If God wills it, you’ll make it.”(新刊『“it”がわかれば英語がわかる』See it, and You’ll see English.ネイティブと対等になる表現力の身につけ方＜光文社刊＞)前文よりコチラから、新刊『“it”がわかれば英語がわかる』⇒『“it”がわかれば英語がわかる』ナニワ英語道　松本道弘　オフィシャルサイト

  2007年09月21日

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• 英語道のＤＮＡ　２

  機能美。美しい英語は強く（斬れる）なくてはならない。斬れる英語は美しくなくてはならない。美しい英語は、ボイエ・ディメンテ氏に言わせると、１　簡素(simple)で、２　明白(clear)で、３　快調(euphonic)の3原則を満たすべきだという。とくに、3番目の「耳に快く響く」というルールが重要だ。Correct me if I’m wrong. このリズミカルで謙虚な表現は、ifを加えるだけで、端正な口語表現になる。日本人の「叱って下さい」「ご叱正ください」の中にはifがない。だから、師の西山千からこてんぱんにしごかれた。かえってそれが良かった。師はいつも「松本さんからしごいて下さいといったから、叱ったのだ」と笑いながら当時の事情を周囲に語られていた。村松増美さんが、たまりかねて「あれじゃ松本さんは音を上げるよ」と師に忠告されていたらしい。「叱る」はscoldではない。これは親が子を叱る時。大人同士なら、correctが近い。しかし、「それは誤った時だけに」と限定すべきであろう。このifは、ディベートのエッセンスだ。日本語にはこのifがないから、誤解が生じる。日本人は、・・・おっと、私を除いてと限定しておこう・・・ロジックに弱く、ディベートをかみ合わない感情的議論と同一視してしまう。英語が巧くなろうとしたら、まず日本語でいいから、ロジック(if～then)を学ぶことだ。英語だけが巧くなっても、ロジックを伴わない限り、かえって国際的な相互誤解を増大させる。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　光文社　　ワールド・フォーラム参加申し込み：お名前、ご住所、電話番号、参加人数を　　　　　　　　お書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 紘道館9月例会、番傘を手に登場

  2007年09月14日

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• 英語道のＤＮＡ　１

  英語道のDNAは、武士道の流れを汲んでいる。DNAの前のRNAはミチである。始めもなければ、終りもない「けものみち」から始まった。これが文化なのだ。文明になると、始めもあり終りもある道（路）が始まる。このを芸術的に昇華すると、道（ドウ）になる。剣道、茶道、華道そして英語道(The Way of English)。ここに型（ドウ）が生まれる。これは、ミチという心を守るためのものである。英語に心があるのかという問いもここに集結する。「私と英語とどちらが」という公案じみた質問をくどくど述べたのも、ナニワ英語道がとくに「心」を重視する」からだ。剣道は、剣に心があると考える。英語道では、英語に心があると考える。剣も英語どちらも“心のある武器”である。だから、どちらの道でも鍛錬が要る。鋼（はがね）のような英語、tough as nails というが、英語はtoughでなくてはならない。tough はこわれない。hard は中まで固くてこわれない、合わせて“strong English”（『it がわかれば英語がわかる』参照）。正しい英語、スコアの高い英語ではない。斬れる英語である。三島由紀夫は、愛刀「関の孫六」の美しさと強さに惚れた。ナニワ英語道の極意は、強くて美しい“機能美”(functional beauty)である。（続く）紘道館最長老の妻鹿氏と。「紘道館の誇り」というコラムが9月の例会議事録に載っている紘道館9月例会議事録⇒例会議事録

  2007年09月13日

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• ナニワ英語道が尊ぶのは・・・

  オスカーワイルドは言った。I can resist anything but temptation.（私は何にも負けない・・・誘惑以外は）ナニワ英語道信奉者にも同じことがいえる。英語がモノにできないのは、すべて誘惑である。ナニワ英語道のこの誘惑に挑戦することからスタートした。英語は魅力的な女だった。だが、こちらが惚れれば負ける。惚れさせなければならない。相手がふり向くまで“待つ”。ドラゴン松。しかし、相手は戻ってこない。いいではないか。それが世の中。磁力のない証拠なんだから。また精進する、磁石になろうと。・・・来るものは拒まず、去るものは追わず・・・これは、ナニワ英語道、そして今の紘道館に引き継がれた私の一貫した行動原理である。これを支える心が禅でいう「無心」そして「無私」である。自分を賞すること、自己陶酔することはtempting（悪魔的）で醜い。自己を捨てる sacrificing love(仁)こそ、ナニワ英語道が尊ぶ“陰徳の美学”だ。magnetic loveは a two-way street。愛は「奪う」ことではない。「奪わせる」ことだ。学問ではない「行」だ。ナニワ英語道は妬まない。嫉妬を活用する愛の道だ。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。 「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　　　　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　　　光文社　　　　ワールド・フォーラム参加申し込み：　お名前、ご住所、電話番号、参加人数をお書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 爪を研ぐお通

  2007年09月11日

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• 英語道のジレンマ

  英語道のジレンマ。「英語と私とどっちが好き？」「もちろん、君の方だよ」と答えた時、英語に対するloveは消える。「どっちも」と答えればどっちも失う。その時に、「英語」と答えるには勇気がいる。もしもその女が本当に好きなら、とifで限定しておこう。それでなければ、単なる英語オタクになってしまう。その時、すでにパワー・ゲームが始まっている。英語に嫉妬させるか？それとも、人に嫉妬させるか？そんなゲームに異性相手を本気で巻き込むハラがあるか。「そこまで言い切る男だからこそ、その純粋さに惚れたんだわ」という女にもハラがいる。今はそんな女はいないと人は嗤う。そう、いないだろう。だから、浅草の大勝館や木馬館へこっそり一人で行くのだ。女が女、男が男であった、戦前の世界へ戻る。アメリカ文明の悪影響をもろに受けたのか、日本人のloveが軽くなった。人に対するloveが軽くなると、あらゆる諸武芸に対する熱も冷める。英語に燃えなくなった。学者も「英語よりも国語力だ」と言う。Nobody loves English.多分、英語に対するかつてのloveも冷めた有名人のたわごとだろう。間違ってはいない。私の英語力の源は国語力にあった。国語はトップ、英語はボトム（中学時代の私）であった私がいうのだから、間違いない。私が恐れるのは、loveがjealousy（嫉妬）に変る時に、悪魔の誘惑で英語への忠誠心が揺らぐことだ。紘道館10月例会のお知らせこの度は、同時通訳の大家であり、元参議院議員である國弘正雄氏を特別ゲストとしてお招きして、先日お亡くなりになられた故西山千先生を偲んでの松本先生との対談を企画しました。英語学習法に始まり、同時通訳における秘話、日米関係等について幅広く論じていただく予定です。詳しくは⇒紘道館ホームページ

