[インフルエンザ]の記事一覧 | よたよたあひる’S　HOME PAGE

熱発したらどうしますか？

　ちょっと前のことなんですが、私の職場、障害者の社会復帰の寮の利用者さんが、風邪をひいたんですよね。　なんだかぞくぞくするということで、熱を測ったら38度あって、あとはのどの痛みと軽い咳くらいの症状だったんですけど・・・とりあえず、内科の病院に電話して症状を伝え、受診したのですが、診察前に待合室で熱を測ったら、38度8分まであがっていて、でも、万一インフルエンザだとしても、その日の朝からの発熱だとインフルエンザの検査をしても反応しない場合もあるから、とアセトアミノフェンの解熱剤、カロナールの処方だけもらって帰りました。　一応、利用者ご本人には、トイレのとき以外には自分のお部屋から出ないようにお願いして、食事は職員がお部屋まで運んで、のみものやおやつの購入なんかも職員が代行しました。おやつには、ご本人の希望の桃缶を買いにいってきました。やっぱり病気のときの桃缶ってなんかイメージありますよね。とても喜んでもらって嬉しかったです。　一晩休んでもらって、翌朝に検温したら37度台に下がっていたのですが、一応念のために再度受診。この熱だったらインフルエンザの可能性は低いけど検査しますかと聞かれ、迷ったけれど、本当に念のために検査してもらい結果は陰性でしたので、抗菌剤の処方をもらって、あとは安静にしてもらってご本人は元気になりましたけどね。　インフルエンザの検査と判定で3割負担で大体1000円くらいかかるんです。　医療費が余計にかかってしまって申し訳なかったなぁとも思いますし。　ただの風邪だったら、というか、こういう経過が自分のうちの家族だったら、二日目はまず受診しないんですけど。風邪なら安静にしているのが一番ですからね。でも、集団生活の寮だとやっぱり気を使います。　　発熱してすぐのときは検査をしても結果が出ない場合が多いわけだし、かといって、本当にインフルエンザだったら、タミフルの投薬は発熱後48時間以内開始がいいとされているし、受診のタイミングも難しいですね。　あ、付き添いで病院にいく場合はマスク必須です。　で、帰ってきたら手洗いと顔洗い、うがい。　インフルエンザは飛沫感染だから、手についたウィルスを食べないようにするのが大事なんだそうです。　

東京都内で発症者確認・・・「新型」インフルエンザ

今日、出勤したら、施設職員は公共交通機関を使って通勤する場合、必ずマスク着用のことというお達しがありました。利用者の皆さんにも、作業所や通院の際に、マスクをつけていただき、帰寮時には確実に手洗いをしていただくようになりました。帰宅時、駅の売店のマスクは軒並売り切れ状態になっていました。で、今日はマスクなしで帰ってきたのですけど。とりあえず、明日からは行き帰り各1枚ずつマスクが必要になります。当面は、私ととろろ丼さんの電車通勤・通学時用です。アライグマオヤジさんは、自転車通勤なのでまだ大丈夫・・かな・・もう少し、感染者が増えてくるとどうなるかわかりませんけどね。ストックがあるにはあるんですが、なくなる前に追加が買えるかしら・・・その後、ネットニュースで、とうとう東京都内でも「新型」インフルエンザの感染者が確認されたことを知りました。関西に引き続き、最初に確認された患者さんは高校生です。＜感染女子高生の接触範囲が焦点、交通機関も対応準備...東京＞↓　読売新聞　 2009年5月20日22時21分http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_super_influenza3__20090520_76/story/20090520_yol_oyt1t00860/以下、記事から一部引用します。---------　首都・東京でも２０日、感染者が確認された。東京都八王子市在住の女子高校生（１６）が新型インフルエンザ（豚インフルエンザ）に感染していることが判明した同日夜、東京都庁では幹部らが緊急招集され、関係機関との情報の収集などに追われた。　１９日に米ニューヨークから戻ったばかりの女子高生が帰国後、どれぐらいの人と接触したのかが今後の焦点になる。首都圏の交通機関などは、感染が拡大した場合を想定して準備を始めた。（中略）　石原慎太郎知事も、この日午後２時過ぎ、韓国・ソウルで開かれた国際会議から帰国し、新型インフルエンザについて「東京にもそのうち発病するでしょう。専門家に努力を願いたいのは、毒性の度合いなどを正確に分析し、早く情報提供してもらいたい」と話していた。　都内での感染確認を受け、ＪＲ東日本では、感染ルートなどについて情報収集を進めている。同社は「駅などで乗客にマスクを着用してもらうよう周知したり、駅員にマスクをさせたりすることも検討する」（広報部）としている。都営地下鉄や都営バスを運行する都交通局は「現在、乗務員にうがいや手洗いをするよう周知しているが、運行などの対応については、情報収集を進めた上で判断する」としている。--------------　まぁ、遠からず感染者は確認されるだろうとは思っていましたけどね。　各方面のスタッフの皆さんが、感染の広がりを少しでも少なくするようそれぞれの持ち場で頑張って下さってます。　まずは、自分でできることをしっかりやることですよね。　自己防衛するのと同時に、自分自身が感染している可能性（症状がまだ出ていない「潜伏期」にあるか、症状が出ない「不顕性感染」であるかもしれないということ）を考えて、マスクと外出から帰ったあとの手洗いは必須ですね。「ＷＥＢ広報東京都」より、↓＜新型インフルエンザに対する東京都の対応＞http://www.metro.tokyo.jp/SUB/infuruenza2009.htmこのページには、都の関係機関が作っている情報提供のリンクがいろいろあります。その中の「都感染症情報センター」のページに、「手を洗いましょう」という「手洗いの手順」を写真付きで説明しているページがありますからご紹介しておきます。↓http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/swine-flu/hand.html始まってしまったものは仕方ないですからね。流行の規模を少しでも小さくするために、それぞれが自分にできることをするしかありません。　しばしばパンデミック対策についての説明に、1918年のスペイン風邪大流行のときのアメリカで、初期対策に失敗したフィラデルフィアと初期対応が功を奏したセントルイスとの比較の話がでてきます。古い話ですが、とても重要です。　たとえば・・・新潟県三条市の平成20年度第3回「知事とのタウンミーティング」資料↓＜新型インフルエンザに備えて＞http://chiji.pref.niigata.jp/files/siryou081217sanjo.pdfこのＰＤＦファイルの10ページ目に、フィラデルフィアとセントルイスの死亡率の推移を比較したグラフが掲載されています。「ＩＴ media エグゼクティブ」より↓＜新型インフルエンザパンデミック対策・・・非常時の事業シナリオ＞　http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/0901/23/news062_2.htmlこちらは企業のリスクマネジメントの観点で書かれた記事です。以下に一部引用。文脈確認のためには、リンク先の全文をお読みください。------------（前略）1918年にスペイン風邪が蔓延した際、米国のセントルイス市では、映画館や学校等の公共施設を閉鎖したことで感染拡大を最小限にできたことから、不要不急の事業は自粛することが常識となった。ただ、成功したセントルイス市の場合でも2カ月、対策に失敗し被害を拡大したフィラデルフィア市では3カ月に及ぶなど、事業自粛期間が長期に継続するのは災害BCPにはない特徴だ。（後略）------------　スペイン風邪の例とはあまりにも古い、と感じる方も多いかもしれません。　たしかに、現代は、1918年と違って、医療技術も進歩しているし、いまのところタミフルとリレンザという特効薬もあるし、なによりも日本は医療保険がきちんと機能しています。　しかも、今のところ、今回の豚インフルエンザ由来の「新型」インフルエンザは、最初にニュースになったメキシコ以外では、まだ死亡率が低い状態にあり弱毒性である、といわれています。通常の季節性インフルエンザで死に至るほどの重症化することが多い高齢者が、どうやらこの「新型インフルエンザ」にかかりにくいらしい、というのも有難い状態だと思います。　でも、若い細胞でウィルスが増殖するということで、乳幼児はやはりハイリスクですし、中高生はタミフルでの異常行動も心配です。また、青年・壮年で重症化する例では、ウィルスが直接肺に悪さをして、ウィルス性肺炎を起こす場合もあるそうです。例は非常に少ないですが、感染・発症してしまったら、体力があるからと安心してはいられないということですね。　ですから、感染の広がりは可能な限り抑えたほうがいいに決まっています。　中高生のみなさんは、学校が休校になったからといって、遊びにいっちゃだめですよ。　「感染したら自業自得」じゃすまない、人生棒にふることになったらつまらないし、もしかしたら、自覚症状がないままに、ウィルスを運んで家族にうつしてしまうかもしれない。自分や自分の家族が無事でも、お友達のうちで赤ちゃんが重症化して亡くなってしまうなんてことだっておこりかねないんです。　比較的「弱毒性」ということですから、むやみやたらに怖がるのも考え物ですが、感染が広がってしまうといろいろな経済活動にも支障がでますから、めぐりめぐって、保護者の勤め先の経営が悪化して、お給料の遅配、ボーナスカット、場合によっては倒産による失業、なんてことだって起きてくる可能性があります。　行政は行政で、ちゃんと対策をたててもらわないと困りますが、まずは自分ができることをやらないとね。にほんブログ村　　

