掛け時計
我が家の居間には、庭に面する窓のある壁に、時計が掛かっている。何の変哲もない、ただの掛け時計だが、ホームセンターで1,000円とか2,000円で売っているようなのではない。というか、この時計が掛けられたのは、両親がこちらに越してくる以前、自分が大学に入った前後のことだと思われる。ホームセンターなどという業態がまだなかったころの話だ。12時を示すアラビア数字のⅫの真下には「CITIZEN」という文字が金の背景色に浮かぶ。一昨日、その時計が夕方なのに2時半くらいを指していた。電池切れだろうと思い、外して交換すると、無事動き出した。裏の板に「勤続20年記念」と書いている。父親は、生きていれば100歳だから、逆算すると多分50歳近くの時にもらったのではないかと思う。ということは、この時計は両親の家からこの家まで、50年以上、時を刻んできたことになる。いつも3分ほど進めているのも、父親の代と同じだ。もちろんたいした価値のあるものではない。が、こういうものが我が家には幾つかあって、それが親の代から自分の代へと連綿と続いてきた生活の歴史を、何かの折に感じさせてくれる。壊れたら、いや、壊れなくても10年もすれば取り替えるのが常識である家電も、冷蔵庫とか洗濯機はもう20~30年選手だ。今年は暑いので、一階、二階の居間や、ピアノの部屋のエアコンはよく使うが、これも20年以上経っている。いずれも今流行りの省エネタイプなどではない。こうなったら、CX5もあと10年乗ってやろうかと思っているが、まあ、無理だろうな。