祖母からのはがき
Sophia宛てに、昨日はがきが一通届いた。「おばあちゃんから、おはがきが来た。Sophiaもおばあちゃんに出すから、おはがき下さい!」張り切って、何度も何度も書き直して祖母にはがきを書いた。祖母、つまり私の実母からSophiaに来たはがきは、先日実家を訪ねたおり、祖母の好きなチョコレートを不在の祖母にお土産においていったことに対するお礼だった。「かぜをひかずに、げんきにようちえんへいってね。また、きてね。」読み易く、すべてひらがなでかかれた文章は、そう結ばれていた。 このことで、思い出したことがあった。数年前である。これも実家を訪ねた時、母が「薗ちゃん(注*私のこと)、こんなのが出てきたよ。あなた宛のものだから、あなたが持っていなさい。」それはもう30年以上昔、今は亡くなってしまっている私の祖母が、就学直前の私に宛てて送ったはがきだった。「薗さん このあいだはおてがみありがとう おげんきでなによりです 四月から一年生になりますね よくべんきょうして下さい きょうだいさんにんなかよくしてください」年長だった私が、祖母になんと手紙に書いて送ったかは覚えていない。しかし、覚えたてのひらがなをたどたどしく綴り、もうすぐ幼稚園を卒園し、小学校に入学する報告をしたと思われる。10円の官製はがきに、10円切手が添えられている。何度も引越ししたのに、このはがきを失くさず大切にしていた母。 その母が、孫Sophiaにはがきを送ってきた。古いはがきと、昨日届いたはがきの筆跡は、どことなく似ている。何故か、泣けて泣けて仕方なかった。 今日午後、Sophiaははがきをポストに投函した。明後日には祖母の手元に届くだろう。 30年ほど将来、そのような機会に恵まれたのなら、就学直前の孫にはがきを送ろうと、ふと思った。