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• 東山彰良 " 的外れの軽蔑 "

  作家の東山彰良がウクライナ戦争について寄稿していた。そこでベケットの傑作不条理劇「ゴドーを待ちながら」に触れていた。劇ではいくら待ってもゴドーはこなかった。それでもウクライナ戦争の出口を待とうという趣旨だった。ただ、彼はあの作品のよさがわからないようだった。それはまぁ仕方ない。しかし、「かといって、ベケットにケチをつける度胸もない。私のできるのは、この本をしたり顔で褒めそやす奴らを軽蔑することだけだ」のくだりがいただけない。自分がわからないものを褒める人間を嫌悪するのはまだしも軽蔑する資格などありはしない。でも、こういった醜く愚かな心情は広く見られる。ともあれ、それでも直木賞は貰えるのだ。権威は人間性をまったく保証しない。

  2023/02/25

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• 論壇 " アンチリベラル "

  今や人気者のひろゆきが管理人をしている英語圏の匿名掲示板「４chan」はニューヨーク・タイムズによって「ネット上で最も有害な場所のひとつ」と評されているらしい。実際、ニューヨーク州バファローで１０人が死亡した銃乱射事件の容疑者は人種差別に基づく過激思想を４chanに書き込んでいた。そして、岩波の雑誌「世界」に掲載された伊藤昌亮によるひろゆき分析によると「ひろゆきの世界観の核心には『プログラミング思考』、すなわちプログラマーの問題解決法を人生に応用する発想がある」とする。そして「いつまでも変わらない日本社会を支配するアナログ思考や、メディア、権威的リベラル知識人を痛快に『論破』する」同時に、「世間的に『ダメな人』とされる人たちー『コミュ障』『ひきこもり』『こども部屋おじさん』に対しては、プログラミングを学んで得られる能力で『自己改造』すれば一攫千金も夢ではないと語る。支持者はその論理に慰めや励ましを感じる」さらに「ひろゆきは、自らを情報強者と位置づけ、情報弱者を蔑むような発言で人気を博す」ひいてはそれが「高齢者、障害者など、リベラル派が守ろうとする『本来的な意味での弱者』を差別する志向が増幅されないか」と警戒する。一方、電子決済サービス「ペイパル」を設立し、億万長者になったピーター・ティールもアンチリベルのようだ。彼は、革新的なテクノロジーの進歩を阻んでいる「元凶」が、１９６０年代に始まるニューレフト（新左翼）、そこから生まれたジェンダーや人種に重きを置く社会運動にあると断じ、派生した「ポリティカル・コレクトネス（PC：政治的正しさ）」を憎悪しているようだ。そして、学生時代から「政治的に正しくないことをするのは、とても自由なこと」と発言した。彼がトランプを支援したのは当然だろう。なるほど。ひろゆきはアンチリベラルだったのだ。それで基地反対派が集まる場所へわざわざへ行き、揶揄する投稿もするのだ。また、２ちゃんのホームページに掲げてあるスローガン「『ハッキング』から『今晩のおかず』まで」の非道徳性も納得できる。しかし、今更、プログラミングを学んだからといってほとんどの人にとって一攫千金は無理だろう。それで励まされる方もどうかしている。勝者が弱者を励ますという意味では、あくどい手法によって不動産業界でのし上がり大統領まで昇り詰めたトランプが没落した白人中間層を慰める図式を連想する。また、新しい技術を知った若者がそれについていけない老人をバカにするのも歴史の常だろう。人間にはどこまでも冷酷かつ独善的な利己性がついて回るのだ。

  2023/02/24

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• 「さよなら銀河鉄道９９９」

  松本零士さんが亡くなったので天声人語はその話題だった。なにやら「９９９」は「千に一つ足りない」という意味らしい。大人になる直前の青春が持つ輝きを表したのだろうか。生前「私の作品に共通するものは『生きることの重みである』」と語った。これは、ニーチェの「存在そのものが、巨大な苦悩をもなお是認するほど十分神聖である」に通じる。

  2023/02/21

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• チャットGPTの実力

  対話型AIチャットGPTが話題になっている。なにやら、ネット上の膨大な文章を読み「単語はどう並ぶか？」を学習しているらしい。しかし、「将棋とは何か？」と問うと「将棋は日本のゲームで、チェスとルールが似ていて・・・」と答えるが「白と黒の駒を使う」と間違いも答える。当然、最終的には人間のチェックが必要だ。ともあれ、学習データ量の進歩は目覚ましく、これまでAIの規模を測る単位であるパラメータが数十億だったのがチャットGPTの基礎になるAI「GPT３」のそれは１７５０億に上るらしい。それはそうと、AIの進歩を支える技術である「ディープラーニング」は人間の脳神経のつながりをコンピュータで再現したモデルらしい。

