写真と記憶の整理 最終回 グラナダ編
「この地にはPENA(哀しみ)がある」と土地の人々はよく口にした。そして それはある者をどうしようもなく惹きつけてしまうと・・何も知らずバスに揺られて この地に初めて足を踏み入れた時僕は やがてここに住むことになるだろう・・という妄想に近い直観を感じた もちろんそれは何故かは判らないそれこそが土地のなの力かもしれないし、かの赤い城「アルハンブラ」の魔力とも言うべきものかもしれない、或いは その時に教会の鐘の音を聞いてしまったからなのかもしれない、そして時を経てそれはやがて現実のものとなった。住み始めることもそうだが「いつそこを去るのか・・」という選択も実に勇気のいることではなかろうか、「もし毎日ギターを弾いて このアルハンブラを眺めて生活できるなら 人生 他に何が必要なのだろうか・・・」と本気で思い始めた時僕は この地から発つことを決めた。アルハンブラの下を流れる ダーロ川のほとりに黄色い花が咲き始める季節だったこの地についても いつか語るべき日がきっと来るのであろう・・