  2007年09月10日

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• 英語のできる人は出世できない

  英語のできる人は出世できない・・・日本ではと限定しておこう。自分の芸に酔い、ときには溺れるからだ。英語が、そして高いスコアがsecurity blanket（安全の毛布）になると、その人は悲劇だ。哀れだ。英語は芸である。秘すれば花だ。英語に酔うと必ず、人間関係に支障が生じる。英語に心が移ると、人の心から離れる。いいだろう、初期のうちは。ナニワ英語道は寛大だ。人より英語に恋をするのも・・・そんな時代は私にもあった。「私と英語とどっちが好き？」と問われて、英語と答えて、逃げられたこともある。いい女だった。しかし私は振り返らない。英語が爆発的に伸びた頃だ。柔道部にあって、ＥＳＳにも敵がいないほど、英語に狂った。「五輪書」がバイブルになった。それほど愛のパワーはすごい。その愛に歯止めをかけたのが、「風姿花伝」と陽明学。しかしほとんどの人は、英語をloveしてしまう。いい女ができたら、英語と別れる。英語のことはケロリ。英語の心を傷つけてはいけない・・・英語は心なんだから、と英語道は考える。すぐに女にも英語にも惚れる、惚れっぽいタイプは、女も英語もモノにできない。一時的に・・・この言葉に注目・・・英語に盲目になってもいいではないか。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　　　　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　　　光文社　　　　ワールド・フォーラム参加申し込み：　お名前、ご住所、電話番号、参加人数をお書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp

  2007年09月09日

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• ネットワーク　３

  世の中には上ばかり見ている人がいる。いつも誰か有名人、あるいはその時の有力者に寄生して太っていく。その仲間に、紹介者がいる。紹介の好きな人。紹介することにより、紹介能力（顔の広さ）を高める name games players がウヨウヨいる。名刺交換の好きな雑魚。しかし、いずれbig fish（大物）に寄生できないかと、企んでいる。A game of parasites.パラサイト。寄生虫は、自己責任をとらない・・・とれない。その武器は、テレビ露出の頻度数であったり、若さであったり、ルックスであったり、肩書きであったり、魔性であったり、・・・他にもいろいろな渡世の芸もあろう。大臣になることもできる。If you have what it takes という何か(it)があったなら、と限定しておこう。このitとは磁力のことだ。先に述べた徳である。秘花である。紘道館の塾生の妻鹿氏（いずれ紘道館サイトで松崎編集長が特集を組む）のような“妙花”だろう。寄生虫は宿主を選ぶ。しかし宿主を傷つけてはいけない。寄生虫にも寄生虫道というものがある。The Way of Parasites.寄生虫の中には、この道を外す不届き者がいる。大都会には師に対する恩義を忘れ、中には泥を塗る寄生虫術（詐欺師など）がウヨウヨいる。宿主(host)を蹴落すか、振り向かない寄生虫は必ず世間から復讐される・・・寄生虫道にもとるというカドで。ちょっと振り返ることを「残心」という。過去を振り返り、「自省する（ザ・ナイカン・ディベート）」心の余裕のある人が将来のリーダーになる。武道の心得のある人は、この残心を怠らない。残心とは磁石の心だ。「残心」の英訳を誰か知らないか？・・・誰か教えて欲しい。この残心を怠ると、たとえ大臣になっても、すぐに電池切れして、辞任に追い込まれる。だれも引き止めてくれない。（しょせん麗しき乾電池だったのだ）と酒の肴にされる。「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　　　　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　　　光文社　　　　ワールド・フォーラム参加申し込み：　お名前、ご住所、電話番号、参加人数をお書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp

  2007年09月08日

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• ネットワーク　２

  徳のある人(virtuous people)とは、担保力のある人で、カネがなくても、resourceful（やりくり上手）で、カネも人も向こうからくる、つまり磁石だ。徳とは磁石そして慈石のことだ。しかし、徳のない人は、いかに経済的に恵まれていても、どこか孤独。想像力がなく、カネが逃げれば人も逃げる。電池は虚ない。そして切ない。電池は、孤独で電池切れを恐れ、充電し続けている。愛、知名度、カネ、テレビの出演度を求めながらいつも不安定(unsettled)だ。英語術を求めるタイプはいつも資格が現状維持では不安で、スコアアップのrat race（いたちごっこ）に明け暮れている。単語も英語もテストのスコアも、充電に忙しく、がない電池人間。英語道・・・特にナニワ英語道・・・はがある。孤独もだが、英語術の信奉者にとり、孤独は死に等しい。Get yourself magnetized.（続く）「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　　　　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　　　光文社　　　　ワールド・フォーラム参加申し込み：　お名前、ご住所、電話番号、参加人数をお書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp 紘道館館長ブログを更新⇒館長ブログ

  2007年09月07日

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• ネットワーク　１

  表（テレビの世界・芸能界）には弱いが、裏には強い松本ネットワークを“恐るべき地下水脈”と呼ぶ人が多い。私は“糸”を大切にする。近著『日本の気概』（日新報道）の中で、日本の心は“糸”だと述べた。平和を叫んでも平和は来ない・・・遠のくばかり。糸は、人を結びつける。縁を結ぶ。タテ（霊＝スピリット）とヨコ（soul）の糸も結ぶべきだ。英語でいえば、ties 。それよりも強い絆は bond だ。bond は磁石なのだ。電池はties（結びつき）まで。すぐ切れる。大都会での人間関係のように。bondは同じ糸でも、もっと強固な絆だ。術より道の糸の方が強固だ。bondは、mortgage（抵当、住宅ローン）の裏付けになる強力な担保（collateral）。いやそれより確かなのがbond。James Bond も人を裏切らない。面子（メンツ）を重んじる人は恥をかくことを恐れる人で、そこに担保力を感じる。magnetic peopleという。こっちから電話をかけたい人はmagnets。しょっちゅう電話をかけてくる人はbatteries。あなたは充電器かcash に過ぎない。（続く）「松本道弘・維新の集い」今回の会は、ただの「出版記念パーティー」ではありません。「固定は死」松本道弘　維新の集い松本道弘の「気概」を見に来ていただきたい。日時　：９月２９日（土）19時～２１時会費　：８０００円（会場受付にてお願いいたします）　軽食＋フリードリンク、書籍「日本の気概」進呈場所　：日本外国人特派員協会（通称　外国人記者クラブ）有楽町電気ビル　北館20F主催　：国際ディベート学会（IDNA）　　　　ICEE（紘道館）後援　：日新報道　　　　光文社　　　　ワールド・フォーラム参加申し込み：　お名前、ご住所、電話番号、参加人数をお書きのうえ、下記のアドレスまで。　日新報道事務局　info@nisshin-houdou.com ご案内の請求は、維新の集い事務局⇒asset-d@k5.dion.ne.jp