「新型」インフルエンザ・・今回はある意味「予行演習」のような気もする

豚インフルエンザ由来の「新型」インフルエンザについて。新しい感染症・・とくに進化の早いウィルス性の疾患に関しては、安易に「希望的観測」を語ることはまずいだろう、とは思うものの、今回の豚インフルエンザ由来の「新型」インフルエンザが、（１）比較的弱毒性らしい（・・・ただし、従来の季節性インフルエンザよりは重症化する率はちょっとだけ高いみたい。それにこの先、強毒性に進化しない保障はないわけ）（２）現在のところタミフルが有効（←これ、ほんとに有難い話。今年の1月ごろに流行していたＡソ連型はタミフル耐性ウィルスだったからね）（３）高齢者はかかりにくいらしいという３つの点において、とても運が良かった・・と思う。ごめんなさい。ちょっと不謹慎だということは自覚してます。いま、まだ渦中の問題ですし、今現在、発症していて症状に苦しんでいらっしゃる方や、ご家族の心配をしていらっしゃる方がおられ、また、加重労働になっているであろう、医療機関関係者もおられるでしょうから、安易に「良かった」と言ってはいけないんですけど。↓神戸のお医者さんのブログhttp://d.hatena.ne.jp/Yosyan/　それでも、何で「運が良かった」のか、というと、ある意味、「新しい感染症発生・世界的流行」について、実地で「予行演習」できた、ということ。（１）これまで机上でプランが立てられていた、「水際作戦」や「発熱外来」などの対策の限界や問題点などがわかったのではないか。（２）新しいウィルスが若い細胞で増殖しやすい、ということ（これはたぶん、強毒性のウィルスでも同じでしょ？）に関して、「学校」がどのような安全策をとるべきか、考える材料になった。「子育て支援機関」も同様ですね。（３）国民が冷静に対処するために、国や地方自治体、マスメディアがどのように情報提供をしなくてはならないか、という問題も明らかになった。え～とね～・・　まず、現在、日本が発症数で世界第4位になっている背景には、（だいぶガタがきているにせよ）国民皆保険で、安価に医療機関を受診できるということ、「発熱外来」が一定の成果をだしている、ということが関係していると思うんですよ。　それに、国内での二次感染が、まず「神戸」で発見されたというのは、神戸市の「発熱外来」が「発熱」という症状をターゲットにして、検査をしていたから、ということじゃないでしょうか。　とにかく、症状の重症度は、季節性のインフルエンザとあまり変わらない場合が多く、（だからといって、油断は禁物・・っていうか、とにかく季節性のインフルエンザだって、重症化して亡くなる人は毎年いらっしゃるわけですからね）、しかも、今の季節ですから、あまり高熱にならない場合は、普段なら、インフルエンザの検査なんかしないで、風邪あつかいになってしまいます。そういう例まで含めて、検査の結果、「新型」インフルエンザとして報告できるのは、「発熱者」を「渡航暦」を問わずに「発熱外来」で診察するという体性を神戸市が作ったから、と言えるんじゃないかしら。　同様に、大阪、兵庫県で感染者確認が相次いでいるのも、ちゃんと「検査」しているから、ということも大きいと私は思います。　もちろん、他の自治体でも特定の学校や福祉施設などで、インフルエンザの集団感染がはっきりしたら、詳しい検査は当然行われるわけですけど、「発熱外来」が徹底していた神戸市で国内二次感染者第一号が発見されたということは、関係医療機関従事者の奮闘もふくめ、もっと肯定的に評価してもいいような気がする。　でもって、感染者発見後の、情報提供については、学校名や居住地域の公表に伴う、嫌がらせ電話の対応も含めて、対策をたてておかなくちゃならないこともわかったしね。　「水際作戦」については、「国内での感染」を可能なかぎり遅らせ、その間に「発熱外来」の条件整備をする、という意味では、全くの無駄とは思わないのだけど、あとは、他の対策との兼ね合いで、どこまで人とお金をかけるべきなのか、ということじゃないかなぁと思うですよ。あちこちで言われるように「潜伏期間」（←発症していなくても感染させることは可能）や場合によっては「不顕性感染」ということだってありますからね。　　あとは、「新型」か「季節性」かに関わらず、インフルエンザを発症した人が、他者を感染させる状態から脱するまで、外出しないでいられる状態・・・つまり、「仕事を休む」ことができる状態を確保するにはどうしたらいいか、という大問題があるんじゃないかと私は思うわけです。　もう、ほんとに、タミフル等の特効薬で症状が治まったから出勤する、という行動様式は絶対にまずいと思うんですけど。雇用保険とか公的医療保険とかでなんとか対処できないのかな・・・今は経済情勢が悪いけど、もっと悪い時期に「強毒性の新型インフルエンザ」が発生しないという保障だってないわけだし。にほんブログ村