  2023/02/16

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• ウクライナ人の凄まじい戦意

  ウクライナ国内における世論調査で「クリミア半島奪還まで戦うべきだ」と答えたのが９３％。また、「ウクライナの戦場や都市で核兵器が使われても戦い続ける」と答えたのが８９％あったそうだ。なんとも凄まじい戦意だ。

  2023/02/15

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• 折々の言葉 " 生きる支え "

  「私・・・薬物がなかったらとっくに死んでいたと思う」ある薬物依存症患者の言葉だ。彼・彼女らの背後に虐待や性被害があるのは容易に想像できる。この場合、薬物が生きる支えになっていたのだろう。溺れる者は藁をもすがるというが正にそうだ。しかし、ということは、まだ生きたいという意思も存在するのだ。ともあれ、あらゆる依存症にはそういう側面があるのだろう。そして、なんの楽しみもなく辛いことばかりの人生など生きるに値しないのは明らかだ。​​​

  2023/02/14

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• 益田ミリ「思い出の靴」

  益田ミリはスペイン旅行中靴を買った。革がめちゃくちゃやわらかく、夏はサンダル感覚で履ける。何度か簡単な修理はしてきたが、おでかけ用には気が引けるほどすすけてきた。そこで、クリーニングと靴底の全面的な張替えをすることにした。費用は１万８千円だった。（スペインでは７千円で買った）日本でも新品を２万５千円で買える。さぁ、どうする？スペイン旅行には、サグラダ・ファミリア、ミロ、ピカソ、ダリ、パエリアなどのいい思い出がある。そういえば、靴も思い出のひとつである。益田ミリは結局修理を頼んだ。

  2023/02/11

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• 折々の言葉 " 大義に煽られない "

  かつて鶴見俊輔は「正義に引きずり回されたくない。それはひとつの政治思想です」と述べたそうだ。前半には共感する。だが、後半へのつながりには飛躍を感じる。しかし、鷲田清一による補足「大義に煽られない」には共感する。実際、「大義」が達成されたことはあまりなく、悲惨な結果につながることすらある。

  2023/02/07

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• 折々の言葉 " 戦争を知る者 "

  「戦争を知る者が引退するか世を去った時に次の戦争が始まる例が少なくない」中井久夫。これこそが戦争が繰り返される理由だろう。俗に「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という。そもそも、熱さを経験してない者が覚えてるはずもない。

  2023/02/06

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• 杉田水脈・総務政務官辞任

  杉田水脈・総務政務官が「正直者が馬鹿を見る社会にはしたくないと思っており、一生懸命がんばっている人が報われる社会にしたい」という信念を語ったそうだ。これに反対する人はいないだろう。しかし、「LGBTには生産性がない」「女性差別は存在しない」「男女平等は絶対に実現しえない、反道徳の妄想だ」などという発言や、アイヌの衣装やチマチョゴリを着て会議に出席した女性たちを「コスプレおばさん」と揶揄したり、はたまた、性暴力被害者の伊藤詩織さんを揶揄するツイートに「いいね！」を押したり、「女性は嘘をつける」と発言したことなどはすっぽり抜け落ちている。ご立派な信念とどこでどうつながるのだろう。さらに、「支援してくれる方々がいっぱいいるので、その方々の代弁者として、しっかり政治家としてがんばってまいりたい」とのことだ。支援者は一体何を支持しているのだろう？

  2022/12/28

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• ライヒスビュルガー

  最近ドイツでクーデターを企て逮捕された組織ライヒスビュルガーは「帝国市民」という意味だそうだ。メンバーは５０人いて公爵の子孫や極右が混ざっている。帝国市民と名乗っているように１８７１年に成立したドイツ帝国を正統とし、第２次世界大戦後に生まれたドイツ連邦共和国を認めていない。ドイツでは民主主義体制が脅かされた時、それを「ワイマルの亡霊」と呼ぶそうだ。そういえば、日本も、大正デモクラシーの後、軍国主義に突っ走った。現在も２０代から３０代にかけて敵基地攻撃能力を持つことを支持する層が増えているそうだ。なにやら「大日本帝国の亡霊」がちらつく。

  2022/12/26

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• 反ワクチン団体 " 神真都Q会 "