  2007年09月06日

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• サイデンスティッカー氏の死を悼む　２

  それにサイデンスティッカー氏はプライドが高くて偏屈。女性より男性の仲間が多い。日本の学者のプライドの高さが、日本の英語教育の足を引っぱっているという。プロ翻訳者には英和や和英辞書の欠陥が目立って困る。日本人の面子が邪魔しているのでは、と辛辣（しんらつ）。そのプロ中のプロに対し、コーヒーを前に単刀直入日本語で切り込む。しかしロジックと情理は通す(stand on principle)という戦略は変えない。「私には６、７人の女性だけから成り立つ、セミプロ翻訳者集団“鬼ユリ会”というのがあり、日本文学を英訳している外国人翻訳者達の作品をチェックさせるタスクフォースを組みました。その結果、彼女達は最高の採点と評価をあなたに与えたのです。私は『難訳語辞典』（いづれ『日米口語辞典』になる）には、そういう実力者のパートナーが要る、だからここに参りました」。氏は一言「光栄です」と日本語で答えられた。僅か３、４分であった。相手を尊敬していますとか、歯の浮くようなお世辞はいっさいない。そういうお世辞の嫌いな人であることも、私の intelligenceネットワークにより熟知していた。このブログを始めてから200日、８月２６日の日記

  2007年09月05日

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• サイデンスティッカー氏の死を悼む　１

  エドワード・ジョージ・サイデンステッカー（Edward George Seidensticker）「日米口語辞典」（朝日出版）の編纂時に世話になった大物翻訳者だ。無名の私がこんな著名人と交渉するにはディベートの戦略が必要だった。ナニワ英語道が得意とする the rule of engagement（交戦のルール）が役立った。コミュニケーションは、戦を交えること・・・つまりengagement・・・につきる。忍者のルールも敵に近づくこと。相手を視界に入れる。手紙よりまず耳だけでも近づこうとする。今はインターネットの時代・・・すべてメールで済ませる人が多くなった。接触(engagement)を拒絶する人は、いくら筆記試験でスコアをあげても、コミュニケーションの分野ではペーパードライバー、アマチュア。私は、昔から肉声で迫るタイプ。「５，６分間だけ頂きたい。帝国ホテルのロビーで・・・」全て日本語。そして、少し英語をスパイス程度に加える。このサジ加減が大切・・・。私が無名であり、年上の著名人であるから、相手の時間を奪ってはならない。アポをとってから一週間、相手の情報収集だ。『源氏物語』の翻訳者で著名なことは誰でも知っている。彼が競争意識を燃やしている、翻訳者のウエイリー氏のことも聞きかじっている。（続く）8月24日の当用日記

  2007年09月04日

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• 喪明けまでの24時間　10

  喪が明けた当日。8月21日、コミュニケーションの量は急増した。夕刊フジは「安倍小池切り」がトップニュースになった。しかし、防衛省とは、没交渉となった。白紙還元。そしてKBS（韓国テレビ局）からまたしてもショッキング・ニュース。昨日、テレビ取材（武道ドキュメンタリー）で登場した私の柔道風景はソウルで全てカットされたらしい。テーマは「儒教」に変わっていた。この儒教の国もトップダウンなのだ。担当者の韓国人（趙氏）の面子もつぶされたという。それ以上に私のダメージも大きい。「日本人の面子はどうしてくれる。韓国人には面子はないのか」と迫ったが、これ以上プッシュするのも空しい。喪明けのスタートは悪かった。私の『24』は再開する。英語道に終りはない。紘道館館長ブログを更新⇒館長ブログ明後日9月2日は紘道館9月例会

  2007年08月31日

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• 

  喪明けまでの24時間　９

  「名人 西山千」を書こうと、気は焦るのだが、ペンが進まないのだ。米大使館での恐怖体験が甦ってくるからだ。（師の敵（かたき）を討とうか、アメリカに対して）ふとそんな考えをさせるのも、大勝館で観た「忠治」のエピソードだ。大衆演劇は、男を男に、女を女にさせる。このユニセックスの時代。男が男、女が女であった時代に対する social nostalgia がどこかにある。私だけだろうか。11:30p.m.　喪が明けるまであと30分。目の前には、庭で拾った、空蝉がある。透き通ってみえる。殻は空。吹けば飛ぶような軽さ。枕詞のウツセミとはよくいったもので空しい、・・・寂しい。この蝉は蝉であって、蝉でない。この蝉は、師の西山千なのか、それとも私自身なのか。楽天ブックスでも買えるようになった新刊 伊勢湾の船内から観た内海の花火

  2007年08月30日

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• 

  喪明けまでの24時間　８

  11p.m. 『24』を観終わって、考えた。12巻のパート２を終って、やっとハッピー・エンドかなと思った途端、大統領が倒れる。女は恐ろしい。そのあとは、パート３の『24』が続く。ずいぶん、ひっぱってくれるやないか。これまでのところ、アメリカの官僚組織がよくわかる。アメリカは、we（我々）ではない、I（私）で動く国だ。私(ego)が公と衝突すると、「私」を優先させる。これが先住民族と違うところで、現在のアメリカの悲劇でもある。しかし、１人のジャックというWe で考える男がいる。何万人の一人にこういうスーパーマン的なサムライがいる。それが孤独なアメリカン・ヒーローだ。それにしても、『24』を観終えて米国大使館のことをふと思い出した。師 西山千氏、そして私を殺した犯人は、アメリカのthe system ではなかったか。「ぼくは通訳はきらいですよ」と、まるで國弘 正雄氏のように本音を吐かれたこともあった。そこまで師を追いつめた“it”は何なのか？

  2007年08月29日

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• 喪明けまでの24時間　７

  9p.m.―11p.m. 3時間パックでDVD『24』を観る。『24』にはまると、抜け出せないと人は言う。本当かなと思って観始めると、私もはまってしまった。I got hooked on Twenty Four.1日24時間を多くのセグメントに分けている。その手法は、日本の伝統的な手法ではない。1時間ごとにドラマがある。同じドラマが同時進行しているという風だ。「流れ」ではない。アナログがデジタルの時代に移行している。日本の世の中にもカタカナが氾濫し始めたのも、日本文化のデジタル化現象であろう。電池化現象という。「なんとなくクリスタル」→「アサッテの人」そして、三島由紀夫を意識しながらも、全く影響を受けないばかりか、氏の文体と真向から対立する村上春樹。間のない・・・英訳しやすい日本語。これが ムラカミ、ハルキ、フェノメノン。米大使館時代を『24』（DVD)で思い出す

  2007年08月28日

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• 喪明けまでの24時間　６

  命に終りあり能とは果てあるべからず（世阿弥）同じようにこうもいえる。命に終りあり英語には果てあるべからず（英語道）英語がマスターできるわけがない。６p.m. 大勝館で「忠治信濃路落ち」（小林劇団）を観る。こういう大衆演劇は、必ず泣きが入る。義理と人情という情的ジレンマを美的に昇華させる技法は、苦労人ビートたけしが好むモチーフだ。国定忠治の「忠」という言葉に惹かれる。師に対する報恩は、義。私的なものだ。しかし、忠は国や家に対するエモーショナル・コミットメントだ。こちらは「公」。喪が明けると、忠に戻る。この日本という国家のために、国のために、生き別れした家族のために。彼らが浮ばれるには、私が日本という大家族を守る必要がある。天下国家を論じながら、別れた女房、子供が気になる。私もけちな野郎だ。愛猫お通、ＰＣ、当用日記