豚インフルエンザ由来の「新型」インフルエンザについて

えーと、相変わらず、女子差別撤廃条約選択議定書批准問題を調べるのに忙しいよたよたあひるです（笑）　この件に関してはまた後ほど。今回の記事は、今、世界的に広がっている豚インフルエンザ由来の「新型」インフルエンザについてです。あまり調べている時間がなかったのでちょっとだけね。一番言いたいのは、確かに、これまでの季節性のインフルエンザとは別のカタチの「新型」インフルエンザが発生し、世界的な流行になってきています。でも、パニックにならないようにしないと・・・マスコミの報道も厚生労働大臣も、もちょっと冷静になったほうがいいかと思います。というのは、今のところ発表されている情報では、メキシコ以外の国では感染者は確認されているものの比較的軽症・・致死性は低い・・ようですから。なぜ、メキシコで死者数が突出しているのかは不明ですが、同じ遺伝子のウィルスのようですから、他国に広まる前に弱毒化したのかもしれません。弱毒化したほうが、感染者数は増えるんですよね。致死性が高いと広まる前に罹患した人が亡くなってしまいますから。もちろん、こういう感染症に対して、希望的観測で動いてはいけない・・・油断大敵です。そして、高齢者、乳幼児、慢性疾患を持っている方、およびそのご家族や医療機関、施設の職員は特に要注意です。「水際作戦」はもちろん大事なんですが、海外の出かける予定の方、帰国なさる方も多い時期ですから、中には発症しない感染者の方もおられるかもしれません。発症しない感染者がでてくるくらいにウィルスが弱毒化している可能性がありますからね。海外旅行する予定がない身としては、ともかく、人ごみにでるときのマスクと外出後の手洗いの励行は用心のためにしておくほうがいいとは思いますが、当面、うんと高価なマスクを購入する必要はないかと思います。花粉症対策用の不織布製のマスクの安いものを使い捨てにするのかいいでしょうね。ともかく、どうも症状が軽いらしいこと、そしてタミフルが有効だということは、かなりラッキーな事態ですから、行政や医療機関は、もっとも心配されていた強毒性の「新型インフルエンザ」対応の予行演習として丁寧な対応をしているのは大事なことだとは思いますけどね。

タミフル耐性ウィルス

　「とうとう」というか、「やっぱり」というか、＜インフルエンザ：今冬流行のＡソ連型、９７％「タミフル効かない」　ウイルス耐性化か＞毎日新聞　2009年1月17日　東京朝刊↓http://mainichi.jp/select/science/news/20090117ddm012040115000c.html以下に記事の一部を引用します。--------------　今冬流行しているインフルエンザＡソ連型ウイルスの大半が治療薬タミフルが効かないタイプになっていることが１６日、厚生労働省の調査で分かった。現在の患者の約３分の１がＡソ連型という。昨冬で効かなかった割合は２・６％だった。急増の原因は不明だが、海外で出現した耐性ウイルスが上陸した恐れがある。厚労省は緊急の研究班を設置し、原因を探るとともに、治療指針を作成する。【関東晋慈】（中略）　厚労省は「耐性はＡソ連型に限定され、新型への対応を見直す必要はない。ワクチンは耐性ウイルスに効果があるとされ、リレンザで耐性化は認められていない。過剰に不安になる必要はなく、手洗いやうがいの予防を徹底してほしい」としている。--------------　記事本文中には、全国の衛生研究所のデータを国立感染症研究所が集計、671人の患者のうちわけが、A香港型がほぼ半分、Aソ連型が約36％、残りがB型という結果が出ています。また、同研究所の調査によれば、11都道府県のAソ連型患者35人分から採取したウィルスのうち、34人分（97％）がタミフル耐性ウィルスだったということも記事に掲載されています。　感想を以下にまとめました。（１）これは全国集計なので地域差があるはずです。各地域のデータは、それぞれの自治体の感染症情報センターを見るとわかります。（２）Aソ連型タミフル耐性ウィルス＝非常に危険、ということにはならない、ということも念頭に置く必要があります。体力のない乳幼児や高齢者などのハイリスクの方は別にして、普段、健康な大人や青少年にとって、通常のインフルエンザであれば（例の「新型インフルエンザ」でなければ）、もちろん、普通の風邪よりも症状はずっと重くて辛いものですが、特効薬がなくとも命の心配はあまりありませんから。Aソ連型は、「新型インフルエンザ」とは別のものですから、混同するのはまずいです。（３）タミフル耐性ウィルスそのものはこれまでもAソ連型に限らず日本でも検出されています。インフルエンザにかかった人がタミフルを服用した場合、症状が軽快したあともウィルスは排出されていますから、この排出されたウィルスが耐性を持ってしまい、例えば家庭内で感染したりすると、耐性ウィルスに感染してしまった、という例があったりしたはずです。インフルエンザのウィルスは進化が早いそうで。（４）ただし、昨冬の流行時では、国内で確認された耐性ウィルスはごくわずかだったんです。世界規模では昨年の冬から耐性ウィルスは急増していました。（５）日本は世界一のタミフル消費国・・・世界のタミフル生産量の60％だか70％だかを消費している国なんですよね。しかも、タミフル服用後に熱が下がったりして症状が軽くなると、仕事に出かけたり（止むを得ない、という場合が多いのは承知してますが）する人もいらっしゃるわけです。これで、耐性ウィルスが広がらないほうが不思議というもの。ヘタをすると、今はまだ耐性ウィルスが流行していない、A香港型やB型のインフルエンザの耐性ウィルスだって広めてしまうかもしれません。　耐性ウィルスが流行すると、一番被害を受けるのは、体力のない乳幼児や高齢者です。＜インフルエンザ：１０１人感染、高齢者病院３人死亡－－東京・町田＞毎日新聞　2009年1月18日　東京朝刊↓http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/18/20090118ddm041040103000c.html以下、記事の一部引用----------------（前略）都や病院によると、今月３日に職員の発症が確認されたのを皮切りに発症者が増え、これまでに患者４４８人（１７日現在の入院者）のうち７７人、職員３３５人のうち２４人が発症。１１日に８５歳と１００歳の女性、１６日に７７歳の女性が、いずれも肺炎を併発して死亡した。重症の８４歳男性も肺炎を併発しており危険な状態。発症患者の４割以上は３９度以上の高熱があったという。　病院では昨年１０月下旬から希望者にインフルエンザワクチンの接種を始め、約９割が接種済みだった。発症後は患者を隔離し、死亡した３人を含む全員に治療薬のタミフルを投与したという。　病院は７日に保健所に集団感染を報告し、１３日に市、１４日に都が実地調査に入った。１７日夜に会見した日野院長は自身も発症しマスク姿で「年末年始は見舞いなどが多く外部からウイルスが持ち込まれたとみられるが、例年と同じ対策を取っており、なぜ集団感染が起こったか調査中」と述べた。　また、報道陣も用意されたマスクを着けて会見に臨んだ。【清水健二、堀智行】-----------------　まだ調査中ということですから、報道からでは、「Aソ連型耐性ウィルス」だったかどうかはわかりません。感染の拡大には、病院のリスクマネジメントの問題もあると思います。　ただ、「死亡した３人を含む全員に治療薬のタミフルを投与した」のが事実であるとするならば、タミフル服用にもかかわらず重症化してしまった、ということになりますから、この集団感染は耐性ウィルスだった可能性が高いと思います。　お亡くなりになった３名の高齢者は、「いずれも肺炎を併発し」とあります。高齢者のインフルエンザが怖いのは、この「肺炎の併発」ですよね。　ともかく、まずはインフルエンザに罹らないように、外出時のマスク着用、うがいと手洗いの励行、室内の加湿で自衛することが大事です。特に、病院に行く時は口元をピッタリ覆う不織布のマスクを２枚くらい重ねてつける・・お見舞いや付き添いで行く場合も・・・ようにしたほうがいいです。また、罹ってしまったら、タミフルやリレンザが効いて、熱が下がって症状が軽くなっても、その後4日くらいは外出を控えるようにしたいですよね・・・それがままならないのが日本の労働事情・・ではあるのですが、職場にウィルスが持ち込まれてしまうとどんどん患者が増えてそれこそ業務がまわらなくなってしまいます。　それに、リレンザまで効かないウィルスが流行するようでは困りますから。

