マルクス・アウレーリウスの「自省録」”沢山の徳”
マルクス・アウレーリウスは言う。「君の頭の鋭さは人が感心しうるほどのものではない。よろしい。しかし、『私は生まれつきそんな才能は持ち合わせていない』と君は言うわけににはいかないものが沢山ある。それを発揮せよ。なぜならそれはみな君次第なのだから、たとえば、誠実、謹厳、忍苦、享楽的でないこと、運命にたいして呟かぬこと、寡欲、親切、自由、単純、真面目、高邁な精神。今すでに君がどれだけ沢山の徳を発揮しうるかを自覚しないのか」と。ほとんど、言い尽くされている。しかし、今まで、大して頭の良くない、顔もそれほど良くない、あるいは、大した才能でもない人間が、どれほど鼻に掛けていたろうか。そして、徳を持った人間がどれほど少なかったことか。人間はそれほど高慢で欲の深い生き物なのだ。