  2007年08月27日

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• 喪明けまでの24時間　５

  ３p.m.　平曲、狂言が終る。どこからともなく能が始まる。ナニワ英語道の私は、江戸の松本亨博士（当時の日本一の使い手）に英語で挑戦した。挑戦状を受けとったあと、英語学習はピタリと止めて、発声と間のとり方を、能と剣道に学んだ。中之島公園を毎日のように独りで「鶴亀」を謡いながら歩く。対決までの静かな空間だった。英語の発声は私の英語道の弟子であった角富雄君（同志社大）から学んだ。この師は弟子からも学ぶ・・・人生を賭けた死闘に臨んでは、ちっぽけなプライドは捨てる。東の松本亨（NHKラジオ講座の講師）か、西の松本道弘（無名）か。平家物語を観ながら、熱い泪が流れる。ああオレは、能から英語の発声と、「間」のとり方を学んでいたのだ、と。５p.m. 宿谷氏と山手線の中で話す。来るべき「藤原正彦 対 松本道弘」の対決に期待しておられる。「品格か気概か」とにかく、近々発売の「日本の気概」と「itがわかれば英語がわかる」が話題とならなければ、対戦相手として認められない時代だから。今は、マスコミの露出度により対談相手が決定される。そのパワー（気概）は、品格と反比例するのか、敬遠されるのみである。その点、昔の人は、編集者もパワーがあった。無名の私を拾った、松本亨博士、西山千（同時通訳の名人）、NHK教育テレビのプロデューサー、朝日出版社の原社長（サイデンステッカー氏を辞書の編纂に社運を賭けて下さった）。いずれも私が無名の頃だ。

  2007年08月26日

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• 喪明けまでの24時間　４

  芥川賞受賞作品（アサッテの人）は途中まで読んで投げた。Gave it up!審査員しか読まない、読めない、文体だ。「アサッテの人」というカタカナが気にくわない。石原慎太郎のコメントが痛快だ。「大体、作品の表題がいい加減で、内容を集約表現しているとも思えない。自分が苦労？して書いた作品を表象する題名も付けられない者にどんな文章が書けるものかと思わざるをえない。曰くに『グレート生活アドベンチャー』、『アウラ　アウラ』、『わたくし率イン歯―、または世界』、『オブ・ザ・ベースボール』、『アサッテの人』、いいかげんにしてもらいたい』（p.402）スカーッとした。なぜこんなにカタカナを乱発するのか。そこには伝統（ミチ）の連続感がない。ベストセラー作家のスティーブン・キングは、いい作品を書くには「多く読んで、多く書く」こと以外にない、と言い切るが、今の作家は、多くを読まず多く書きたがるブロガー・・・に成り上っている。2 p.m.　櫻間會による能を観る。横浜能楽堂。やはり能はいい。脳幹にひびく。大衆に媚びない。『平家物語』まさに磁力的芸術だ。しかし、闘っている。同時通訳者に求められるのは、「離聞の聞」（私の造語）だと言ってきた。世阿弥の「離見の見」から影響を受けた。自分が酔ってはならない。観客の眼で自分を眺めよ。酔わせる対象は、あくまで観客である。たとえブログであってもそうだ。気を抜いてはいけない。自分に酔っていないか。自画自賛になっていないか。彼我のバランスがとれているか。館長ブログを更新⇒館長ブログ　酒を飲んで、命を軽くする忠治

  2007年08月25日

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• 喪明けまでの24時間　３

  11：30a.m.―2：00p.m. レストラン、ジョナサン（桜木町駅前）に学者連中が集まり、知的講義が始まる。宿谷氏は氏の私邸に泊めたことのあるボイエ・ディメンテ（文化人類学者、ジャーナリスト）が私を日本の最も危険な人物として氏のブログで世界に紹介したという。The Most Dangerous Man in Japan. の理由は、空気に逆らうサムライで、彼（私）の最強の武器はWHY で、タブーに挑戦するからだと分析している。しかし、最近記者クラブで彼に会った時、「このままじゃアメリカは崩壊する。日本もやばい。なぜかわかるか。それは宗教に走って、精神的基盤が弱くなったのだ。religion ではなくspiritualism だ。アメリカは、先住民族の英霊を弔い、地霊のスピリットを回復し、唯物主義の行き過ぎに歯止めをかければ救われる。ホピインディアンと日本の古神道が結びつけば、地球は救われる」といった。帰国したあと、ボイエはメールを寄こした。「米インディアンと古神道プロジェクトを是非やりたい」と。他の学者達とは、村上春樹現象を語り合った。TIMEにも大々的に取り上げられている。なぜか世界の若い人の間の知名度は抜群だ。学者達（まるで教授会という風景であった）の間では、三島の文体には、日本語があった。ところが、今の日本人作家は、文脈の流れ(flow)を無視した作品を好み、流麗な文体を好まない若年層に媚びているようだ。 浅草大勝館で国定忠治を観劇、そして感激

  2007年08月24日

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• 喪明けまでの24時間　２

  8月20日午前7時。目が覚める。4時間眠れば十分。今日も、師 西山千は夢の中に顕れない。三島由紀夫が私の夢枕に立った時のように・・・。　　思ひやる　千の西山知らねども　　　　ひと視も夢で　会える夜ぞなきふと一句思いついた。しかし、これは紀貫之の次の歌からのインスピレーションを借用したものだ。完全なオリジナルとはいえない。　　思ひやる　越の白山知らねども　　　　ひと夜も夢に　越えぬ夜ぞなき７a.m.　トイレで「秘花」を読む。艶のある本は速読してはならない。日新報道の遠藤社長から「先生の文体には艶がある」とほめて頂いたが、瀬戸内寂聴が85歳の命を注ぎ込んだ大作の足元にも及ばない。能の大成者、世阿弥が72歳の時に、佐渡へ流されている。師 西山千も美声で知られ、美男であったから、世阿弥の若い頃とだぶってくる。涙なくして、読めない。この私も眼が弱くなってきている。ヤツメウナギ3、4粒を水で飲み、忍者体操をし、コンビニフードをかき込む。インターネットニュースで世界の情報をキャッチしながら、何かを書いている。典型的なながら族(I’m a multi-tasker.)だ。8a.m.―9a.m.　都営浅草線で横浜、そして桜木町へ着く。約束時間より1時間早く着き、コーヒーを飲み、読書しながら人を待つ。プロは時間にうるさい。駅の書店で買ったのは、「文芸春秋」と「論座」。「瀬戸内寂聴と石原慎太郎の対談」と「深化する『翻訳』・・・村上春樹の新たなる試み」を読みたかった。雑誌を速読しながら、時には玉稿に出会う。平沼赳夫の「緊急提言」（安倍君、亡国大臣を一掃せよ）はまさにそれだった。乾電池化した政治屋の中で、磁石型の政治家がまだいたのか。うれしくなった。小池防衛大臣のことを痛烈に批判している。「・・・それどころか、ある雑誌社は、防衛大臣に就任したことを受けての取材で、防衛問題については質問はしないように釘を刺された上、クールビズや、かりゆしウエアなど前環境大臣時代の仕事のことならいくらでも協力すると言われたという。人事の要諦は、まず伝令する側の人間の、信念が揺らがないことだと、私は考える」（Ｐ．９８）当然のことだ。信念、それに“気概”だ。こういう当り前のことが今の電池集団には判らないとみえる。

