体験談-5
そうして静かになったと思っていましたら大変なことになってしまったのでございます。今思えば、私が夫の言葉を制したり、愚痴を聞かせたり、甘やかし叱らなかったり、また私は奉仕するという事について「奉仕は本来、国が行うべきものを国民に押し着せることによって国の責任を回避するものである」という事を左翼政党の指導者が教えていましたのでそうだと思っていましたから、街頭で寄付を集める人達がいても寄付は奉仕と思っていましたので奉仕するという事はばからしいと思っていました。そして私は人を見下していましたから、奉仕する人をバカだと思っていました。私は感謝するという事も知りませんでした。いつも不満を持っていました。それら一連の誤った心の状態で、その子に接していたのでした。そんな心が、気の優しかった子供に直接伝わっていたのでしょう。言葉で人の事をバカだと言わなかったにしろ、そういう心は普通でも感じ取れるものですから。夫に対する心の状態、人様にたいする思いの状態等々、たくさんの誤りに気がつくのでした。反省していて、その子に対して涙が出るのでした。すまんことをしてしまった。私のために我が子が犠牲になっているのでした。私はその子に正法を伝え、自分の過ちを話しました。でも、私の言う事も聞かなくなっていました。反省のたびに私は泣いています。見る夢も怖いものでした。しかし、その子は夫に詫びました。仕事をするというのです。就職準備のためのお金を渡し、送り出しました。正法を知ってからというものは、日に日に家の中が明るくなり、過ぎ去ったあのどん底の日々が嘘のようです。人間、幸福になるも、不幸になるも心の中にあるということを身を待って知りました。誠に恥ずかしい次第でございますけれど、老いて初めて人生の誠を知りました。まだまだ油断は出来ませんが、正法を信じ、反省を行い、心、魂を磨くことを我が子に教える責任があります。これからも頑張ってまいります。どうぞ皆様の中に私と同じ苦しみを持っていられる方がおられましたら、私の恥ずかしい体験でございますが、参考になるならと書きました。正法を信じ、反省を行っていかれますならば必ず神様がお導きなさってくださいます。どうか皆様、お幸せになってください。正法誌N040号1981年 12月号より抜粋仏典が時空を超えて、現代人の心の悩みに呼びかけてやまないのはなぜか。本書は碩学が経済倫理、政治倫理、人生の指針など仏教の社会思想の全体像をわかりやすく説き、混迷する現代の緊急の課題に仏教の教えはどう応えるかを解明しようとした「仏典のエッセンス」である。目次 : 仏法と人間―プロローグ(無常変遷のうちに道理を見る/ 道理を見るとは自己を実現すること)/ 1 経済的行為の意義―仏教と経済倫理(禁欲的精励の精神/ 施与の道徳 ほか)/ 2 政治に対する批判―仏教と政治倫理(現代の荒廃を予言する/ 「サンガ」の建設と理想的国家 ほか)/ 3 理想社会をめざして―人生の指針(慈悲と奉仕のこころ/ 万人の友となる ほか)【送料無料】 仏典のことば 現代に呼びかける知慧 岩波現代文庫 / 中村元 ナカムラハジメ 【文庫】価格:1,155円(税込、送料込)