第5章 1無罪判決後、もしその人が真犯人とわかったら?
さてどうなるのでしょうか。これは条文があります。憲法第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。 無罪判決が出た場合は、その後真犯人と分かっても二度と裁判できません。どうお考えになりますか?「おかしい」と思う方もおられるでしょう。確かに、今は「真犯人」と決め付けていますからおかしいと思うかも知れません。しかし、もし「何か有罪の証拠が出てきたらもう一度裁判できる」と言うことになっていた場合、一回無罪になってほっとしていたら「証拠が出てきたから裁判だ」となり、2回目の裁判でも無罪になって今度こそ落ち着けると思ったら「いやいや、また証拠が出てきたぞ」ということになり、裁判がエンドレスになりかねません。これでは被告人はたまりません。なので、裁判は一回きりとするしかないでしょう。やむを得ないところです。