  どうやら陰謀論集団「Qアノン」の派生団体であるらしい神真都Q会（やまとQ会）がワクチン接種会場に無断で押し入り妨害したらしい。メンバーは執行猶予付きの懲役刑を言い渡された。ともあれ、彼らの言い分は「最強最悪巨大権力支配から多くの命、子供たち、世界を救い守る」「上級国民や政治家、厚労省の官僚は誰もワクチンを打っていない」「私たちは目覚めているけれど、他の人は洗脳というか、催眠術にかかっているようなもの。だから目覚めさせなければならない」とのことだ。とりあえず、義務感にかられているようだ。しかし、明らかな妄想である。そういう人たちが他人を指して「洗脳されている」「催眠術にかかっている」と主張するところに寒気を覚える。しかし、根っこを辿れば、トランプ支持者による議事堂襲撃、IS、オウム真理教、連合赤軍、ポルポト、スターリン、毛沢東、ヒトラーにも通じる狂信的心情でもあるだろう。

  2022/12/24

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• ナルシスト、プーチン

  プーチンが復旧されたクリミア橋を自ら運転した車は非友好国であるドイツのベンツだった。そして、車から降りた時身に包んでいたのは同じく非友好国イタリアの高級ブランド、ロロ・ピアーナのダウンジャケット（約１６０万円）だった。一方、彼は、ウクライナ戦争で死んだ兵士の母親に「我々も心を痛めていることを知ってほしい」と伝えた。しかし、彼のナルシスティックなセレブ趣味を見るとそれを信じるのは難しい。その点、いつもＴシャツのゼレンスキーの方にまだ歩があるか。

  2022/12/22

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• 折々の言葉 " 自分を疑う知性 "

  生物学者の福岡伸一さんは「自分が疑えないのは最も知的でない」と語ったそうだ。共感する。デカルトは疑っている自分の存在は疑えないと言った。そして、聖書に「神を畏れることは知恵の初めである」とあるが自分を疑うのも知性の初めなのだ。自分は絶対正しいと思い込んでいる者ほど不遜かつ恐ろしい者はいない。

  2022/12/19

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• ひろゆきによる基地反対派への嘲笑

  ひろゆきが辺野古への基地移設に抗議している現場に訪れ「座り込み抗議３０１１日」と書かれた看板の横で笑いながら自撮りし、その写真と共に「座り込み抗議が誰も居なかったので、０日とした方がよくない？」とつぶやいたらしい。そして、それに「いいね」が約２８万回ついたそうだ。彼が冷笑家である印象はあった。しかも、２ちゃんねるの酷い投稿を放置し生じた多額の賠償金を踏み倒そうとしていると聞いていた。法律やモラルを軽視しているのは明らかだ。しかし、基地建設には賛成のようだ。ということは、法律とモラルを軽視するナショナリストということか。でもまぁ、赤報隊は朝日新聞の記者を射殺したし、愛知トリエンナーレ・表現の不自由展に放火予告をした人間もいたので不思議ではないか。

  2022/12/17

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• ポール・クルーグマン「AIと知識労働」

  「AIが知識労働者への需要にどのような影響を与えるかは、業界や特定の業務内容によっておそらく異なるため、正確に予想することは困難だ。しかし、場合によってはAIや自動化が知識に基づく特定の作業を人間より効率的に行うことは可能で、一定の知識労働者のニーズを減らすかもしれない。これには、データ分析、調査、リポート作成などの業務が含まれる可能性がある。しかしながら、AIと自動化は、特にAIの開発と導入に関連する分野において、知識労働者の新たな雇用機会創出する可能性があることにも注目すべきだ」これは「AIは知識労働者の需要にどのような影響を与えるか？」という質問に対しチャットGPTが答えた文章らしい。なるほど。半端な知識労働者はうかうかしてられないだろう。

  2022/12/16

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• プーチン「人はいつか死ぬ」

  プーチンが死亡兵の母親に「人はいつか死ぬ」といったそうだ。「私と国のすべての指導層が痛みを分かち合っていると知ってほしい。ロシアでは年に交通事故で約３万人が死亡し、アルコールが原因の死亡も同数だ」「問題はどう生きたかだ。あなたの息子は目的を達した。彼の人生は無駄ではなかった」そして、ルハンスクや東部ドネツク州併合について「もっと早ければ、これほどの市民の犠牲、子供の死がなかったことは明らかだ」と続けた。なるほど。確かに交通事故やアルコールによる死はある意味避けられないことだろう。問題は、ウクライナ侵攻が避けられないことだったと母親が思えるかどうかにかかっている。