  2007年08月23日

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• 喪明けまでの24時間　１

  「内観」はウイキペディアによると seeing oneself with the mind’s eyes となっている。意図は「前向き」であるから、一種のディベートである。セルフ・ディベートは私の造語であるが、師 西山千を失った49日間の喪服期間は、まさにthe Naikan Debate の連続であった。できるだけ人との接触を避け（とくに女性とは）、深く深く自省の日々を繰り返した。ある省との契約取引交渉も喪明けの8月20日までの十日間とすると公表し、イエスかノウというcritical choice を期限つきで明記したのは、私の人生で初めてであった。私が最も意欲を燃やした公の仕事だっただけに、この勝負に賭けていた。あと1日、24時間。師 西山千の亡霊が、同時通訳のブース（拷問室と呼ばれた）の中で私の隣におられる。前日（8月18日）の夜、ある武道家と痛飲した。一人の女性大臣が就任すると、かくも大胆な人事異動が行われるのか・・・まるで私がかつて務めていた米大使館の人事ではないか。ある人もその人事により、上司が解任され、急に決まっていた契約がキャンセルされた。トップダウンが世の常とはいえ、余りにもきびしい。＜24時間前＞その日の日記を書く。防衛省はトップダウン。すべての完了組織がトップダウンなら、それは飼い猫集団になる。定年後、民間に下って、急に野良猫と交わってやっていけない。どんな官僚組織にも山猫集団（陸軍中野学校のような）がいるのではないか。企業内にもentrepreneurialなサムライ集団がいると思うのだが、大組織の中に磁力のあるサムライがいないのか。日記にはその歯がゆさを書いた。＜23時間前＞FOXインターネットニュースを耳に、「秘花」瀬戸内寂聴を読む。ブログを読む。館長ブログもアップロードされている。自分のブログは読む、ちょっとしたナルシスト。日本のテレビはいつの間にか見なくなっている。「人気は移り気だ。万人に認められる人気の絶頂期などは、ほんの瞬く間だと覚悟した方がよい。しかし勝負は死ぬまで続く。いや死んでからも勝負だ。誰の芸が後世まで継がれるかは神のみぞ識るのだ」（Ｐ．８６）＜22時間前＞午前3時頃、眠くなる。it とifを求め、映画（ＤＶＤ）をかけっぱなして寝る。私の睡眠学習法。インターネットニュースと共に目が覚める事も多い。

  2007年08月22日

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• 「怒る」というのはemotion。

  「怒る」というのはemotion。と、少し前のブログで書いた。ちょっと解説を加える。anger は怒りであることは、意味論的には正しい。しかし、同時通訳の名人が扱う訳は、シンボルからイメージへ思考を飛翔させなければならない。西山流派を超えるには、シンボルからイメージへ意識を移行する必要があると考え、その新説はほぼできあがっており、師に会ってご高説を問うつもりであったが、あの世へ発たれてしまった。このシンボルを追っていくと、イメージへ、シンボルが固まってイメージを形成する。その結果、itとifが生まれてしまった。戻る。emotion を感情と訳すと、イメージがずれてしまう。日本人は「感情的になるな」（ムキになるな）という時に、Don’t get emotionalを使う。正しくは、Don’t get personal.だが、どうも感情を顕にすることは、日本文化では、紘道館の館長ブログでも述べているように、好ましくないようだ。「多情」はエッチな人間と否定的なラベルが貼られる。韓国で「タジョンハンダ」といえば、多情イコール好人物となり、イメージがずれてしまう。映画から比較文化を学ぶ。字幕を先に見るのもおもしろい。「感動した」が、耳にする英語では、It was emotional. であったりする。ケント・ギルバートは、日本人の英語ディベートにはemotion がないと叱る。ESSは、emotionを殺し、logicだけで闘うのがディベートだと筋違いの反論をする。エモーションこそ、感動なのだ。　紘道館館長ブログと8月例会議事録を更新、必見⇒館長ブログ 日記

  2007年08月20日

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• ハプニングは英語ではsurprises

  映画の字幕からひらめきを学ぶことが多い。字幕ミスを見つけてサディスティックに喜ぶといった私ではない。最近見た映画でsurprises という言葉を耳にして字幕を見たら、ハプニングと訳されていた。「巧い！」と思った。DVDビデオホテル（hideoutの方が正しい）でネイティブ英語を聴く。ネイティブ英語とは、ネイティブが日本人向けに、英語のシナリオを読み上げる不自然な英語ではない。あくまでナチュラルで、非教科書的な英語のことである。ハプニングは時には accident が用いられる。それはハプニングという場合、I never saw it coming.ハプニングというカタカナ和製英語を happening と直訳すれば、恐怖のハプニングが生じる、要注意。落合信彦は快著『最強情報戦略国家の誕生』（小学館）の中で、マーカス・ウルフを巧く引用している。「・・・サプライズは恐怖を生む。これが一番危険なのだ。このエレメント・オブ・サプライズ、すなわち相手に対する無知をできるだけ減らすこと。これが諜報機関の仕事だ」（P.137）彼はNIA（国家諜報局）の設置を提案する。ここで波動が一致する。私なりのインテリジェンス収集法もあり、語り合いたい人物でもある。ところで、私はこの七年間同じ場所に、3日以上泊まることはまずなかった。平均は2,5日。PLOの故アラファト議長並みだ。寝所を変えた方が、緊張感があっていい。創造性も高まる。なぜ落合信彦が気に？Just another surprise.　9月29日「松本道弘 維新の集い」参加受付開始　　　お問い合わせ・受付はｺﾁﾗ ↓　　　　　　　　　asset-d@k5.dion.ne.jp

