ライブドア・フジテレビ間の株問題について2
ライブドア・フジテレビ間の株問題について2新株予約権の差止めって?今回の株問題でまた新しい動きが出てきました。ニッポン放送がフジテレビに対し、新株予約権を割り当てようとしたのに対して、ライブドアがその新株予約権の割り当てを差し止めるよう申請する見込みのようです。新株予約権というのは商法の範囲ですから、今日もこれについてお話しようと思います。まず、新株予約権の条文をどうぞ。第二百八十条ノ十九 新株予約権トハ之ヲ有スル者(以下新株予約権者ト称ス)ガ会社ニ対シ之ヲ行使シタルトキニ会社ガ新株予約権者ニ対シ新株ヲ発行シ又ハ之ニ代ヘテ会社ノ有スル自己ノ株式ヲ移転スル義務ヲ負フモノヲ謂フ 早い話、新株予約権とは文字通り株の予約権なのです。今すぐは株を買わないけど、いずれ株を買うから予約だけさせてねというのが新株予約権です。普通の商品の予約と同じですね。さて、その新株予約権の割り当てを差し止めるというのはどういうことでしょうか。まずは条文をどうぞ。第二百八十条ノ三十九 ○1 第二百三条第二項及第三項ノ規定ハ新株予約権ガ数人ノ共有ニ属スル場合ニ之ヲ準用ス ○2 第二百八条ノ規定ハ新株予約権ノ消却アリタル場合ニ之ヲ準用ス ○3 第二百二十条ノ七第六項ノ規定ハ新株予約権ノ行使ニ因リテ会社ガ自己ノ株式ヲ移転スル場合ニ之ヲ準用ス ○4 第二百二十二条ノ二第三項、第二百八十条ノ十及第二百八十条ノ十一ノ規定ハ新株予約権ヲ発行スル場合ニ之ヲ準用ス 280条の10を準用するとありますよね。そこで、280条の10をご覧下さい。第二百八十条ノ十 会社ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナル方法ニ依リテ株式ヲ発行シ之ニ因リ株主ガ不利益ヲ受クル虞アル場合ニ於テハ其ノ株主ハ会社ニ対シ其ノ発行ヲ止ムベキコトヲ請求スルコトヲ得 「会社ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナル方法」の場合は差止めできるとありますね。では、一体どういうことが「会社ガ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不公正ナル方法」なのでしょうか。このような判例があります。「支配権につき争いがある場合に、従来の株主の持ち株比率に重大な影響を及ぼすような数の新株が発行され、その第三者割り当てが、特定の株主の持ち株比率を低下させ現経営者の支配権を維持することを主要な目的としてされた時はその新株発行は不公正発行にあたり、また、その主要な目的が右のところにあるといえなくても、特定の株主の持ち株比率が著しく低下させるだけの合理的な理由が無い限り、不公正発行に当たる。(忠実屋いなげや事件・東京地判平成元年7月25日)」つまり、新株を発行しようとする際の主な目的が特定の株主の持ち株比率を下げる目的であってはならないし、そのような目的が無いとしても特定の持ち株比率が下がるような新株発行はよほどの理由が無い限り許されないとされているのです。と言うことは本件ライブドアの「私の持ち株比率が下がる」と言う主張と、ニッポン放送の「新株発行の必要性がある」という主張のどちらが認められるかと言うことになるでしょう。これは専門家でも判断が分かれるのでどうなるかわかりません。ただ、ちょっと良くわからないのは、ライブドアの時間外取引は非難されているのに、特定の相手のみに新株予約権を割り当てるのは非難される筋合いのものではないのでしょうか?私は時間外取引については完全な素人なので、的外れな疑問かもしれませんが、似たような物だと思うんですよね・・・?