  2022/11/29

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• ピーター・J・マクミラン「星の林に」" よみ人しらず "

  「さざなみや　志賀の都は　荒れにしを　昔ながらの　山桜かな」" Sazanami, the old Shiga capital,  has gone to ruin  but the mountain cherry blossoms  of Mount Nagara  bloom as always in the past. " 千載和歌集ではよみ人しらずとなっているが実は平忠度の歌である。忠度は平清盛の弟で源平の争いに敗れ都落ちを余儀なくされたが一度都に引き返し千載和歌集の選者であった藤原俊成のもとへ訪れ千載和歌集に選んでほしいと頼んだ。忠度は天皇のお咎めを受けた人だったため俊成はよみ人しらずとして掲載した。和歌を通じ敵味方を越えた交流といったところか。ともあれ、一将功成りて万骨枯るというが枯れない和歌もある。

  2022/11/27

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• 「畑に戻る」

  紀元前５世紀の古代ローマに生きたキンキナトゥスは畑仕事をしている最中元老院から呼び戻され全権を委任され蛮族との闘いに勝った。すると、即辞任し畑へ戻った。なんと、約２０年後、また呼び戻された時も活躍し２１日間で辞任したそうだ。それで今もヨーロッパでは政治家が辞任することを「畑へ戻る」と形容するらしい。「ガリア戦記」を読んだ時、少なくとも戦争においてカエサルが傑出していたように感じたが、キンキナトゥスもよほど有能な人物だったのだろう。しかも、日本の政治家たちと違い実に潔い。

  2022/11/22

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• AI句

  「少年の　日の終わりたる　夜寒かな」「白雲の　海を見ている　夜寒かな」「家近く　夜寒の橋を　渡りけり」順に、AIの句、AIの句から人間が選択、俳人の句だそうだ。どれもそれなりにいい句だ。だが、まったく区別がつかない。

  2022/11/09

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• 米国　文化戦争

  「カルチャー・ウォーズ」の著者ジェームズ・ハンター氏によると現在の米国は文化戦争の渦中にあるようだ。それは、高学歴で非宗教的なエリート層で形成される進歩派と高学歴ではない中産階級や労働者階級による保守派によって戦われている。ヒラリー・クリントンはかつてトランプ支持者を「みじめな人々」と見下した。だが、トランプが勝った。今も強い影響力は明らかだ。進歩派と保守派の対立はお互いを「存在しなくなればいい」と思うまでエスカレートしている。それは１９９０年代までには見られなかったようだ。ともあれ、こういった対立は日本の右翼と左翼間にも見られる。ただ、日本では右翼の方が優勢だ。しかも、右翼には高学歴者も多く存在するようだ。ともあれ、日本にもなんらかの文化戦争は存在するのだろう。

  2022/11/04

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• 素粒子「井上ひさし」

  井上ひさしさんが残した箴言に「むずかしいことをやさしく　やさしいことをふかく　ふかいことをおもしろく」というのがあるらしい。滅茶苦茶難しいことだが真理だろう。正しく優れた物語の核心だ。しかし、やさしいことをさもむずかしそうに、うすっぺらなことをふかそうに、おもしろくないうすっぺらなことを語る人は珍しくない。私もおもしろみがなにひとつないことは語るのを止めておこう。

  2022/10/30

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• ミヒャエル・スキッベ " ポジティヴ・シンキング "

  サッカー・ルヴァン杯で優勝したサンフレッチェ広島監督の言葉に「０ー１で４回負けるより０ー４で１回負ける方がいい」というのがあるそうだ。真理だ。そしてポジティヴだ。いわゆる、ポジティヴ・シンキングにはうさん臭さもあるがこれは真理だ。どこか、マイルス・デイヴィスがミストーン出しても演奏全体が滅茶苦茶カッコよければ気にならないことに通じる気がする。

  2022/10/24

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• 持たざる者、トランプ支持者

  大学を出ていない７割の男性がトランプに投票したらしい。彼らは持たざる単純労働者だ。「あなたたちの喪失は私がなんとかする。米国を再び偉大にする。みんなを愛し、救済する」と訴えたトランプに投票したのも頷ける。また、「壁の向こうの住人たち」の著者、社会学者のホックシールド氏が述べた「ウソを信じる人に『どうかしている』と言うだけではだめです。あなたがホームレスだったとして、誰かに『靴が古いね』と言われたら、言った人物を嫌い、恥辱感も増すでしょう」にも説得力を感じる。