タミフル耐性ウィルス

　↓やっぱり出てきました。ｰｰｰｰｰｰｰｰｰタミフル効かないインフルエンザ、初の集団感染…横浜 (読売新聞)　治療薬「タミフル」が効かないインフルエンザウイルスによる集団感染が、横浜市内で先月発生していたことが、同市衛生研究所の調査で分かった。　タミフル耐性ウイルスによる集団感染は、国内では初めてで、世界保健機関（ＷＨＯ）に報告された。（後略）　　出典　YOMIURI ON LINE2008年２月２８日　１２時４分http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/backnumber/n_influenza__20080228_3/story/20080228_yol_oyt1t00267/ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ　インフルエンザウィルスは進化が早いから、これだけ使ってて、しかもタミフルで熱がさがったら通常の社会生活（仕事や学校）をしている人がかなりいるわけだから、遠からずこういう事態が起こることは目に見えていました。でも、早かったね・・・　アマンタジンというタミフルの前にA型に効く薬が発見されたのは、確か１９６０年代・・耐性ウィルスが広まってきたのは２０００年を越えてからなので、おおよそ４０年くらいは「いざというときに使える薬」だったわけなんだけど、タミフルは１０年程度で「効かないウィルス」が幅をきかせてきたということ。　アマンタジンの耐性ウィルスが広まったのは、中国の養鶏場で鶏に予防的投与を行った例が多かったから、という説が有力らしいけど、今回のタミフル耐性ウィルスを育ててしまったのは、この薬の使用量が一番多い日本の状況と言って良いと思う。　読売の記事、後半の省略した部分では、例の致死性の高い「新型インフルエンザ」がタミフルに耐性を持って流行する可能性について記述している。　対策として別の治療薬の備蓄が必要・・といっても、タミフル同様に濫用していけば、また同じように耐性ウィルスが発生するのは避けられない。「やすんでいられない」から、普段は元気な大人が薬で症状を抑えて、ウィルスを排出しながらウロウロ動き回ると、耐性ウィルスが蔓延していくことになる。結局、一番被害を受けるのは、お年寄りや乳幼児など抵抗力の弱い人たちだ。　やっぱり薬の使い方、間違ってないだろうか。-----------------sent from W-ZERO3