  2007年08月19日

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• 私の前にミチがあり・・・

  私の前にミチがあり、私の後にドウがある。ナニワ英語道に目覚めた私は、あらゆる芸事に『道』（みち）を求め、道（どう）を樹立させた。血液型研究も？そう、単に面白いだけでは、道に結びつかない。自説に酔ってはならない。自分の英語に酔ってはならない。聞き手を酔わせるのが“芸”である。ナニワ英語道は、“芸”である。科学も芸の中に含まれる。世阿弥の「風姿花伝」の影響を受けた。観客を酔わせる前に、自分が酔ってはならない。そういう自己陶酔タイプはスピーチタイプに多い。ディベートタイプは、あくまでインタラクティブ。主客一如の“芸”を求める。だから、話し好きな人・・・聞き下手な人が多い・・・との対談は苦手だ。あえて、自分を司会の立場に置いてしまう。「秘すれば花」とばかりに。どんな会場に行っても、司会役ばかりにさせられてしまう。しかし気配りのできる主催者は、「先生もパネリストに入って下さい」といってくれる。それでも「残心」を怠らず、聞き手、まとめ役に回ってしまう。その苦悩を察しろよ、といいたくなり、突如爆発してしまう。ディベーターは、敵の時間を奪わない、ディベート嫌いは、人の時間を奪う。紘道館、バイリンガル・サッカー・ディベート

  2007年08月17日

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• ハケンの品格

  「ハケンの品格」をＤＶＤで観た。気になるタイトルだ。品格が独り歩きしている。そのアンチテーゼとして、「日本の気概」を書き下ろしたばかりだから、ライバル意識もどこかにある。派遣社員は英語で a temp と呼ばれ、米映画でもよく耳にする。しかし今の日本のテンプ現象は社会問題になってきた。私も日商岩井を飛び出した時は、英語という懐刀を抱いてプロの（同時通訳者の）道を目指した。渡世の旅を続けてきたといえばかっこいいが、雇われ用心棒のように常に使い捨てされる恐怖と闘ってきた、テンポラリーな一匹狼に過ぎない。国際コミュニケーターも、定職がないかぎり、派遣社員と変らず、一瞬先がわからない浮き草稼業に殉じることになる。ただこのＤＶＤでは、正社員と派遣社員との間に、すさまじいディベートがある。どちらも譲らない。これも社員研修に役立つディベータブルなトピックになる。目的は、レギュラーとテンプがどのように力を合わせ、相乗効果をあげるか、に絞る。どちらが有利か不利かというディベートでは、勝敗にこだわるディベート術で、学生ディベートの域を出ない。こちとらディベート道となれば、勝敗を超えた価値観に支えられているから、衝突すればするほど建設的になる。社会人ディベートはそのように立体的であるべきだ。　　ディベート、チーム毎に作戦会議中

  2007年08月16日

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• ブログ化する日記　５

  　英文での日記

  2007年08月15日

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• 英会話はナニワ風で　７

  モグラにも４種類の気概がある。一見同じモグラに見える。人間も同じ。しかし、モグラ叩きをすれば、はっきり性格がわかる。ディベートをさせるのもモグラ叩きみたいなもので、人は争い事をさせると気質(primary colors)が顕わになる。Ａ型モグラは、ポカンと殴れば、穴にもぐったまま、しばらく出ない。自分が悪かった、と反省しているのである。自分を責めるのが好きなマゾヒスト。Ｏ型モグラは、つっかかってくる。殴り返すので、またひどく殴られる。それでも自分の正当性を譲らず、殴られた方に正義がありと頑なに信じている。そして穴からとび出し、その恨みを晴らそうと次は殴る側に回る。Ｂ型モグラは、何回殴られても同じ間違いをする。何回も殴られる。しかしなぜ殴られたのかがわからない。殴り手も疲れてくる。「これが最後だ。これでなぜこのモグラだけが殴られるのかが判るだろう」と愛のムチを振るおうとする。そこにはＢモグラはいなかった。逃げてしまっている。反省のないまま。ＡＢモグラ？最初から、そんな穴にはいない。殴り手をインターネットで探している。そのスピードの速いこと。広く浅くネットワークを張るが、姿が見えない。そう、スパイダーマン。突如パフォーマンスをする。東京都知事選に出たがる人は、９０％以上がＡＢモグラ。しばらくは、紘道館の館長ブログは「能」のノリで、ナニワ英語道は「狂言」のノリで書く。血液型はもうすぐやめる・・・やめなかったりして。紘道館館長ブログを更新⇒館長ブログ 浅草の薪能

  2007年08月14日

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• 英会話はナニワ風で　６

  疲れたから、一服して血液型論議に戻る。Ｂ型はテフロン、Ａ型はベルクロ。サラサラとネチネチ。Ｂ型は、クッキングオイルもはね返す、風来坊。どの組織に入ってもマイペース・・・浮き上る。出世に無関心。好きなことができればよい。Ｂ型は人に気をつかいクタクタになる・・・と本人が思い込んでいる。そんなこともたしかにある。人の誕生日を覚えていて、さっと贈り物をする。そのスピード。気配り。送りつけてきたもののほとんどが、相手が欲していないものが多い。そしてだいたいタイミングが悪い。そして、送ったあともう気が変っている。相手に影響されない・・・影響をしようとは思わない。上下関係は苦手。サラサラのテフロン。師 西山千はＢ型であった。私は、師匠のためなら、風呂場で背中でも流すという覚悟で、いつも影のようにくっついていった。ある日、振り返った師は、背後の私に忠告をする。「あのう～、もう少し、ぼくから離れて歩いて下さい」。ある日、突然、師はソニーへ転職された。そのことを週刊誌で知った。（水くさい！）と師をのろった。師について、大阪を離れ上京したのに。ベルクロのテフロンへの片思い。私の師に対する思いは、ベルクロ（マジックテープ）がベリベリという音を立てて剥がされてしまったのだ。ベリベリという音を意識したのはＡの私で、Ｂの師は、もうそこにはいなかった。Ｂは風、いやテフロン。（続く） 浅草の薪能

  2007年08月13日

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• 英会話はナニワ風で　５

  ナニワ気質は反権力的であるから、英会話が気楽に話せる。英語が活かせる先生は、中学と高校に限られる。大学で英語の教鞭をとる人でも、講師、准教授、教授と肩書きが高くなればなるほど、英語力は低くなる。社会的地位に反比例するのだ。メンツ、恥、世間の眼(eyes)・・・失う要因が増えて、英語が人前で話せなくなる。大学ではヒマになるはずなのに、英語力は伸びない。伸びるのは、校内の政治的手腕だけだ。派閥はどこにでもあるが、登りつめた人間の安心感は、語学の習得にマイナスになる。外国語を学ぶ近道は恥をかくことだからだ。昔はアメリカ（イギリス）の大学で、ネイティブと丁々発止議論したものだ、と日本語で昔話をし始めた時は、かなり英語も錆びている。英語を覚えるのは時間がかかるが、忘れるのは速い。努力はいらない。あっという間に(before you know it)、英語の刀は錆びる。もちろん反権力と反権威とは違う。反権力は、パワーに対する怒り。だが反権威の権化となって英語をマスターしようとすれば、社会的地位を捨てる覚悟がいる。Risk it!Risk what?Risk your professional status.これが英語の先生方には耐えられない。reputational risk （知名度を失う恐怖）が重なってくるからだ。紘道館館長ブログを更新⇒館長ブログ　　　　　　浅草で観た薪能