  2022/10/21

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• スティーブ・ジョブズ「モノを沢山買うのはやめたよ」

  「モノを沢山買うのはやめたよ。くだらないモノばかりだから」真実だ。だが、スティーブ・ジョブズのような大成功者が言わないと説得力に欠ける。ともあれ、これは人間にも言える。

  2022/10/18

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• 逆張りLGBT

  トランプ派が " LGBT " と書いたTシャツを着ていて驚いた。よく読むと  Liberty ・ Guns ・Bible ・Trump  の頭文字だった。" Liberty " はまぁいいだろう。しかし、高校生が殺傷能力の高い突撃銃を手軽に買える自由はどうだろうか？そして、聖書の創世記や奇跡を鵜呑みのするのはどうだろうか？同性愛を否定する記述もある。さらに、あの粗野なトランプが人類最強国家のリーダーに相応しいか？

  2022/10/09

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• 「もにょる」

  知らなかったが、もやもやした気持ち悪い様子を「もにょる」と表現するらしい。「苦手」や「なんだかなぁ」同様ソフトな否定表現だ。だが、「もにょるって言葉の意味も何もかも憎くて憎くて気が狂いそう」という短歌で噛みついた人がいた。この過激さはどこからくるのだろう。どこかしら、ヒトラーがクリムトの絵画を嫌悪した不寛容さを連想する。確かに「もにょる」は曖昧でどこかしら卑怯な感じすらする。しかし「憎くて憎くて気が狂いそう」もどうかと思う。その中間はないものか。

  2022/10/08

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• 渡辺京二 " 生き甲斐 "

  長年、石牟礼道子さんを傍らで支えた渡辺京二さんが「人間はね、ある人からあてにされるということ以上に生き甲斐はないんですよ」語ったらしい。確かに「あてにされる」のは嬉しいものだ。だが、「以上に生き甲斐はない」はどうだろうか。なにかに一心に打ち込むことからも同等の生き甲斐が得られるのではないだうか？人間にとって承認欲求が最上位を占めるのだろうか？

  2022/10/07

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• スティーブン・ピンカー " 善なる天使たち "

  スティーブン・ピンカーも人間性の本質に復讐心・支配願望・サディズムなど暴力の源泉を認める。だから、暴力を減らせてもゼロにはできない。ただ、人類は暴力を抑える合理性も持っている。それをリンカーンの演説から引き「善なる天使たち」と呼ぶ。天使はどうだろうか。しかし、善性も存在することは確かだろう。ともあれ、合理性と善性に希望を見出すしかないことは確かだ。

  2022/10/05

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• なんちゃって国葬

  政治学者の牧原出氏が安倍元首相の国葬に対し「なんちゃって国葬」と評したらしい。名言だろう。確かに、安倍政権は長かった。外交も派手だった。アベノミクスで株価も上がった。だが、労働者の実質賃金は下がり大企業の内部留保は増えた。そして、領土外での集団的自衛権の行使、特定秘密保護法、共謀罪などについても危惧を覚える。当初、国葬に賛成の方が多かったのに途中で逆転し６割近くが反対になったのは統一教会との安倍氏を含めた主に自民党員の関係の深さも関係していただろう。自民党議員による安倍氏賞賛も自画自賛にしか聞こえない。ともあれ、日本が二分されている現状が浮き彫りになった。右と左は敵対し勝者と敗者に分断されている。岸田首相が弔辞で述べた「日本人全員が輝ける社会」など絵空事としか思えない。

  2022/09/29

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• 口の中のハエ

  ロシアの区議会議員たちが「プーチン氏の行動はロシアとその国民の将来に損害を与える。大統領の職を辞するよう要求する」という声明文を出したそうだ。さて、ウクライナ侵攻に反対するロシア国民を「口の中のハエ」と呼んだプーチンは今回もそう呼ぶのだろうか。

  2022/09/15

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• 性的少数者　桝井千裕　" ８割のための政策 "

  性的少数者である桝井千裕さんが厚生労働省に入省したとき先輩から「８割の人のための政策を」と言われた。なるほど。官僚の考えを薄々感じてはいたがやはりそうだったか。２割は予め切り捨てなのだ。まぁ、確かに１０割は不可能だろう。だが、その思考だと当然性的少数者は切り捨てられる。そして、原発事故による避難者も。毎年出る自殺者・過労死・交通事故死も。７人に１人の子供の貧困も。ともあれ、８割を味方につけていれば自分自身は安泰だ。

