「わが闘争」46
今回も新聞への苛烈な攻撃だった。ヒトラーは新聞の平和主義を笑い「想像しうる限り、もっとも邪悪な毒物」と決めつけた。そして、軍隊への批判を憎んだ。これは、現在の日本における、百田尚樹の「沖縄の新聞はつぶさなあかん」のごとき発言にも通じる。右翼の朝日新聞への攻撃も同根だろう。そして、マルクシズムを嘘っぱちとこきおろし、それを国際資本を牛耳るユダヤ人が奴隷的束縛をもたらすものとした。確かに、現在の世界もごく少数の強者によって支配されているように見える。だが、その全員がユダヤ人ではないだろうし、マルクシズムとは全く関係がない。むしろ資本主義によるものだろう。それは単に、古今東西変わらぬ人間の強欲を示すものであろう。そして、それは、ヒトラーのような闘争的民族主義で解決出来る問題でもないだろう。また、人間が公共心に欠け利己的行動ばかりに走る間は共産主義も不可能だろう。