タミフルの副作用と耐性ウィルス

４月になって寒い日が続きますが、雨が降ったこともあって、例年より遅く展開したインフルエンザの流行もそろそろ終息しつつあるようです。東京都におけるインフルエンザの流行↑のグラフをご覧いただくといいと思いますが、今年のインフルエンザの流行は、例年と比べてピークが約２ヶ月遅れ、しかも、患者数の推移の変化が例年とちょっと異なるなだらかな形になっています。この冬の暖冬という気候の影響は大きいと思いますが、このなだらかな患者数の増加、ちょっと気になります。私の勝手な想像なのですが、タミフルで症状が緩和され、動けるようになった（＝自覚的には治った）人が、学校や仕事にでるようになって、排出されたウィルス（数はずっと少ない）が、ゆっくりと広まっていったりしているのじゃないかしら・・で、その中には他の人を感染させる力をもった耐性ウィルスもある・・ということじゃないかしら。もちろん、治りきってない人から出るウィルスが全部耐性感染可能な耐性ウィルスというわけじゃないけれど・・「タミフルの恐怖」みたいな報道が続いたあと、結構、１～２日分服用したあと飲むのをやめる人いたと思うんですよね。でも熱は下がっているし、活動できるから。毎日インタラクティブ：インフルエンザＢ型もタミフル耐性・・人から人への感染確認（４月４日）まぁ、インフルエンザでも解熱して動けるようになったら活動再開したくなるのは、今年に始まったことじゃないので、やっぱり暖冬の影響が大きいのでしょうけど。乾燥した寒い時期に流行する、という日本のインフルエンザの常識がウィルスの変異で変わっていくのかもしれないなぁ・・なんて素人考えが頭をよぎりました。で、そのタミフルの副作用ですが、厚生労働省の委員会で「異常行動」の件数が公表されましたね。毎日インタラクティブ：タミフル：異常行動１２８人に　１０代以下は１００人－－厚労省が初の詳細報告（４月５日）ロシュ社の報告によれば、2006年６月までに2450万人分が日本で使用されたそうですから、中外製薬による2007年３月までに、1079人（1465件）の副作用報告があったという数字をどう見るか、意見は分かれるところだと思いますが、どんなに確率が低くても、その副作用にあたって亡くなる、という事態をむかえてしまったら、確率が低いかどうかは問題ではないわけです。副作用として報告されていない例もきっとあるでしょうし。↓毎日インタラクティブ：タミフル：異常行動、被害者「氷山の一角」　厚労省の対応に批判も（４月５日）やっぱり、普段、健康で体力のある人はタミフルに頼らずに安静にして水分補給が一番いいような気がします。「いらない」と決めたお薬をきちんと断ることは自分でもできるからです。お医者の顔色をうかがう必要はないんですよ。ただ、「いらない」と決めたらそのあとのしんどさは自分が引き受けるしかないのですが。タミフルはインフルエンザウィルスの動きを止める薬として開発されたわけですが、人の体の中でどのような作用をしていくのか、使っていく中でわかってくることもきっと多いはずです。だって、今、パーキンソン病の薬として使われているアマンタジンだって、インフルエンザ薬として開発されたもので、神経難病のパーキンソン病に効果があるということは、インフルエンザの治療と予防に使っているうちにわかったことなんですから。タミフルにだって、まだわからないことはきっとたくさんあります。ＲＰＧゲームの「薬草」や「どくけし」「かぜぐすり」みたいに、副作用の全くない安全な薬って、現実にはありえないわけですから。そういうものを期待するほうが間違っていると思うわけです。服用することのリスクと効果をどう考えるか。薬を飲まなくても快復できるときには、わざわざリスクを負う必要もない。ただ、快復するための力は、個人差が大きいわけですから、インフルエンザの症状自体に非常に弱い、危険が大きいと考えられる人は、リスクがあっても必要な場合はあると思うんですよね。耐性ウィルスを増やしかねない行動は絶対にまずいと思います。

耐性ウィルス・・まだまだこだわってます。

ほんとにしつこいよたよたあひるです。教育再生会議が道徳についての議論をしているニュースも気になるのですが、まだまだ、インフルエンザとタミフルのことから離れられません。抗ウィルス剤への耐性を持ったインフルエンザ・ウィルスについて調べてみました。タミフルよりも先に、健康保険に適用になったアマンタジン（商品名：シンメトレル）という抗ウィルス剤があります。というよりも、「ありました」とすでに過去形で書くべきでしょう。Ａ型インフルエンザにのみ効果がある、という薬だったのですが、昨年、かなりの高率（米国や日本国内でも調査したうちの90％超という結果もあります）で、アマンタジン耐性のウィルスが検出されたという報告がいくつもでてしまいました。もともと、アマンタジンは耐性ウィルスができやすい薬なのだそうですが、（この薬で治療した人の30％ほどに耐性ウィルスができるという報告があるそうです）（ただし、通常は感染がうんと広がることはないとのこと・・）米国ＣＤＣの調査によると、2004年には、アマンタジン耐性ウィルスの出現は、中国を中心にアジアで70％ほど、日本では４％、米国では２％だったものが、2005年発表の調査結果では、米国でも11％になり、2006年発表の報告では、90％を超えるという事態になりました。中国での耐性ウィルスの増加は、医師の処方箋なしでアマンタジンが買えるという特殊事情に由来しているそうです。そして、家禽の飼料にアマンタジンを混ぜて飼育していたなど、不適切な使用が耐性ウィルスを増加させたのではないかと言われています。真偽は私にはわかりません。ただ、頻繁に使用されていれば、当然耐性ウィルスは増加するわけです。いずれにしても、もうアマンタジン（商品名：シンメトレル）は、インフルエンザ治療に使える薬ではなくなってしまいました。アマンタジン（商品名は、シンメトレル等）は、1964年にアメリカでインフルエンザ治療薬として開発されたお薬なのですが、その後、パーキンソン病の治療に有効であることがわかり、日本では、1970年代からパーキンソン治療薬として使われてきました。もともとが中枢神経系に働きかける薬であることや、Ａ型インフルエンザのみ、しかも感染初期に使わないと効果がないこと、（↑はタミフルも同じですが）耐性ウィルスができやすいことという難点がありました。日本では1998年にインフルエンザ治療薬として認可され、健康保険も適用になったものの、その後、Ａ型にもＢ型にも効果があり、耐性ウィルスができにくいというザナミビル（商品名：リレンザ）が1999年にインフルエンザ治療薬として認可、オセルタミビル（商品名：タミフル）が2000年に認可され、この二つの薬は、2001年に同時に健康保険適用となり、特に経口薬のタミフルが日本のインフルエンザ治療の主流となっています。（この二つの薬の認可から健康保険適用までの期間の違いについても、　国の厚生行政への不信感が表明されたりしています。　ただ、リレンザがパウダー吸入という方法での服薬であるのに対して、　タミフルは口から飲むことができるので簡便さで勝っていたという点はあるでしょう）で、問題はここから先です。アマンタジン（シンメトレル）の耐性ウィルスの増加は、中国での安易な利用にあったと考えていいと思います。少なくとも、医師の処方なしで購入できる・・完全に市場原理にまかされていた・・そのような状態の中で、過剰にあるいは不適切に使われてしまい、本来、慎重に使われるべき人類共有の財産ともいえる薬が効果を失ってしまったのです。タミフルについてはどうでしょうか。全世界の消費量の７～８割もの割合を日本で使っているという実態があります。日本での利用開始当初では、タミフルはアマンタジンよりも耐性ウィルスが生じにくい、ということになっていました。耐性ウィルスの出現率は、大人では1％に満たず、免疫機構の弱い子どもでも４％程度、と見込まれていたのです。けれども、東大医科学研究所の河岡義裕教授らの報告では、2002年～2003年の神奈川県内の4病院において、検査キットでインフルエンザと診断された０～13歳の50人を対象にした調査で、18％にあたる9人からタミフル耐性を獲得したウィルスが確認されています。また、2005年第37回小児感染症学会では、藤原典博先生他小児科開業医の先生方有志による過去4シーズンにわたる確定診断してタミフルを使った子どもたちの解熱率や長く続く熱等を調べた研究発表がありました。保険適用で安価にタミフルの処方が受けられるようになってからの病状の推移です。報告によれば、Ａ型では効果に変化が認められなかったものの、Ｂ型では年々、解熱に時間がかかったり長く熱が続く子どもの割合が増加、つまりタミフルの効力がさがってきているという結果がでたそうです。参考ＨＰ（原典までは当たれませんでした・・）　まえだ循環器内科のホームページ内　インフルエンザ／ワクチンＱ＆Ａすくなくとも、Ｂ型インフルエンザに関しては、タミフルの効力が2004年までの間にすでにおちてきており、しかも、年を追って落ちているということから、耐性ウィルスによる発症、という問題が起きている可能性が示唆されるわけです。　この現象は、アマンタジンのように外国の問題で被害をこうむったとは言えない・・だって、全世界のタミフル消費の７５％を日本で消費しているわけだから。ほんとに、なんとかしないとタミフルも効かない薬になってしまいます。ちなみに・・2005年の秋には、Ｈ５Ｎ１（新型インフルエンザ）の犠牲となったベトナムの少女からタミフル耐性のウィルスが確認されています。