  2022/09/04

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• ３分の１は働きすぎ

  労働基準監督署の立ち入り調査によると約３万２千カ所の事業場のうち、３分の１にあたる１万９８６カ所で違法な時間外労働が見つかった。そのうち、月１００時間超は２６４３カ所だった。週休２日とし月２２日働くとし、１日約１３～１４時間労働といったところか。始業時間を９時とすると、終業は２２時か２３時。通勤に１時間かかるとして帰宅が２３時か２４時、風呂と食事で即寝ても就寝は２４時か１時。翌日家を出るのが８時だから起床は７時くらいか。これだと、どうにか、７時間か６時間は寝られる。でも、もし通勤に２時間かかる場所だととても体はもたないだろう。

  2022/08/31

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• 浅田彰「BTSの闘争」

  なにやら、韓国のソウルに住めるのはエリートらしい。一方、BTSは地方出身だ。浅田彰曰く、ソウルのエリートは「金のスプーン」をくわえて生まれ、地方出身者は「土のスプーン」くわえて生まれる。BTSがその格差をはねのけたのは事実だ。そして、米国で長く賞賛されてきたマチズモもひっくり返した。マチズモは今や「悪しき男性性」の側面すら持つ。BTSは「男らしいけど、清潔で優しいきれいな男の子」だ。それを浅田は「格差社会、ジェンダー観への闘争」とみなす。それはまぁいいだろう。しかし、決定的に重要な側面が見逃されている。なにより、BTSのメンバーが全員イケメンであることだ。それがなければ闘争には到底勝てないだろう。詰まる所、この世では頭や見た目の良さ、あるいは、なんらかの才能の有無が大きく物を言うのだ。BTSの熱狂的ファン（アーミー）もダサい男など鼻もひっかけないだろう。ジェンダー観はともかく格差社会の克服など幻想にすぎない。

  2022/08/26

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• ネオ・ユーラシア主義

  ロシアの右派思想家ドゥーギンの娘が殺害された。ロシア連邦保安局は「ウクライナの特殊部隊による犯行だ」という声明を出した。ともあれ、ドゥーギンの発言を拾うと「ウクライナという国には地政学的な意味や文化的重要性、独自の民族性などない」「クリミアで満足すればウクライナ南東部の兄弟を裏切り、クリミアだけでなくロシアも失うことになる」「欧米人は世界の覇権を握る夢の中で生きている」「ブチャの残虐行為は西側の作ったショーだ」等々。ここには、ひたすら西側を悪者にしようとする徹底した身贔屓が見られる。さらに、被害妄想も。それは、かつてのナチスドイツや大日本帝国にも通じるメンタリティだろう。

  2022/08/25

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• 益田ミリ「自分のアドバイス」

  「こうゆう場合は一旦よく考えた方がええで」「納得できない要望を適当に受け入れると後々ややこしくなるで」「ものごとを損か得かで決め過ぎたらアカン」益田ミリが迷ったとき過去の自分からアドバイスが届く。そして「自分のアドバイスを大事にしないで何を大事にして生きていくというのだ？」と結ぶ。真理だ。しかし、足りないものがある「自分が真理だと感じた他人のアドバイスも大事にする」だ。

  2022/08/19

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• 江川紹子「カルトの定義」

  オウム真理教を取材してきた江川紹子氏がカルトをこう定義していた。「自分たちの信念を絶対視し、それに基づいて人権侵害そのほか、反社会的行為をする団体で、巧みに他者の心を支配し、しばしば他の考え方を敵視する」。これは、人類史上しばしば見られる。そもそも、あらゆる宗教や思想上の戦争はすべてそうではないのか？当然、ナチスはそうだ。大日本帝国もそうではなかったのか？スターリニズムもそうだし毛沢東ひいては現在の中国共産党やプーチンもそうだろう。後、ISにもいえる。トランプやQアノンにもその匂いがプンプンする。ともあれ、人類にはカルトにハマる性質が深く刻まれているようだ。

  2022/07/22

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• 天声人語「農民作家山下惣一」

  農民作家の山下惣一さんと半世紀に亘り農について語って来た「農と自然の研究所」代表、宇根豊さんは村の近代化を夢み減反政策に応じミカン栽培に乗り出すが生産過剰で暴落。「国の政策を信じた自分が愚かだった。農の問題は近代化では解決しない。近代化されないものだけが未来に残る」と漏らした。ここには一片の真理が含まれているように思う。実際、GDP上位の国でも貧困は存在する。経済成長だけで貧困が解決されないことは明らかだろう。