  2007年08月12日

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• 英会話はナニワ風で　４

  ナニワ英語は立体的で絵になる。「ここから、そのホテルまでタクシーで何分ぐらい？」「タクシーの運転手さんに怒られるわ。そんな近いところ」若い女店員の情報は、まさに“情”に報いる・・・情報・・・そのものだ。そこに「怒る」というemotion まで込められている。絵になる英語はTIME誌からも学べる。7月30日のTIMEの４８ページ。As an activist and a personality, Travolta is Teflon, Cruise is Velcro.東京人なら「活動家そしてタレントとしては、トラボルタはテフロンで、トムクルーズはヴェルクロ」と直訳する。大都会ではその方が・・・突き放した方が・・・好まれそうだ。しかし、大阪人の翻訳には、情が込められている。「トラボルタはサラサラ、トム・クルーズはベタベタ」と。ベルクロが剥がすときにベリベリという音のするマジックテープとイメージできるか。トラボルタは、ミュージカル「シカゴ」で主役をリチャード・ギアに譲る。後悔していない。ケロッとしている。トム・ハンクスに「グリーンマイル」を譲り、その代わり「パーフェクト・カップル」(Primary Colors)のクリントン役を演じる。ところが同じように church of Scientology（「幸福の科学」やS.G.と間違えられるが）の広告塔でありながら、トム・クルーズの方が役回りにはこだわるらしい。そして宗教的信念を押しつけるところがある。ベルクロ（ナイロン製の付着テープ。マジックテープ）とは、タイム記者もうまく表現したものだ。（続く）　　　　浅草の薪能

  2007年08月10日

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• 英会話はナニワ風で　３

  ナニワ人は気取らない。英会話は気取ってはできない。実用英語能力は、社会的地位に反比例するという私の公理(私の公理？なんやそれ。矛盾してるやんかい。自分で突っ込んでいる)も、よう考えたら、ナニワ的発想や。よう考えんでも大阪人の発想やないか。そう、このノリは英会話に必要なのだ。You’re bald.（あんたははげている）I’m not bald.（はげてないよ）You will soon.（もうすぐはげるがな）ウッディー・アレンの「ニューヨーク物語」から。ユダヤジョークもナニワ的だ。自分がアホになれないと、相手もアホ扱いすることができない。冷たい関係になる。I see.アホ、Icy（冷たい）やと言うとるねん。こういう言葉の遊びでも、大都会人のように構えていてはできない。英会話で間違いを恐れるな。Don’t be afraid of making mistakes.これが東京人。まだ気取っている。私は英会話をしたい人にこういう。Make mistakes. The more, The better.I’m proud of having more mistakes than anybody.ここまでいえば、立派なナニワ人。（続く） 沖合いに見えるのが、三島由紀夫がここを舞台に『潮騒』を書いた神島

  2007年08月09日

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• 英会話はナニワ風で　２

  一昔前、サンフランシスコのホテルにチェックインした。受付の女性が「あの大きなカバンは？」と聞いてきたので、「自分で部屋へ運ぶ。女がひとり入ってるんや。(There’s a woman in’ere.)」と言ったら、その女性笑いが止まらず、“I want to be in there, and take me away.”と即座に返してきた。まるで大阪人、いや水商売。そういえば彼女はアジア系の顔をしていた。このジョークは東京のホテルでは通じない。小説家 藤本義一氏が機内のスチュワーデスに、「前の方の席へ移りたいんや」という。東京出身のスチュワーデス、「どうしてですか」と真面目に聞く。「早よう、東京へ着きたいんや」「はあ？」・・・すべった。その女性、気の毒そうな表情で、その著名人を見下ろしていた、という。藤本義一氏は東京がきらいで、生涯関西弁で通した。私は二刀流やで。言葉も標準語やがな。大阪出身やゆうても誰も信用してくれへん。「はあ」「そうなんだ」と東京人。あまり相手に関心がない。大阪人は、すぐに突っ込みを入れる。「だれでも信用するがな。それベタベタの大阪弁やで」 紘道館館長ブロブを更新⇒館長ブログ

  2007年08月08日

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• 英会話はナニワ風で　１

  英会話はナニワ風に限る。久しぶりに糸井重里氏との婦人公論での出会いをブログで読んで再び悟った。なぜか。大阪では人間関係は、遠心的。タテよりヨコ。会話は漫才。漫才はボケとツッコミのディベート。大阪人は、新ネタで勝負する。即興性がありすべてを jazz up （即興的に対処する）する。甲府駅の構内でおつまみを買った。お金を多く出し過ぎた。（こんなことはしょっちゅうある）「お客さん、20円多過ぎます」「そうか。お金があまって困ってます」「・・・・・・」相手は黙ったまま、きまり悪そうな顔をしている。ボケが返せないのだ。気まずい空気が流れた。先日、新幹線の姫路駅の同じような売店で本を買った。同じように、銭が多すぎた。「10円多いです」といわれた。暗～い感じの若い女店員だった。ボケを返してくれそうなタイプではない。しかし甲府での経験を思い出し、ここでリサーチしてみた。「カネ余っとるねん」「いただきます」とニッコリ答えた。瞬間芸だった。しかもあの暗い顔が一瞬、花のように輝いたのだ。ナニワ文化は「笑い」だ。　　　先日の隅田川の花火

  2007年08月07日

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• 糸井重里氏、リサ・ステッグマイヤーさんとの対談

  以前に婦人公論誌上で行った3人の対談が、糸井氏主宰のサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」に残っていると、ある人から聞いた。懐かしいとともに、当時からインターネットに注力していた糸井氏の先見性に改めて敬意を表する。シリーズは4回で、題名は「英語を話せる人、話せない人」。第1回　⇒★外国に行かなくても 第2回　⇒★ 恐るべき関西思想 第3回　⇒★本音から入る 第4回　⇒★英語は“芸”だ 　　　　　浅草ビューホテルから見た夕日

  2007年08月03日

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• ブログ化する日記　５

  『ブログ化する私の当用日記』13才から書き始めた当用日記（毎日書く日記）のおかげで、喋るより書く方が速くなる・・・sort of（訳は「ちょっと誇張するが」）。日記のブログ化が始まった。ブログを腐らせないためには、質と量。スピードだ。お陰で、私の優秀な影武者のため、ブロッグ・スピードが、私の当用日記並みに近づいてきた。（英文日記も、腐るほど貯っている。紘道館にもワープロとアップロードのできるアシスタントが欲しい。ボランティア募る！）さて、先日、ボケ始めた聖女のことを書いた。師 西山千が「海の上のピアニストか」を書いたが、あとで気付くと英文が The legacy of 2000 になっていた。日記はブログと違って消すことは難しい。（ブログのlegacy と　2000は直ちに修正）What’s gotten into me? Going senile? （私もボケ始めたのか。）急いで書く日記には、こういうリスクもある。「私」から「公」に移る途中、気を引きしめなければならないから、コトだ。時に、私の英文日記もイラスト入りでこのブログに載せる、恥をかくつもりで。“I’m changing.” 映画「ドリームガール」（ＤＶＤ）から影響を受けた。この服喪中に、オレは変る。英文日記