タミフル問題から「公共の福祉」を考えてみました

どうもひとつことにこだわるとしばらくその関係記事が続くのが私のブログの特徴で・・インフルエンザとタミフルについて、まだこだわっています。「伝家の宝刀」ってことで・・タミフルについて（3月24日の日記）に加筆・訂正を少ししました。下記の青字部分は、上の日記にもリンクを貼ってある、科学ニュースあらかると：タミフルはインフルエンザを治さないというページの引用です。人間の身体は「免疫システム」が創り出す「抗体」の働きによって、インフルエンザ・ウイルスを撃退します。タミフルは、インフルエンザ・ウイルスの増加を抑えることによって、「身体の免疫システム」がインフルエンザに対抗する為の「抗体」を作り出し、ウイルスの増殖を止めて、それを撃退するまでの時間を短縮するだけなのです。現時点では、ウイルスは「抗体」でしか撃退できないのです。その為欧米では、「インフルエンザには安静」が常識で、タミフルのような「抗インフルエンザ薬」は、感染症などの合併症の危険性が大きくなる免疫系が弱っている人達、高齢者や慢性の病気などの要因を持つ人達以外には、ほとんど使われていません。この対応の違いが、タミフルの全世界消費量の８割を日本国内で使っていたという状態を生み出したわけです。もともと健康な大人がタミフルを服用しても、症状のつらい期間が１～３日短縮されるだけ・・いえ、その短縮がとても大きな恩恵であることは、私自身体験済みなわけですが・・将来もしも「新型インフルエンザ」が大流行したときに、現状が続けばタミフルの国内備蓄ができていない、という事態になります。さらに、（青字は上記ページの引用）インフルエンザの場合には、子どもの免疫システムがまだ未熟な為に、「タミフル」を投与してから4日目以降に耐性を持つインフルエンザ・ウイルスが体内にあらわれて、それが周囲にまきちらされている、という日本の研究者の報告が、昨年の今頃「ランセット」という医学誌に発表されていました。大人ならば速やかに撃退できる病原体でも、免疫システムの完成度が低い子どもにとっては油断できない、という話です。これは、子どもがインフルエンザ・ウイルスに感染した際に中途半端な期間（量）の「タミフル」投与が行われると、感染者の体内で「タミフルを投与しても増殖出来る」怖いウイルスが生み出されてしまう、という事を意味しています。薬の服用に際しては、きちんと医師の指示に従い、処方されたとおりに薬剤を服用することが大切だという事です。また、免疫システムが未熟な子ども達が集団で生活する場である学校が、インフルエンザの流行時に「強制休校」になるのは、非常に正しい措置だという事がわかります。上の記事では子どもについての研究の引用ですが、大人だって、不摂生な生活（ワーカホリックな皆さん、要注意！・・あ、私のこと？）をしている時には同じようなことが起こりうると思います。また、タミフルによる異常行動の報道と「インフルエンザ脳症」についての怖い話とで判断が揺れ動いて、とにかくタミフルを処方してもらった上で、一日だけ飲ませて熱が下がったから飲ませるのをやめた・・その結果、兄弟が感染したときには耐性ウィルスになっていた、ということはかなりの頻度ででてくるのではないかと心配です。耐性ウィルスって、けっこう簡単にできてしまうのですね。短期的にはそんなに広まらないのでしょうけど、時の経過とともに増えていくわけで、すでに、タミフル以前にＡ型インフルエンザに処方されていたアマンタジンという薬は重大な副作用がある、という問題があるから、というだけでなく、耐性ウィルスが多くなりすぎて効果があまり期待できない、ということで使われなくなってきているということですから、タミフルだって同様の運命をたどるかもしれません。これはリレンザにしても同じことです。つまり、将来日本に「新型インフルエンザ」が流行した時に、備蓄がないというだけでなく、治療手段すらなくしてしまうかもしれない、というのが、現在の日本のインフルエンザ治療の行き着く先、かもしれないのです。副作用という点では、インフルエンザ自体にも発症中に幻覚がでてくることはあるわけですから、タミフル服用中の異常行動や異常体験が＝タミフルの副作用とは言い切れないわけですが、もともと添付文書にも、「重大な副作用」として、「ショック・アナフィラキシー様症状（頻度不明）」や「精神・神経症状（頻度不明）」が記載されているわけです。これって、厚生労働省が「異常行動とタミフルの関連を認めるか否か」という話の以前に、タミフルの「こういう可能性がある」というリスク、副作用としてちゃんと書いてあったわけですよ。確かに、ここに「飛び降りる」「高いところから転落する」という言葉はないですけど、頻度不明のリスクがあるということははっきり記載されている。それでも、医療機関が処方するのは、リスクの可能性よりも効果が高いからだったわけです。リスクが高いとはっきりわかっている場合は、処方してもらえません。丁度、昨年のことですが、うちの利用者さん（統合失調症の方）が、急な発熱で、職員が同伴して内科を受診したのですが、インフルエンザの確定診断が出た時点で、医師から丁寧な説明があり、タミフルは効果があると思うが、「精神・神経症状」の副作用がまれにあるから、それでもタミフルを使いたいかどうか、本人が判断できないようだったら誰か・・ご家族か施設で考えてほしい、という丁寧な説明がありました。数日苦しい期間が長くなるわけですが、病状悪化につながることは避けた方がいいので、結局、処方はしてもらわないことになりました。リスクがわかりやすい患者の場合は、当然医療機関も慎重になります。でも、頻度不明の重大な副作用は、ひとつひとつの医療機関ではなかなか実態が把握できません。それを集約して周知するのは行政機関の仕事です。さらに、「新型インフルエンザ対策」や「耐性ウィルス出現の予防対策」となれば、これは現場の医療機関の判断にゆだねられるべきことではなく、長期的、広域的な視点にたって、住民、国民の安全をどう守るかという政策になります。けれども、政治家や厚生労働省の対応のまずさを糾弾するだけではだめなんですよね。だって、インフルエンザがすぐによくなる薬を求めているのはユーザーなんですから。辛い症状のある期間が3日ほど短縮できる、ということに価値を見出しているのは医療機関だけではなくて、患者サイドも同じなわけです。タミフルがだめならリレンザ・・それが今の患者サイドの正直な気持ちでしょう。私だって、早く楽になるならその方がいいと思ってました。でも、これって「公共の福祉」の問題なんです。といっても、「滅私奉公」や「お上のためにがまんする」というのではなく、目の前の自分の利益、あるいは行動したり選択したりする権利が、時間軸を長くした場合、広い視野で見た場合、めぐりめぐって、自分や自分の大切な人たちの不利益や権利の侵害をもたらすならば、どこまで目の前の利益や権利をあきらめることができるか・・そういう文脈での「公共の福祉」ですね。視野を広げるには、情報を読み解く力が必要だと思います。また、判断材料は行き渡らなくてはなりません。センセーショナルな報道だけでは困るわけですし、根拠不明の安全宣言も困るわけなんです。幸い、インターネットのおかげで、情報は集めようと思えば、かなり簡単に集められるようになりました。「お上」や「お医者様」の言うとおり、ではなくて、自分達で考えることができる環境は整ってきています。あとは、目先のことだけでなく、広い視野で考え判断する力をどうやって養うかというところでしょう。・・・もちろん、インフルエンザで痛くて辛い思いをする期間が短い方がいいとは私も思います。でも、我慢ですむところを楽することによって、もっと大きなトラブルに将来直面する・・というのはもっといやなんですよね。とっても、利己的な判断として、この先私は「普通の」インフルエンザだったら、タミフルもリレンザも我慢することにします。ワクチンについてはまだまだ情報を集めようと思っています。