  2022/07/15

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• アメリカ優生学運動の歴史

  優生学というとナチスが浮かぶ。しかし、先鞭をつけたのはアメリカだったらしい。その根底には白人至上主義と移民排斥があったようだ。障碍者や貧困者など社会的弱者を不適格者と見なし断種・結婚の禁止を法制化した。その運動にはロックフェラーやカーネギー、あるいは、鉄道王の妻メアリー・ハリマンなどが巨額の出資をした。この流れは現代日本のやまゆり園における植松の障碍者大量殺害やメンタリストDaiGoによる「ホームレスが死んでもなんとも思わない」発言にも通ずる。教師になれなかった植松はさておき、成功者ほど富の再分配を嫌い敗者の自己責任論を支持するという非情さは常に見られる。一定の人間はそもそも非情なエゴイストなのだろう。

  2022/07/09

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• AI俳句

  千利休によると守破離に人間の本質があるそうだ。守は俳句でいうと五七五の型を守ること。破は字余り。離は自由律俳句というところか。今のところAIには守しかできない。一方、意図もないので、「真っ赤なトマト」や「新鮮なトマト」と同時に「寂しいトマト」も飛び出す。でも、これくらいなら人間でも出せるだろう。しかし、「初恋の焚火の跡を通りけり」はなかなか作れないだろう。人間が作ろうと、はたまた、ＡＩが作ろうといい俳句はいい。ただ、ＡＩにそれを判断する能力はまだないだけのことだ。となると、俳句を味わう能力こそが人間性の核心なのかもしれない。

  2022/07/07

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• ローマ帝国三世紀の危機

  西洋史家本村凌二氏によると２世紀半ばに大規模な疫病が発生し、ローマの人口の１／３が失われ、３世紀には東はペルシャ、西はゲルマンなどの攻勢にさらされ、軍事費がかさみ、財政は破綻寸前。安易に通貨を増発し物価は高騰。やがて経済危機から社会危機へ進んだそうだ。これをローマ帝国三世紀の危機と呼ぶそうだが現在の日本に似ている。衰退期の兆候として寛容さの消失を挙げているがこれも当てはまる。

  2022/07/06

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• 澤田瞳子「梅肉煮」

  澤田瞳さんはジャムが好きだ。しかし、一瓶最後までちゃんと食べきれない。最後はえいやとケーキに混ぜたりする。それでも旅先などで珍しいジャムを見つけるとつい買ってしまう。自分でも作る。リンゴ、イチゴ、庭に生ったブルーベリー。どうやら、時間と手間暇掛けて作るのが好きらしい。それは亡くなった祖母の梅肉煮に遡る。笊一杯の青梅をすりおろし数時間煮詰めると大匙二、三杯しか採れない。しかし、腹痛時や食欲がない時など、ほんの爪楊枝の先ほど舐めるとてきめんに効果があった。祖母が亡くなった後三十年経った今も陶器の小壺に入ったまま食糧棚の一角に置いてある。きっともう食用には堪えないだろう。結局、愛情に行き着くのではないか。そこには純粋な愛情がある。そういえば、連続殺人事件を起こした男が、なついていた祖父の遺骨を齧ったという話があった。ともあれ、この世に純粋な愛情ほど貴重なものもまたないのではないか。

  2022/07/01

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• 弁護士による侮辱

  「学校PTAは強制加入団体ではない」と主張した東京都立大教授木村草太さんに対し埼玉弁護士会に所属する男性弁護士が法律事務所のブログに「木村草太の草太は、なんとお読みするのでしょう。PTAをクサすから、クサタ、でしょうか。頭がクサっているから、クサタに違いない」と書き込んだそうだ。その後、取材に応じ「PTAについて議論を呼びかけたつもりだったが、稚拙な表現になってしまい反省している」としつつも「言論の自由が奪われる」という理由で懲戒処分取り消しの訴訟を起こすそうだ。いやいや。侮辱が言論の自由に含まれないのは明らかだ。そんな人間が弁護士などやってはいけない。精々、自分の弁護だけやっててください。

  2022/06/23

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• 畠山海人 " 楽器義手 "

  高専で機械工学を学び慶応大大学院メディアデザイン研究科へ進んだ畠山海人さんは楽器と義手を融合した。地雷で手足を失くした子供を見て「なんで俺らと同じように遊べないんだろう」と思ったのが切っ掛けだった。そして「夢をあきらめている人を見たくない」と語る。ここに掛け値なしの善意を感じる。