  2007年08月02日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　６

  （続き）今、はもう師はいない。花は散った。ぼけていてもいいから、もう少しそばにいたかった。咲いた花しか萎えることはできない、と世阿弥も言った。一目会いたかった。・ ・・萎れたところは見せたくないだろうが・・・。あの歳になれば、仮面をはずし、直面（ひためん）で、私を叱ってくれるだろう。「お前の下手な同通のお陰で命が縮まったよ」「すみませ――――ん」（能）「Look, who’s talking. （先生にいわれたくないね）先生は天寿を全うされたのだから。(You lived well.)」（狂言）紘道館館長ブログを更新⇒館長ブログワシントンの中野氏のブログ、必見！⇒シンクタンカー　地球を読む

  2007年08月01日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　５

  （続き）またバアちゃんに大声で聞く。「一番人生で楽しかったことは」「・・・やっぱり、沖へ行ったときや。仕事がつらかったけど一番楽しかった。こうやってワカメを切って・・・」いま生神様と崇められ、日本全国から「一目だけでも」と拝みに来る客は多い。大繁昌している。しかし、ウメさんはいつもひとりぼっち、海を見ている。ふと、我師 西山千がだぶった。師が本当にやりたかったのは、ライシャワーと二人で演じた狂言。そして、大勢の前で同時通訳の演習をして、大衆を沸かせた時ではなかったか。もう一度花を咲かせたかったのでは。私がその花を奪ったのでは？アポロの通訳者、同通の草分け、天才、そんな肩書きはどうでもよかった。ただ、みんなの前で同通の技を見せたかったのだろう。（80代の師は、紘道館でもジャッジよりも、実演を選ばれたのだから）ウメさんがワカメを切っていた時のしあわせ、師が通訳の仕事に従事しながらも、芸を演じ切った後のしあわせな顔。（続く）

  2007年07月31日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　４

  （続き）今。その師の米国大使館時代の写真がカバーになった本を手にしている。「バアちゃん。この人知ってる？」「・・・・。」「この人、ぼくの先生や」声が大きくなる。振り向く人もいる。「地球から月へ、ロケットで飛んだ時にNHKで同時通訳をした先生や。こんな偉い西山千先生を知らんのか」声が荒々しくなる。ばあちゃんは、ポツンと答える。「もうな、百歳越えたら何も覚えとらん」実際は96歳。（ぼけている）・ ・・・・・翌日も、執筆の手をとめて、ばあちゃんの肩を揉む。「ばあちゃん、一番人生でつらかったことは・・・」「・・・長男が戦死したときや・・・」（いや、先夫「相川氏」が戦死した時のことだ。やはりぼけている）いつからボケが始まったのか、と孫娘Sに聞いた。「私の母（ウメさんの長女）が亡くなった時は、悲嘆にくれて、ポロポロ泣いていました。その頃からぼけが・・・」と言う。辛くて辛くて忘れたかったのだろう。この生き仏に、アポロのことなんか聞いて悪かった。（続く）

  2007年07月29日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　３

  （続き）師 西山千の死を知って一週間後、氏の想い出となる本の数冊と、当時の当用日記を数冊カバンに詰め込んで、服喪執筆に出掛ける先をこの旅館に決めた。NHKのテレビで90を超された師 西山千にテレビのブラウン管を通して再会したことを思い出した。あの見知らぬ老婦人の感謝の言葉に、目を潤ませておられた表情は忘れない。心温まるエピソードは何回聞いてもよい・・・心が洗われる。今、その時と同じ部屋にいる。伊勢湾が見える。三島由紀夫が『潮騒』を書いた神島が左手に見える。潮騒がカモメと一緒に哭いている。同じようにボケたウメさんがいる。耳が遠くなった。ウメさんとほぼ同じ歳の師 西山千も耳が遠かった。「先生、なにかあったら、いつでも飛んでいきます。私が肩におんぶします。弟子なのですから」。しかし、杖をついた師は、返事しようともしなかった。そして、黙ってあの世へ行かれた。（続く）次回の紘道館8月例会には、超人気講師 箱田忠昭先生がゲストで講義をして頂けることになりました。　詳細はｺﾁﾗ⇒　「私塾紘道館」 日記

  2007年07月28日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　２

  （続き）師には品格というより、イエスキリストのような神々しさがあった。しかし弟子は、この気難しい師にどう接すればいいのか、よく悩んだものだ。天才に仕える凡才、モーツアルトにつきまとうサリエリ。どちらにとっても悲劇になりかねない。まるは旅館といえば、創始者の相川ウメさん(96)で有名である。すご腕の女経営者で、企業家の中でも観音さまで通っている。テレビにもよく登場されている。この明治のばあちゃんは、私の亡母とほぼ同じ歳で風采もよく似ている。10年ぐらい前から、おばあちゃんの肩を揉む・・・自分の母親の肩を揉んでいる気がするからだ。10年前の80代のウメさんは、いつ会っても元気で、海老のように身体をそらせ、「こんなに若い、エレベーターも乗らん」と周囲に自慢していた。そのウメさんが、92・93歳の頃からボケ始めた。肩がますますコチコチになっている。私の顔を見ても、思い出せない。じーっと、海を見ている。好きな神島を見ているのだ。（続く） ウメばあちゃん

  2007年07月27日

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• 名古屋のがばいばあちゃん　１

  伊勢湾が見える温泉旅館。師、西山千のことを書くには、海を見るに限る。師は、自分の灰をどこへ・・・。彼方のアメリカか。いや、こちらの日本か。それとも、海の上のピアニストのように、どちらの陸にも棲まない、というのか。師が私淑した故エドワード・O・ライシャワー元駐日大使は、自分たち夫婦の遺灰は太平洋に撒き散らして欲しい、と言われたというから、多分その線かな・・・。私の好きな映画『海の上のピアニスト（THE LEGEND OF 1900）』をDVDで見た。古典的ないい作品は何度も観る。今日は、潮騒をバックグランドミュージックとして観た。両親に捨てられた形で、船の中で生まれた。法的には存在しなかった孤児。陸は化け物が棲むところと聞かされていた。天才ピアニスト。無冠の天才芸術家。無冠を有冠に置き換えれば、天才同時通訳者、西山千の人生とだぶってくる。（続く）紘道館　館長ブログを更新⇒　「 秘すれば花 ―― 芥川龍之介の手巾（ハンカチ）」

  2007年07月26日

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