「伝家の宝刀」ってことで・・タミフルについて

昨日の日記に引き続き、インフルエンザとタミフルについて調べてみました。とりあえず、気になったのが、タミフル服用後の異常行動とタミフル服用しないでもインフルエンザで発生した異常行動、それから「インフルエンザ脳症」との関係です。結構、情報の受け取り方に混乱がありそうで、これはまずいなと思いました。まず、タミフルを服用していないけれども、インフルエンザ罹患中に、一過性の混乱や後からは覚えていない行動が生じた例があるようです。これが「譫妄」、特に「熱性譫妄」というものなのでしょう。でも、一過性のものだったら、これが「脳症」というわけではないですよね。認知症のお年寄りを介護した経験があったら、「譫妄」という言葉はある程度おなじみです。私の祖母もよく夜に騒いでいましたが、特に、発熱していたりする体調不良のときには悩まされました。認知症がひどくなったのか、と思っていたら、体調の快復と一緒によくなった、という経験があります。ただし、インフルエンザの場合、この「譫妄」の症状があると「インフルエンザ脳症」の症状である可能性があるので要注意、受診が必要ということなんだと思います。受診するまでもなく収まってそのまま快復することもあるでしょうし、受診して「脳症」ではないとわかる場合もあるでしょう。つまり、「譫妄」「異常行動」＝「インフルエンザ脳症」というわけではない。もちろん、「異常行動」が生命を危険にさらす行動になる場合があるわけですから、「脳症」ではないから大丈夫、というわけでもありません。家庭看護の際に心しておかなければならないことです。タミフルを服用してもしなくても初期の熱が高い時期は要注意、ということに尽きます。そして、どうやら、タミフルを服用することが、「インフルエンザ脳症」の予防になるかというと、はっきりそう言い切れるわけではないようです。そうすると、「異常行動」の原因がタミフルであると確定できなくとも、現状では、「かもしれない」大きなリスクに見合うだけのメリットがどこにあるのか、という問題になります。しばしば、「インフルエンザ」は死ぬこともある病気、という表現がありますが、死に至る原因はインフルエンザそのものではなく、今、流行している「普通の」インフルエンザだったら、合併症としての肺炎等にかかりやすい、ハイリスクのお年寄りや慢性疾患を患っている人たち、乳幼児を別にして、現在の「普通の」インフルエンザそのものの致死性はほとんどないといっていいと思う。これが「新型」のインフルエンザなら別ですけど・・健康な成人にとってのタミフルの効果は、発熱の期間を１日から３日短くするだけ、ということだったら、これまでの日本でのタミフル利用はいろいろな意味で問題が大きい・・情報の混乱、という点では、まだ発生していない「新型インフルエンザ・・ヒトからヒトへ感染するもの」の対策と乳幼児の「インフルエンザ脳症」、その死亡例の増加傾向、高齢者の療養型病床群や介護施設、精神科病棟などでの集団感染とそこでの死亡事例タミフルの服用による異常行動と事故などがごちゃまぜになって、「普通の」インフルエンザに対しても恐怖感があおられて増加しているように思います。↑は全部違う範疇の問題なんですよね。もちろん、行政当局は、「新型インフルエンザ対策」をしなくちゃなりません。タミフルの備蓄もその一つではあります。実は、これがあるから、厚生労働省はタミフルの危険性について態度が不明瞭だったのでは、と考えてしまいます。「インフルエンザ脳症」の増加についてはもっと精密な調査と情報公開が必要だと思います。規制緩和で、市販の風邪薬も以前よりも強い成分を入れることができるようになりましたし、保険診療の自己負担が増加しているため、風邪なら市販薬で対応する人も増えているはず。もちろんワクチンが個人接種になった影響も当然無視できませんが、小児科専門医の不足、夜間の小児科救急体制など、他の要因も複雑にからみあっていると思います。また、高齢者の病院や施設での集団感染の問題は、病院や施設の物的・人的環境整備が圧倒的に不足しているということの反映なんですよね。もっと正確な情報、自分や家族を守るために役に立つ、わかりやすい情報が簡単に入手できるようにならないと、「自己決定・自己責任」でワクチン接種をどうするのかもタミフル服用をどうするのかも決めることができません。マスコミと行政機関の責任は大きいと思います。行政機関が作っているページで、私がわかりやすくていいなと思ったのが、インフルエンザについて：横浜市衛生研究所概論としてよくまとまっています。ただ、ちょっとレイアウトが読みにくいのと、文章をじっくり読まないといけないのが難点。でも、東京都のページをいろいろさがしたのですが、東京都感染症情報センター：感染症トピックス：インフルエンザよりは横浜の方が概論がわかります。都のトピックスは「新型インフルエンザ対策」が充実しているので、かえって「普通の」インフルエンザについては対応がわかりにくい。医療機関のページとしては、筑波記念病院：インフルエンザの驚異PART2↑こちらの医療機関のタミフルについての考え方がきちんと書かれています。