  2022/06/22

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• 松本隆「本当の国力」

  「本当の国力は文化に表れる」確かに。アメリカは人種差別が根強く、３億丁の銃が出回り定期的に銃乱射事件が起こるろくでもない面もあるが、音楽、映画、スポーツなど魅力的な文化もある。日本にもアニメ、J-POP、和食などの文化がある。一方、中国にも漢字、老子、中華料理などの文化があるが、皆、昔からあるものだ。GDPが世界２位になりその内世界一の軍事力を持つ勢いだが現代的な魅力的文化はまだ存在しない。それが出現するのはまだまだ先になるだろう。

  2022/06/18

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• ハルキスト、スガ シカオ

  なにやら、スガ シカオはハルキストらしい。ともあれ、私は村上春樹が大の苦手だ。「風の歌を聴け」や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」などの気取ったタイトルで読む気になれなかった。しかし、ノーベル賞まで噂されるようになったので一応読んでみようした。でも、あの気取った文体に耐え切れず遂に１ページも読めなかった。それでも、やや長めのインタビュー記事を読んだところ「気障の塊」あるいは「スノッブのスーパースター」という印象だった。一方、スガ シカオの音楽性は好きだ。ファンクやR&Bのテイストを感じる。だが、歌詞はややいじいじしているので這入り込めない。といっても村上春樹ほど気取った感じもしない。共通点といえば精々都会的なオシャレ感といったところか。それも、ユーミンほどセレブではない。人間のつながりというのは実に複雑精妙だ。

  2022/06/12

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• 「 声 」" ペンフレンドの一言 "

  ​５６年に及ぶ交流が続くペンフレンドを持つ７１歳の女性は次男の転勤を機に沖縄を訪れた。沖縄で戦死した叔父の名が刻まれた平和の礎にも足を運んだ。ペンフレンドともランチをした。そして、いつも明るい彼女に「沖縄の人たちは、あっけらかんとして明るいよね」というと「うん、生きていくためにはね」と返された。これだ。「泣くが嫌さに笑って候」や「心に重荷を負う人ほど足取りは軽い」を連想する。あるいは、モンテーニュの「軽い悲しみは語り、深い悲しみは沈黙する」にも通ずる。つまり、明るく振る舞わなければ死にたくなるような悲しみが背後にあるということなのだろう。また、そういう人は本土にもいるだろう。実際、年間２万人に及ぶ人たちが自ら命を絶っている。​

  2022/05/15

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• 折々の言葉 " 勁い静けさ "

  ​病に臥せっていたカントは医者が来ればドアまで出迎えたらしい。死刑台に向かう時ふと水たまりを避けた死刑囚もいたらしい。鷲田清一氏はそれらに人間が持つ「尊厳の極致」と「勁い静けさ」を見た。どこか、フランクルの「極限状況であっても選択の自由は奪えない」を連想する。もし、その死刑囚が冤罪だったらなおさらだ。​

  2022/05/08

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• 山田洋次 " 夢をつくる "

  ​山田洋次監督が松竹に入社した頃「羅生門」「二十四の瞳」「七人の侍」などの傑作が作られ鎌倉の大船撮影所は「夢の工場」と呼ばれた。メロドラマ「君の名は」の大ヒットで東京に大きな本社ビルが建った。だが、山田監督は甘ったるいベタベタした映画を嫌い「自転車泥棒」のような映画が撮りたかった。なるほど。山田監督の映画も大概ウェットだがほろ苦い面もある。そして寅さんシリーズの中で笠智衆さんに「寅の一生は夢みたいなもんだ」と言わせた。確かに。今までも「一期は夢よ。ただ狂え」という言葉に共感した。そういえば、私の人生も夢のようなものだった。​

  2022/04/25

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• 統計的生命価値

  ​今までも「命の値段」という言葉はあった。召集令状の切手代である一銭五厘が兵隊の命の値段だといわれたこともあるらしい。「人の命は地球より重い」と比べるとほぼ無限大の差だ。一方、「統計的生命価値」という概念もあるらしい。例えば、火災報知器のコストが年間１千円とし、住宅火災で死ぬ確率を１０万の１とする。すると、統計的生命価値は１千円ｘ１０万＝１億円となるらしい。なるほど。確率１で１千円しか出さなければ統計的生命価値は１千円というわけか。となると、戦争の死者がどれだけになれば降伏するかで国民の命の値段も決まってくるのではないか？​

  2022/04/23

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