アリス・マンロー「イラクサ」
アリス・マンローの「イラクサ」という短編集の冒頭に載っている、「恋占い(Hateship,Friendship,Courtship,Loveship,Marriage)」を読み終えた。細切れに読んだので登場人物たちの細かい関係がイマイチ掴めなかった。描写は非常に緻密で、かつ、ヒネリが利いていた。全体的に、シニカル、ペシミスティック、そして、ハードな印象だった。著者の強靭な知性が窺えた。さすが、ノーベル賞作家だ。それよりも驚いたのは、ラストで、以前から好きだった言葉「その日を摘み取れ」が出て来たことだ。単にローマの格言としてしか知らなかったがホラティウスの言葉だった。そもそも、この本を教えてくれたのは、結構前から知っていたネットの知人だ。自身、作家であり相当な本読みであることは知っていた。「袖振り合うも多生の縁」とはいうが、深い所での繋がりを感じる。