エドワード・フランケル 数学白熱教室
今回は主にフェルマーの最終定理と志村・谷山・ヴェイユ予想の関連についてだった。素数を法とする3次方程式、例えば、y^3+y=x^3-x^2 mod5の解の個数はx=0 y=0, x=0 y=4, x=1 y=0, x=1 y=4 の4個であるが法となる素数から解の個数を引いた数が「q(1-q)^2(1-q^11)^2(1-q^2)^2(1-q^22)^2(1-q^3)^2(1-q^33)^2(1-q^4)^2・・・」という調和解析の数式を展開した時、法となる素数を指数に持つqの係数に現れる事に驚いた。さらに話は、三角関数においてサイン、コサイン・カーブが2πの整数倍しても変化しない対称性を持つことに及び、上記の調和解析の数式も単位円において非常に美しい対称性を持つことに進んだ。それを何やらモジュラー形式と呼ぶそうである。ラストは、これらのアイディアを戦後間もない時期に掴んだ谷山豊の話だった。彼は、何故か自信を失い、31歳の若さで自ら命を絶った。婚約者も一生一緒に暮らすという誓いを立てていたので直ぐに後を追った。まるでジム・モリソンの後を追ったパムのようだ。それにしても、俗に「良い人は早く死ぬ」とは言うが決闘前夜に群論の論文を書いたガロアもそうだが卓越した才能と高潔な魂を持った人間は早逝する運命にあるのだろうか。これはロック創成期のジミヘンやジャニスも連想する。「美しきもの見し人は早く死ぬ」という言葉も浮かぶ。一方、「憎まれっ子世にはばかる」と言われるように高慢、強欲、卑劣、残忍等、醜い心を持った人間はざらに居る。これらには、イワナやアマゴなどが綺麗な渓流にしか住めないような法則性を感じる。