タイトルはちょとセンセーショナルですけど、記事のトップに「新型ウイルスではない、現在流行中のインフルエンザに罹ったときに、普段は健康でリスクの無い人たちに使うべきかどうかは良く考えておく必要があります。私は、以下のような理由で、現在流行中のＡ型インフルエンザ（Ｈ３型）の場合には、高齢者の方や、心臓病や糖尿病などの基礎疾患があってリスクの高い方に限ってのみ使うべき薬であろうと思っています。」と結論がでているので好感が持てます。また、個人のサイトで参考になったのは、くば小児科blog↑は、青森県の小児科の先生のブログ。３月５日の記事ですが、その当時の厚生労働省の見解と国立感染症研究所の先生のご意見、そして現場の小児科専門医としてのくば小児科がどのような考え方でインフルエンザの治療にあたっているか、わかりやすく書いてあります。タミフルはインフルエンザをなおさない・・科学ニュースアラカルト↑は、タミフルと「鳥インフルエンザ」「インフルエンザ」についての記事です。現在流行している「普通の」インフルエンザよりも致死性の高い、「鳥インフルエンザ」由来の「新型インフルエンザ」等への備えをどうするか、という視点から、タミフルやワクチンについての考え方が、その考え方の根拠となる資料へのリンクと一緒にまとめられています。タミフル以前に使われていた抗ウィルス剤のアマンタジン（もともとはパーキンソン病の治療薬）に耐性を持つウィルスが増加している、という記述があります。Sasayama's Weblog：タミフルとリレンザの副作用↑は、抗ウィルス剤のタミフル、リレンザ、他の抗ウィルス剤の添付文書から副作用を抜き出して紹介しています。タミフルを普通の人にどんどん処方している日本の医者タミフル服用後の異常行動について：女医ジョーイの日記↑どちらかの医療機関で勤務している先生の悩み、というか悲鳴ですね。これまで患者サイドからタミフルを希望されてきた、という実態についての悩み。消費者としての患者サイドがもっとかしこくならないと良心的なお医者さんたちも辛いです。ここから下は今の私の考えです。今の、日本のタミフル使用状況・・処方の面でも、処方を受けた患者サイドの使い方から見ても・・・では、遠からずタミフル耐性ウィルスもどんどん増えていくでしょう。万一・・・そんなことはあってほしくないのですが、これまでのタミフル処方のあり方が、そのままタミフルではなくリレンザに置き換わるとしても、「普通の」インフルエンザにかかった、体力のある健康な人にも当たり前に安価に処方され場合によっては患者サイドの判断で無駄に捨てられたりするような状況が続くならば、「新型インフルエンザ」の感染爆発が起こるような状況になったときに、日本には十分な備蓄がない上に、日本発の耐性ウィルスが猛威を振るう・・なんてことになりかねない・・と思います。だから、タミフルよりリレンザが安全でリレンザならよい、ということではなく（リレンザも副作用についてはいろいろあるわけです。完全に安全な薬はないですから）やはり使用方法、処方のあり方を医療機関も患者（＝消費者）サイドも考え直さなくてはならないと思います。インフルエンザは確かに身体がとてもつらい病気です。そして、高齢者や慢性疾患を持っている人には時に致命的な合併症を起こすことがあります。ワクチンについてもいろいろな見解がある。私自身はワクチン接種に現状では否定的です。でも、罹病期間を数日短縮するためだけに、貴重な薬を大量に消費していくのは長期的に見て、やっぱりまずいと思います。これって、「公共の福祉」をどう考えるかという問題ですよね。「公共の福祉」の視点というのは、単に集団のために個人が犠牲になっても我慢する、というのではなくて、めぐりめぐって自分に降りかかってくる問題があることを認識した上で、目の前の利益とリスク、空間的にも時間的に視野を広げた時の利益とリスクをきちんと考えた上で、個人的な利害関係をどう調整するか、ということだと思います。決して「滅私奉公」ではない。処方された薬を使わないで処分してしまう、というのは、健康保険財政を悪化させることにもなります。また、３日～５日分の薬をもらった上で、１日分しか飲まない、というのは、耐性ウィルスを育ててしまうことになるかもしれません。タミフルの場合、個人個人の利益、という点を考えただけでも、数日の罹病期間の短縮と、もともとの添付文書にも書かれていた「重大な副作用・・精神・神経症状」（ただし発生頻度不明）その他を比べて、どれだけ利益があるのかをきちんと考える必要があります。その上で、さらに耐性ウィルスの問題や健康保険破綻状況の問題とを加味して、さあ、どうする！？と考えるべきであろうと思うわけです。とりあえず、本日の結論・・タミフルは、「伝家の宝刀」みたいなもので、新型インフルエンザへの対応への備蓄を進め、また、実際に現在流行のインフルエンザ発症をきっかけに死亡(「インフルエンザ関連死」という表現がありました）にいたるリスクが大きい人たちの処方に限定した方がいいと思います。そのことをもっとよくみんなに知ってほしい・・と考えました。------------------３月２４日　加筆しました３月２４日　午後９時５０分　さらに加筆訂正しました。