ザ・ホエール
イマイチ納得いかない部分もあったがなかなか深みのある映画だった。大学の英語教師である男は器具を使わないと歩けないような巨体だった。あまりにも異様な風体なのでオンライン授業ではカメラを切ってある。徐々に明らかになるが、なにやら彼はゲイであり、教え子だった学生と深い仲になった後自殺され、そのショックで過食症になったようだ。そうなる前には普通に結婚しており8歳の娘もいた。しかし、その恋愛にのめり込み妻子を捨てた。だが、死期が近いことを悟り娘を呼び出し退学寸前だった娘の課題を手伝う。捨てられたことを恨んでいた娘はことあるごとに毒舌を吐く。他人に対してもだ。彼女にとってこの世は8歳から「クソ」なのだ。とはいえ、ところどころで完全には腐っていない節も見える。実際、彼女がとった行動によって教会の金を盗んで町から逃れてきた青年は町へ帰れるようになった。そんな彼女に父である男は「君は美しい。完璧だ」と褒める。「完璧」はともかく、確かに人には美しい部分もあることは事実だろう。